科学技術未来戦略ワークショップ報告書
  • 材料・デバイス

マテリアルイノベーションを実現する先進的計算物質科学

エグゼクティブサマリー

環境エネルギー問題、ICT機器や医療・ヘルスケア関連機器の性能向上、社会インフラの保全・強化などの様々な領域で、用いられるデバイス・装置・システムの課題を解決するために、そこに使われる材料性能の革新的向上(マテリアルイノベーション)が求められるようになった。こうした状況に対し、これまでも新しいマテリアル開発や劣化メカニズム探求に貢献してきた計算物質科学をさらに発展させることで、現実のマテリアル開発プロセスの大部分を計算機の中に取り込み、マテリアル創製を飛躍的に革新する「マテリアル創製デジタルツイン」を構成できる兆しが見え始めている。

本ワークショップでは、計算物質科学をマテリアル開発に応用する際に、最も重要な領域(フロンティア)を議論するとともに、その研究開発を推進するために必要な制度、資金、組織などについての総合的に討論を行った。その結果以下の方向性や論点が見いだされた。

  • 計算物質科学における、現時点でのフロンティアとしては、「電子相関」、「ダイナミクス」、「励起状態」、「マルチスケール」が挙げられる。
  • 計算物質科学のためのソフトウェアを新たに開発するためには、研究者がそれに専念できる、資金・環境が必要である。また、そのプログラムの継続的な発展のためには、プログラムの維持・普及のための仕組みを設ける必要がある。
  • 計算物質科学の推進に必要な多様な人材を育成していくためには、若い研究者に分野の魅力をアピールしていくことや、若者が将来を描けるキャリアパスや人事施策を整える必要がある。

※本文記載のURLは2024年2月時点のものです(特記ある場合を除く)。