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研究開発の俯瞰報告書 論文・特許データ分析(2025年)

はじめに

JST研究開発戦略センター(以降、CRDS)は、科学技術分野の俯瞰、関連する科学技術イノベーション政策の俯瞰、社会的期待の分析、海外における研究開発や政策の動向の調査・分析を行うことにより、課題の抽出を行い、戦略プロポーザルなどの提案を行っている。

CRDSは2003年の設立以来、重要な研究開発戦略を立案する能力を高めるべく、その土台となる科学技術分野の俯瞰に取り組んできた。この背景には、科学の細分化により全体像が見えにくくなっていることがある。社会的な期待と科学との関係を検討し、科学的価値を社会的価値へつなげるための施策を設計する政策立案コミュニティーにあっても、科学の全体像を捉えることが困難になってきている。このような現状をふまえると、研究開発コミュニティーを含めた社会のさまざまなステークホルダーと対話し科学技術分野を広く俯瞰することは、研究開発の戦略を立てるうえでは必須の取り組みである。CRDSでは、政策立案コミュニティーおよび研究開発コミュニティーとの継続的な対話を通じて独自の視点でまとめた研究開発戦略立案の基礎資料「研究開発の俯瞰報告書」(以降、俯瞰報告書)を発信してきた。

今回お届けする「研究開発の俯瞰報告書 論文・特許データ分析(2025年)」は、俯瞰報告書を補完するよう、各分野・各国における研究開発の過去から現在にかけての状況を定量データから捉えようとするものである。調査対象の国・地域は、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、韓国、中国、EUを中心とし、調査対象期間は2014-2023年とした。調査対象の研究開発領域・分野は、「研究開発の俯瞰報告書(2024年)」を一部再編し、「環境・エネルギー分野」31領域、「システム・情報科学技術分野」38領域、「ナノテクノロジー・材料分野」30領域、「ライフサイエンス・臨床医学分野」30領域の計129領域について調査している。さらに、俯瞰報告書の分野とは別に8つの重要分野(環境、エネルギー、情報・AI、ナノテクノロジー・材料、ライフサイエンス・臨床医学、量子、通信、半導体)を定義し、分析を行った。今年度版の公表にあたっては、紙面上では表現しづらかったデータの閲覧性向上を目的とし、オンライン上のダッシュボードでもデータを公開している。

なお、本報告書に掲載した数値データのみから科学技術分野の動向を把握することは困難であることに注意されたい。社会や政策の動きを捉えた、多様な角度からの研究開発動向調査も重要であり、分野別の俯瞰報告書と併せてお読みいただきたい。

これらの調査は、政策立案コミュニティーにおける活用だけでなく、研究者が専門内外の科学技術の状況を理解し多様な可能性を探ることにも活用されることを期待している。また、国内外の科学技術の動向を知りたいと考える方々に広く活用していただきたい。CRDSとしても、今後も検討を重ね、わが国の科学技術の発展に資する提案や発信を行っていく。

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