国際科学技術コンテスト

科学オリンピックだより 2014 Vol.13 科学オリンピックで理数系のトップ人材育成を ~静岡県「オリンピックチャレンジ」事業がスタート~

日本代表生徒の指導者らが特別講義

 静岡県では今年度から、理数分野に高い意欲と能力を持つ高校生を支援する「オリンピックチャレンジ」事業をスタートしました。県立高校の希望生徒を対象に、国際科学オリンピック日本代表の指導にあたる第一線の講師陣が特別講義を実施。科学オリンピックへの参加を後押しすることにより、国際大会のメダリストや、グローバルに活躍できる理数系人材を育成するプランです。

 今年度は、物理、化学、生物、地学の4分野に76人の生徒が参加し、8月から来年2月にかけて各4回受講します。

 8月11日に掛川市の県総合教育センターで行われた2回目の「オリンピックチャレンジ」では、原田勲・岡山大学名誉教授(物理)、永澤明・埼玉大学名誉教授(化学)、石井規雄・国際生物学オリンピック日本委員会副主査(生物)らが、講義や実験指導のほか、科学オリンピックに向けた準備のポイントや、科学を学ぶうえでの心構えなどを語りました。

化学コース講義の様子

講義と実験で身近な「化学」に目を向ける

 この日の永澤教授の講義テーマは「水」。化学的な特徴に加え、台風や温暖化といった気象や、植物の光合成、「パスタをゆでるときに塩を加える理由」など、身近な現象と水の関わりについて具体例を挙げながら紹介していきました。

 後半は、イオンによる水和に関連した実験として、紙タオルと紙おむつの吸水量を比較しました。「紙おむつに使われている吸水性高分子は、自重の数百倍もの水を吸収することができる」と永澤教授。生徒たちは、わずか数グラムの紙おむつ材が、ビーカー一杯の水を吸収する様子を興味深そうに観察していました。一方、食塩水の実験に移ったグループからは、「こっちは全然吸わない」という声が。入れすぎた食塩水を取り除こうと苦心する生徒たちに、永澤教授は「なぜ食塩水は吸わないのか、理由を考えてみて」と化学的な考察を促していました。

 「オリンピックチャレンジ」は、今年から5か年計画で進められる予定です。静岡県では自治体主導の継続的サポートを通じて、まずは科学オリンピック国内二次選考に進める生徒を増やしていきたい考えです。

水をテーマにした実験をする参加生徒

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