研究開発の俯瞰報告書
  • 材料・デバイス

ナノテクノロジー・材料分野(2019年)

エグゼクティブサマリー

 ナノテクノロジー・材料分野は、わが国において長年の技術蓄積に基づく強みを有する技術分野であり、原子分子レベルの微小構造の設計・制御、そこで生ずる諸現象の観測・理解を通じて、魅力ある機能や材料の創出を目指す技術分野である。精密機械加工や積層造形などの製造加工技術、高分解能顕微鏡などサブオングストロームの分解能におよぶ計測、第一原理電子状態計算による物質構造と機能の予測、シミュレーションやモデリングによる解析技術などを柱として、環境・エネルギー分野、ライフ・ヘルスケア分野、情報通信(ICT)・エレクトロニクス分野などの多様な分野の先端を拓く、異分野融合の技術分野として特徴付けられる。

 米欧中を中心として、ここ数年で、IoT/AI時代を支配するAI・半導体・量子技術などの技術覇権争いが顕在化しているなか、それらを支えるナノテクノロジー・材料分野に対する社会的期待は益々高まりつつある。そのため本報告書では、前作2017年版の「IoT/AI時代を牽引するナノテクノロジー・材料」という立場を踏襲しつつ、最新情報や技術動向をアップデートし、SDGsに代表される持続可能社会実現に向けてナノテクノロジー・材料技術がどう貢献できるのかの視点も含めて記述した。将来社会を見据えたときに必要となるナノテクノロジー・材料分野の研究開発の方向性を示すとともに、技術進歩と実用化に伴って生み出される新規物質や新製品の健康・環境への影響、倫理面の取扱い、リスクの評価・管理、さらに標準化といった国際的な課題についても十分に記述した。これらの検討過程において総勢170名を超える産学官の専門家の協力によって、情報・意見を収集し、ワークショップ等での議論を重ねた上で、CRDSの視点から見解をまとめたものである。 

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研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2019年)