俯瞰ワークショップ報告書
  • 材料・デバイス

ナノテクノロジー・材料分野 区分別分科会「機能と物質の設計・制御~材料科学の未来戦略」

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が2018年9月22日、23日に開催した『俯瞰ワークショップ ナノテクノロジー・材料分野 区分別分科会「機能と物質の設計・制御~材料科学の未来戦略~」』に関するものである。「機能と物質の設計・制御」領域とは、ナノテクノロジー・材料分野全体に関与するもので、所望の機能を実現させるための構造の設計・制御手法を用いて、サイエンスの新局面を拓き、社会・産業に貢献しうる技術領域である。

 本ワークショップでは、4つの分科会を設置して、「機能と物質の設計・制御」領域に関する国内外の研究動向を俯瞰するとともに、「持続可能社会実現のために解決すべき課題は何か?」「その課題を解決するために必要な材料は何か?」「その材料を実現するために必要な新しい材料科学(現状の材料科学では欠けていること)は何か?」の観点から、国として取組むべき材料科学における将来の研究目標や方向性等について議論することを目的とした。ワークショップの進め方としては、3件の基調講演により参加者全員の意識の共有を図った後、分科会形式による集中討論、参加者全員による総合討論を実施した。また、ワークショップ開催に先立ち、招聘の識者には下記3項目に関するアンケートを実施した。

【項目1】
最近10年間程度の期間に見られた重要な成果
【項目2】
今後10年あるいはもう少し将来において重要となる研究分野あるいは方向性
【項目3】
"New Materials Science for Sustainable Society"をキャッチフレーズとして、「水」「食料」「貧困」「環境」「エネルギー」「医療」などの地球規模の諸課題に対して、①どういう具体的な課題に取り組む必要があるのか、②それを解決するためにはどういうアプローチがあるのか、について、「これからの材料科学」の視点(現状の材料科学では対処できていない点も含め)からの具体的な考え

 一連の検討・議論の結果、以下に示す2つの研究開発の方向性が得られた。

ナノレベルの特性をマクロ物性に表出させる材料科学
秩序性の乱れと時間発展を活用した材料創成

 これらの議論の結果を踏まえてCRDSでさらに検討を加え、今後国として重点的に推進すべき研究領域、具体的な研究開発課題の検討に活用する。