- 横断・融合
組織における知識創造支援に関する理論と技術の構築(第2回)
エグゼクティブサマリー
JST研究開発戦略センター(CRDS)では、戦略プログラム「組織における知識創造支援に関する理論と技術の構築」(2009年2月発行)に基づき、新しい知識を組織として生み出すプロセスにスポットライトをあて、それを支援するための理論や技術を構築するために今後行っていくべき研究開発について議論を開始した。
戦略プログラム「組織における知識創造支援に関する理論と技術の構築」で提案されている研究開発を推進するコミュニティはまだ形成されていない。CRDSでは、こうした研究開発課題へ人材を誘導するため、具体的でわかりやすい例を研究者コミュニティに提示し、研究プロジェクトの立ち上げを推進していきたいと考えている。
2009年1月に第1回ワークショップを開催し、CRDSの提案と関連が深そうな研究分野の状況をできるだけ多く伺うことに注力した。今回(第2回)は第1回ワークショップで伺った研究内容をふまえてCRDSが具体的な枠組み(どのような現場でどのような成果を求めるのか)を設定し、その枠組みの中で4チームに分かれてディスカッションを行い、チーム型研究プロジェクトの例(仮想)の設計に取り組んだ。
本稿は、今回のワークショップのグループワークで議論された内容の報告である。メンバーを入れ替えながら行われた数時間に及ぶグループワークで、幅広い専門家の知識が結集され、興味深い研究プロジェクトの骨格が浮かび上がってきている。注目すべきは、企業体、美術館、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、医療において別個独立に議論をしたにもかかわらず、各チームが提案した組織的な知識創造プロセスの骨格は各現場固有のものではなく、他の現場についても適用可能と考えられる点である。即ち、個別の現場で「組織における知識創造支援」のための様々な理論や技術を創り出し、これらを共有しながら発展させていくコミュニティを新たに構築することができるのではないかとの期待がふくらむ。今後CRDSで更に検討を加えて、具体的な研究プロジェクトの構想を提案したい。