健常な高齢者の生活の質を高め、脳機能を改善する適切な生活介入方法を開発

  • 脳科学と社会

2016年7月13日

  • 研究開発プロジェクト名
    「高齢者と学習障害の脳機能改善コホート研究」
  • 研究代表者
    川島 隆太(東北大学加齢医学研究所 教授) ※終了当時
  • 研究開発期間
    平成16年度~平成21年度
  • Webサイト
    「脳科学と社会」領域 川島PJの紹介ページ

「脳科学と社会」研究開発領域

研究の概要

 健常な高齢者の心身の健康を維持・向上させ、日々の生活をよりイキイキと楽しむことができるようになるための日常生活上の工夫を明らかにするために、健常高齢者の脳機能の加齢に関するコホート研究を行い、痴呆予防方法等の開発や、医療費や介護保険などの社会保障費の低減を可能とする少子高齢化社会に対する前向きの対応策を提言しました。
 同時に、学習障害を持つ子どもたちを対象とした認知発達障害に関するコホート研究も行いました。学習障害の子どもたちの脳機能や認知機能と生活習慣などの関係を調査し、学習障害の発症機序の解明および学習障害の改善に有効な介入方法を見つけ出し、これを生活の中で積極的に行うことで認知発達障害児の健やかで心豊かな脳機能発達を促す方法の開発を行いました。


高齢者を対象にした健康教室
小学校の空き教室などを利用し、地域の高齢者が週に1日集い、読み書き計算ドリルを用いた認知刺激を行いました。また毎日の生活介入として自宅でも同様の取り組みを行いました。

研究の成果

 地域社会で在宅生活を健常に行っている65歳以上の一般高齢者500名以上を対象に、まず認知テストによる脳機能計測と日常生活習慣の調査から基礎データを把握した後、心身の健康の維持・向上のための生活介入を行う場合と行わない場合で、半年後の変化を調べました。すると生活介入による脳機能改善が明らかに認められ、特に軽度認知障害の疑いがあった人のうち、66.1%の人が正常範囲に戻るという結果が得られました。開発した介入方法は、284の自治体で利用されています。
 また、のべ1094名の障害児と4287名の健常児のコホ―ト調査を行った。調査は、アンケートによる日常生活習慣に関する調査と、認知機能検査を行った。それらの縦断的調査結果の解析から、学習障害児の認知機能発達が、休日における親子関係性と相関があること、健常児においては、食事や睡眠といった生活習慣、それに親子関係が、認知機能全般の発達に影響を与えることが示唆された。これらの成果は、全国教育委員会での子どもの基本的生活習慣改善啓発運動に利用されています。

現在の状況

 この研究開発で提案した高齢者の認知症予防法は、09年末で全国約300の地方自治体で採用され、5300名の高齢者が利用しています。また、子どものコホート調査結果は、文部科学省「子どもの生活習慣づくり」普及啓発手法検討会議で活用されています。

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