俯瞰ワークショップ報告書
  • 材料・デバイス

マテリアル設計の未来戦略

エグゼクティブサマリー

わが国および世界が抱える様々な社会課題を克服するためにはマテリアルの飛躍的な革新が必要であるとの認識のもと、日本政府は2021年に「マテリアル革新力強化戦略」を発表し、基礎研究力の強化、データ駆動型マテリアル研究開発の強化、研究エコシステムの構築、人材育成の強化に向けて、現在具体的な取り組みを進めている。

一方で、マテリアルの所望の機能を開拓させるための材料科学的な設計指針・制御手法は必ずしも明らかではなく、「マテリアル設計」に関するサイエンスの新局面を切り拓き、日本発の大きな研究コンセプトを世界に発信することは、今後材料科学における日本の存在感を高めるのに引き続き重要であると考えられる。

本ワークショップでは、日本で生まれつつある萌芽的な研究開発動向を俯瞰し、材料科学や材料設計指針の新潮流をグループワーク方式で議論した。その結果として、以下の方向性や論点が見出された。

  • 材料機能の発現状態の把握・定量化や材料合成プロセスの可視化によるマテリアルズ・インフォマティクスやプロセス・インフォマティクスの深化
  • 複雑物質中のみだれの体系化や非理想界面の理解にもとづく材料設計手法の深化
  • 未踏の極限環境(ラストフロンティア)材料を実現するための機能の時空間制御

これらの方向性には、みだれの制御、界面設計など材料科学の王道的なアプローチも含まれているが、計測技術やシミュレーション技術などの進化によって今後ますます精緻化し、材料科学に新たな局面をもたらすことが期待される。

※本文記載のURLは2024年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。