科学技術未来戦略ワークショップ報告書
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多様なデータの取得・統合処理を可能にするセンサ融合基盤技術~センシング情報の高付加価値化に向けて~

エグゼクティブサマリー


本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が令和元年12月22日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ「多様なデータの取得・統合処理を可能にするセンサ融合基盤技術~センシング情報の高付加価値化に向けて~」に関するものである。

CO2排出量削減、省エネルギー化、安全な交通システム構築、社会インフラの効率的な維持・管理、介護・医療・健康管理など、安全・安心な社会の実現に向けて我が国が抱える課題は山積している。これら数多くの社会的課題を解決するための鍵として期待される技術がIoT(Internet of Things)である。IoTでは様々な場所に設置したセンサで様々な情報を継続的に取得し、分析・解析をおこない、その結果を何らかの動作(アクチュエーション)としてフィードバックする。IoTで取得すべきデータは多種・多様であるが、それらを高度に活用するには様々なデータを統合的に処理・分析して高次の重要な情報を抽出すること、すなわちセンシング情報の高付加価値化が必要である。一方、ネットワークにかかる負荷の低減やセキュリティ、プライバシー保護、リアルタイム情報処理の必要性などから、IoTにおいては情報を生み出す側(エッジ側)における情報処理の重要性が認識され、センサ端末、エッジ側情報処理機器、ネットワークで構成されるエッジ側のセンシングシステムの果たす役割が重要になっている。このような背景を踏まえ、CRDSでは多様なセンシングデータの取得とその統合的処理を可能にするための基盤的技術(=センサ融合基盤技術)の構築を重要テーマの一つとして掲げ、その推進方策を検討している。

本ワークショップでは、IoT・センシングの主な応用分野における最近の研究や、重要基盤技術の研究、技術シーズに関する専門家からの話題提供をもとに、現状で不足している技術や今後注力すべき研究開発課題、研究開発を進める上で必要な視点ついて議論することで、センサ融合基盤技術の構築に向けた重要課題の抽出を図った。また、CRDSが事前調査を通じて用意した仮説に基づいて議論をおこない、研究開発課題の推進方策や必要な環境、支援体制などについて検討した。

本ワークショップでの議論を踏まえてCRDSでは、今後国として重点的に推進すべき研究開発領域、具体的な研究開発課題を検討し、研究開発の推進方法を含めて戦略プロポーザルを作成し、関係府省や関連する産業界・学会等へ提案する予定である。

※本文記載のURLは2020年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。