研究開発の俯瞰報告書
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研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2021年)

エグゼクティブサマリー

ナノテクノロジー・材料分野は、物質科学、量子科学、光科学、生命科学、情報科学、数理科学といった基礎科学をベースに、ナノスケールで生じる現象を取り扱う科学として発展してきたナノサイエンスを土台に置いている。ナノサイエンスの土台の上には、たゆまず進展してきた微細加工技術や、材料プロセスと成形が一体化した積層造形などの製造技術、高分解能顕微鏡などサブオングストロームの分解能におよぶ計測、第一原理電子状態計算による物質構造と機能の予測、シミュレーションやモデリングによる解析技術、データ科学などを柱とした共通基盤科学技術が構築され、そうした基盤技術を利用することで、元素戦略や分子技術、マテリアルズ・インフォマティクス、界面・空隙制御、フォノンエンジニアリングなどの物質と機能を結ぶ設計・制御技術が構築されている。そして、これら物質・機能を組み合わせることで部素材、あるいはデバイスが構築され、それら多様な部素材・デバイスは応用目的に応じて、環境・エネルギー分野、ライフ・ヘルスケア分野、ICT・エレクトロニクス分野、社会インフラ分野の最先端を拓く技術が生み出される。

本報告書第1章では、この分野における日本の課題とグランドチャレンジについて、CRDSにおける関連ワークショップや動向調査にもとづき俯瞰的にまとめている。また、ナノテクノロジー・材料分野において31の主要な研究開発領域を抽出し、今、社会が要求する重要な6つのニーズの特定、およびそれらのニーズを解決するために戦略的に取り組むべき「13のグランドチャレンジ」について記述している。領域抽出に当たっては、「その技術が急激な進展を示し始めている(エマージング性)」、「その技術が社会や経済に与える影響が大きい(社会・経済インパクト)」、「技術的に重要で継続的に注視し続ける必要がある(継続性)」の3つの視点を重視した。また、この分野の挑戦課題であるグランドチャレンジの設定には、「社会の変化がもたらす新たな科学技術への要請」、「科学技術の新たな潮流出現に伴う戦略的投資の必要性」、「日本の産業競争力と国家安全保障の根幹となる技術の確保」を考慮した。これらの考え方は互いに相補的であるため、明確なターゲットを持った戦略的研究開発と、知的好奇心に駆動される新しい学術領域を開拓する基礎研究の両方を、挑戦課題にとりあげることができる。また、第2章においては、抽出した31の主要研究開発領域について、当該領域の意義、歴史的背景から現在の先端技術動向、今後の科学技術的課題、国際比較(日米欧中韓)の結果についてそれぞれ概略をまとめている。本報告書は、検討過程において総勢170名を超える産学官の専門家の協力によって、情報・意見を収集し、ワークショップ等での議論を重ねたうえで、CRDSの視点から見解をまとめたものである。

目次

研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2021年)

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解説記事