研究開発の俯瞰報告書
  • 情報・システム

システム・情報科学技術分野(2017年)

エグゼクティブサマリー

 システム・情報科学技術は汎用的な基盤技術であり、さまざまな分野において、さまざまな効果を発揮し、多様な領域のイノベーションを加速する。エネルギーや交通などの社会インフラや行政、住民サービスといった社会システムを改善し、情報通信産業のみならず、製造業やサービス業、農業などの効率化・高付加価値化を実現する。さらに、ナノテクノロジーやライフサイエンスなどの他分野の科学技術の発展にも大きく貢献する。

 システム・情報科学技術分野の研究開発成果は、知の活用の変革、教育・研究の変革、産業構造の変革、社会システムの変革を促し、農林水産業、製造業、医療、介護、商業、情報・通信・金融・保険、交通・物流、エネルギー、公共サービス、教育、サイエンスを高度に進化させる。そのためには、社会適用を加速する仕組みも重要である。

 さまざまな形で社会に幅広い影響を与えるシステム・情報科学技術分野の研究開発戦略を立案するにあたっては、基盤技術として世界に通用するものを生み出すことに加えて、社会価値として大きなインパクトを生み出す戦略シナリオが必要である。当分野では、単一の基盤技術だけで大きな社会価値を生み出すことは難しく、強い基盤技術を中核とした複数技術のインテグレーション、システムアーキテクチャーやビジネスモデルも含めた社会価値創出・社会適用に向けた研究開発が重要になる。

 これを踏まえ、当分野の俯瞰は、基盤レイヤーと戦略レイヤーという2層で捉えることにした。基盤レイヤーは、既に学問分野として確立された区分に基づき、基盤技術として世界に通用するものを生み出すための研究開発に着眼する。その上位層として設けた戦略レイヤーは、基盤レイヤーで生み出される強い基盤技術を中核に、社会価値として大きなインパクトを生み出す研究開発領域からなる。

 戦略レイヤーで狙う社会価値としてどのようなターゲットを設定するかは、わが国で目指すべき社会のビジョンに直結する。よって、第5期科学技術基本計画で掲げられているSociety 5.0、超スマート社会のビジョン実現に向けて、技術や社会・経済のトレンドを的確に把握した上で、当分野が果たすべき役割(ミッション)および、その役割を果たすために達成しなければならない具体的な目標を定めた。戦略レイヤーは、その目標を達成するための研究開発領域であり、「知のコンピューティング」、「CPS/IoT/REALITY 2.0」、「社会システムデザイン」、「ビッグデータ」、「ロボティクス」、「セキュリティー」の6つの俯瞰区分で捉えた。俯瞰区分それぞれの課題は以下のとおりである。

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研究開発の俯瞰報告書 システム・情報科学技術分野(2017年)