科学技術未来戦略ワークショップ報告書
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細胞集団機能と物質科学

エグゼクティブサマリー

本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が令和6年3月17日に開催した科学技術未来戦略俯瞰ワークショップ「細胞集団機能と物質科学」に関するものである。

生命科学と物質科学が交わる研究領域において、人工物質にはない、また生体物質だけでは実現出来ない性質・機能・仕組みを利用して、様々な技術的ソリューションが生まれてきた。これまでの歴史と近年の潮流を見ると、ナノスケールや細胞以下の小さいスケールを対象にした研究から、徐々に、より大きなスケール、つまり細胞集団と材料が相互作用するより高次な現象や機能を制御・活用する可能性が拓かれてきている。

本ワークショップでは、生命科学と物質科学の知見や技術を統合し、細胞と細胞、細胞と細胞外物質の相互作用で生まれる複雑な動態を理解し、人や社会に資する「動的システム」の創出を目指していくこと、これに向けた現状の技術課題や有効な推進方策について議論した。

議論を通し、下記を主とする観点について多様な知見が得られ、また課題の方向性が示唆された。

  • 細胞集団を素材とすることで得られる頑健性や適応性への期待
  • 材料やデバイスでもって細胞の動態を制御していくことの可能性や技術的課題
  • システム創製を目的としたときのモデル構築や計測技術に対する要請
  • 期待される応用と社会受容
  • 多様な分野を跨いだ有効な推進方策

これらの議論を踏まえ、CRDSでは今後国として重点的に推進すべき研究領域と具体的研究開発課題を検討し、研究開発の推進方法も含めた戦略プロポーザルとして、関係府省や産業界・学界等に提案する予定である。

※本文記載のURLは2024年7月時点のものです(特記ある場合を除く)。