研究体制

創発研究者(2020年度採択)

ま行

前田 恵理

(田中パネル)

未婚男性への教育介入は精液所見と将来の出生力を改善するか
先進諸国の男性の精液所見は近年悪化していることが知られていますが、一般男性を対象に生活環境要因と将来の妊娠出産との関係を長期的に評価した研究は極めて少ない状況です。
本研究では男性を対象に、生活環境要因等、修正可能なリスク因子を測定し、精液所見や出生力との関連を明らかにします。さらに、将来の健康と家族形成を見据えた保健教育を実施し、男性への教育によって不妊や妊娠・分娩合併症の予防が可能か検討します。

増田 豪

(塩見パネル)

高分解能な空間プロテオミクス技術の開発
生物は様々な種類の細胞が適正に配置され相互に関係することで正常に機能しています。タンパク質は生命現象の主要な役割を担い、細胞内外で複雑なネットワークを形成しています。本研究では、タンパク質発現プロファイルを1細胞で取得する技術を確立し、それらを組織上で可視化する分析システムを創出します。生物を構成する全ての細胞について、個々の役割と連携をタンパク質レベルで解明することを目指します。

増田 容一

(井村パネル)

筋肉・受容器・神経デバイスの超分散化で切り拓くBrainless Robotics
我々が小道を歩くとき、ロボットのように毎秒何百回もの最適化計算を行うでしょうか?予測不可能な環境を計算し尽くすことは困難であり、今後訪れるロボット大進出時代のためには、頭脳先行型の制御戦略を脱する必要があります。本研究では、動物末梢に備わる計算なき運動知能を理解して実装するため、機械式の筋肉・受容器・神経デバイスをロボット全身に埋め込み、上位脳のわずかな調整により統御する新ロボット学を創成します。

松井 崇

(田中パネル)

脳疲労のグリア―神経連関機構を解明するスポーツ神経生物学
疲労はアスリートや社会人にとって克服したいものですが、過活動を防ぐ生体防御機構でもあります。脳のアストロサイトに貯蔵されるグリコーゲン由来の乳酸は神経のエネルギーとして認知機能や持久性能力を担う一方、中枢疲労シグナルにもなりえます。本研究では、持久運動の疲労動物モデル、培養脳細胞、遺伝子導入等を駆使し、この新説を実証する「スポーツ神経生物学」を推進します。

松浦 妙子

(天谷パネル)

超小型音響センサを用いた生物学的適応型陽子線治療
本研究では、がんの陽子線治療における二つの挑戦的課題を解決するための技術開発を行います。一つ目は陽子線が体内で停止する位置を正確に把握して正常組織を守ることです。超小型音響センサにより陽子線から発生する「音」を聞くことでこれを実現したいと考えています。二つ目は陽子線が生体に与えるダメージの正確な評価です。物理的評価だけでなく生体反応を考慮した評価を試み、副作用のリスクを極力抑えたいと考えています。

松尾 太郎

(川村パネル)

革新的分光技術による宇宙生命探査
本研究は、太陽系の近傍にある、生命を宿す候補の惑星大気を分光する技術を確立して、2030年代に打ち上げが検討されている宇宙望遠鏡において生命探査を実現するものです。また、理学と工学の研究者が連携をして、超小型衛星の編隊飛行による宇宙干渉計を世界で初めて実現し、天文観測だけでなく、地球観測や太陽系内の観測性能を飛躍的に向上します。

松岡 悠美

(天谷パネル)

皮膚ミトコンドリア老化・初期化の自然免疫系によるコントロール
老化細胞は、正常な細胞死に抵抗性になり、炎症誘導物質、タンパク質分解因子などを分泌し、組織機能を障害する。老化とともにミトコンドリアゲノムは変異を生じ、ヘテロプラスミーとなる。本研究では、老化を伴う皮膚炎症と伴わない皮膚炎症のミトコンドリアゲノムヘテロプラスミー比較を中心に、ROSのミトコンドリア老化に対する、老化・初期化の2面性の存在を明らかにし、自然免疫系を介した抗加齢技術の基盤創出を目指す。

松崎 賢寿

(田中パネル)

多臓器発生を最大化する「場と細胞膜」の硬さの定量解明
本研究では光技術と高分子技術を組み合わせ、ミクロからマクロまでの「場と細胞膜」の硬さを計測・制御できる独自のシステムを構築し、技術的イノベーションを起こします。この技術が、臓器毎に異なるオルガノイド(臓器の種)の培養法を”身近な指標である硬さ”で統一化する破壊的イノベ ーションをもたらします。これにより誰もが平易にオルガノイドを扱うことが実現され、基礎生物学から創薬学まで革新的な発展が期待できます。

松田 信幸

(北川パネル)

時間領域フォトニックデバイスの創成
本研究では、空間的な屈折率分布に基づく光学素子の概念を時間の領域へと拡張した新たな光デバイス技術を創出します。時間的な屈折率境界における光学現象の観測と理解を進めながら、ビームスプリッタなどの光学素子を時間領域に作製し、その動作を実証します。さらにそれら素子を組み合わせ、高度な光情報処理のための光回路を構築します。これにより、空間的な制約から解放された新たな光デバイス技術の確立を目指します。

松前 ひろみ

(八木パネル)

生物学と人文科学の融合:人類情報学(Anthropological Informatics)の構築
本研究では情報学の観点から、既存の学術分野を超えて人類に関連する学術データを繋げ、生物学(ゲノムから生物多様性まで)と文化の観点からヒトを捉え直す試みです。これを人類情報学と定義し発展させます。そこでヒトの進化や多様性を考察するため、文化データの定量解析を進めます。次に生物多様性データをヒトの情報に繋げていき、人類社会と生物多様性の関係を解明・評価するための基礎研究を行います。

松本 翼

(北川パネル)

超高濃度ドーピング技術で拓くダイヤモンドパワーエレクトロニクス
究極のパワーデバイス材料と期待されるダイヤモンドを用いたパワーエレクトロニクスを学問だけではなく、産業としても創成し、革新的な省エネルギー技術を世界に発信することで、温室効果ガス排出量の大幅削減、持続的発展可能なエネルギーの超高効率社会を実現することを目的としています。最重要課題である低抵抗なn型ダイヤモンド半導体を実現し、誰しも効率的かつ安全に電力を使用できる破壊的イノベーションを起こします。

松本 伸之

(川村パネル)

大質量機械振動子を用いた巨視的量子力学分野の創発
従来の量子計測の対象は、原子や光子といった微視的なものでした。本研究では、重力相互作用の観点から十分に巨視的な、つまり重い機械振動子(振り子)の振動を単一量子レベルで計測し制御するための新技術を開発します。これにより、量子力学の適用範囲を極めて巨視的な系に拡張すること自体が興味深いことに加え、他の系では実現が困難な、重力と量子の境界領域における物理学のフロンティアの開拓につながります。

松山 智至

(川村パネル)

超高分解能アダプティブX線顕微鏡の実現
電池や触媒のような複雑な試料の内部構造を非破壊・高分解能で可視化するために、高分解能X線顕微鏡が求められています。空間分解能はレンズの作製誤差によって劣化しますが、高分解能X線レンズの作製はすでに技術的限界に到達しつつあり、ブレイクスルーが必要です。この問題を解決するために、アダプティブ反射レンズを用いた超高分解能X線顕微鏡の実現に挑戦します。これによって電子顕微鏡に匹敵する分解能を目指します。

丸山 善宏

(八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

記号的AIと統計的AIの圏論的統合による次世代AIパラダイム創出
現在主流の統計的AIは、人間社会で大きな問題となり得るマシン・バイアスや説明可能性の問題を抱えています。本研究では、科学の新たなモデリング言語として台頭してきた圏論を用いて、統計的AIを記号的AIと統合することでそれらの問題を解決し、人工知能を単なる便利な技術ではなく、数学的に安全性と正当性を保証された、より倫理的かつヒューマン・フレンドリーなものとし、新たな圏論的融合AIパラダイムを創出します。

萬井 知康

(伊丹/福島パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

スピン偏極電子を用いた化学反応制御

三浦 大樹

(北川パネル)

金ナノ粒子―他元素協働が拓く不均一系有機合成の新展開
本研究では、金ナノ粒子と他元素の協働触媒作用を利用することで種々の分子間結合形成反応に対して優れた分子変換効率を示す触媒系を開発し、高付加価値かつ真に有用な有機合成中間体の実用的製造を可能とするプロセスへと展開します。また、無機固体材料上において効率的な協働触媒作用が発現する原理を解明することで、環境調和的かつ高効率な有機分子変換を実現可能とする不均一系触媒の新たな構造設計指針を構築します。

三浦 正志

(井村パネル)

新材料設計指針により対破壊電流密度に挑む
超伝導技術は、SDGsやSociety5.0社会への貢献が期待されています。しかし、超伝導の応用上重要な臨界電流密度は、量子化磁束の運動の影響を受け理論限界である対破壊電流密度の5~10%程度です。本研究では、臨界電流密度の理論モデル、磁束ピン止め点導入技術、磁束の熱擾乱抑制技術、キャリア・ひずみ制御技術を融合し、新しい材料設計指針により臨界電流密度を対破壊電流密度に近づけることを目指します。

溝尻 瑞枝

(井村パネル)

超回折限界精度での光熱還元析出制御と3D造形応用
超短パルス(パルス幅:サブピコ~ピコ秒)レーザにより誘起される光熱還元金属析出メカニズムを解明し、超回折限界空間の局所加熱が拓く新たな学理を創出します。また応用の一例として、大気中金属3D微細造形や金属プリントに取り組みます。レーザ照射時の金属析出現象を数百フェムト秒時間分解能で明らかにすることで、過剰な加熱による析出金属の再酸化抑制が可能になり、大気中で様々な金属・半導体の局所析出を実現します。

道端 拓朗

(吉田パネル)

多圏間の相互作用を紐解く新しい地球温暖化科学の創設
信頼性の高い気候予測を実現するためには、数値気候モデルが特に苦手としている雲・降水過程の理解が必要不可欠です。本課題では、私が開発した世界最高水準のモデリング手法を搭載した気候モデルを用いることで、大気圏・海洋圏・雪氷圏にまたがる相互作用の理解深化を目指します。雲・降水に起因する気候フィードバックを素過程レベルで解明することで、多階層に絡み合った不確実性を解きほぐす研究成果が期待されます。

峰野 博史

(石塚パネル)

マルチモーダルフェノタイピングによる適応型情報協働栽培手法の確立
本研究では、先端IoE (Internet of Everything)を駆使して、静的かつ動的な植物生理情報や生育に影響する農作業も含めたマルチモーダルフェノタイピング技術を切り拓くとともに、マルチスケール・マルチモーダル・マルチテンポラルな経時データセットの革新的な知能化によって、行動変容を伴うヒューマンインザループによる革新的な適応型情報協働栽培手法の確立を目指します。

三宅 康之

(水島パネル)

ウイルス感染における宿主因子の動態と分子機能の解明
ウイルス感染における分子反応の連続的な作用機序には多くの不明な点が残されており、抗ウイルス薬の開発にはその分子基盤の理解が必須です。本研究はウイルスが細胞に感染する際に働くウイルスタンパク質と宿主因子の複合体機能を分子レベルで明らかにします。将来的にはクライオ電子顕微鏡技術等を用いることで、超分子複合体構造をも明らかにし、創薬への応用を目指します。

宮崎 亮

(石塚パネル)

腸内細菌叢の再構築による創発的共生システムの解明
腸内細菌叢の形成原理や宿主との関連性は極めて複雑で難解です。腸内共生システムとして優れた特徴を有するミツバチを用いて腸内細菌叢を実験的に再構築し、個々の腸内細菌の挙動を1細胞レベルで可視化・定量することで、腸内細菌叢の時空間ダイナミクスおよび関連する宿主行動・生理機能の解明に挑みます。ミツバチを腸内細菌叢研究の新しいモデルとして確立し、腸内細菌叢が制御する宿主機能・行動の分子基盤に迫ります。

宮本 吾郎

(北川パネル)

界面組成の高度制御法確立による構造用金属材料の力学特性向上
高効率・高信頼性社会の実現には構造用金属材料の高強度化が不可欠です。構造用金属材料を高強度化すると破壊が粒界から生じるようになるため、特性向上のボトルネックとなっています。そこで、本研究では、粒界における元素間の相互作用を実験的に解明したうえで、計算状態図の考え方を粒界に適用し、粒界への元素濃化(粒界偏析)を設計する粒界偏析設計の概念の有効性を実証し、力学特性を向上させる指導原理を確立します。

宮本 大祐

(合田パネル)

新旧の情報を統合する睡眠脳のダイナミクス
脳は獲得した情報を記憶として長期的に保持するだけでなく、新情報によりアップデートします。新旧の情報の統合は脳の柔軟な情報処理に貢献し、認知症の一症状の固執性を回避します。本研究は、記憶の貯蔵庫となる大脳皮質と新情報を担う海馬の睡眠脳波のリズムによる脳領域間コミュニケーションを計測します。そして、最新の光遺伝学的手法をマウスの記憶研究用ツールと融合し、脳ネットワークを高精細かつ大規模に可視化します。

椋平 祐輔

(吉田パネル)

圧力・温度自動応答スマート流体による資源開発革命
地熱・シェールガス等の非在来型資源・CO2地下貯留等の地下開発は、持続可能な社会の実現に重要です。これらの資源は流体で、地層中の流路であるき裂内を流れます。この流れを制御できれば、地層からの更なる資源生産が可能になり、新たな流体資源開発革命に繋がります。本研究では、地下の圧力や温度に応答して流体自体がき裂を開閉するような機能を持つスマート流体を用いて、資源流体の流れをコントロールすることを目指します。

村井 純子

(塩見パネル)

複製ストレス制御機構が引き起こす生命現象の総合的理解
1つのヒト細胞には60億塩基対のDNAが含まれ、これらを正確かつタイムリーに複製することは、正常な発生のみならず、がん化を抑制するために重要です。しかしDNA複製は様々な要因により障害(複製ストレス)を受け、細胞死やDNA変異の原因となります。本研究では複製ストレス制御因子に注目し、複製ストレスが関与する発生、がん、抗がん剤の効果や副作用などの生命現象を明らかにし、がんの治療に繋げます。

村田 亜沙子

(伊丹/福島パネル)

RNA標的のケモインフォマティクス
RNAの機能不全が種々の疾患に関わることが分かっており、RNAは次世代の創薬標的として注目されています。しかしRNAを標的とした低分子創薬は進んでいません。その理由として、RNAに結合する低分子と分子設計指針の少なさが挙げられます。本研究は、低分子-RNAペア(低分子とそれが結合するRNA)の網羅的探索法を開発し、低分子-RNAペアのビックデータ解析により、RNA標的薬の設計指針を獲得します。

毛内 拡

(合田パネル)

脳のアナログ調節機構を支える間質液動態の解明
気分や注意など「こころのはたらき」の中には、ニューロンの精密で速いデジタル伝達だけでは説明がつかない現象が多くあります。私はこれまで、脳の広範囲にわたるゆっくりしたアナログ調節機構に、脳細胞のすきまを満たす「間質液」の流れが中心的な役割を果たしていることを提案してきました。本研究では、これまで誰も見たことがなかった間質液の流れを可視化する技術開発に挑戦し、脳科学研究における新たな価値を創出します。

森 康治

(天谷パネル)

動的異常翻訳のメカニズムとその病的意義
ゲノム上で特定の配列が反復して異常に伸びてしまうことでおきる病気が続々と見つかっています。こうした反復配列のほとんどはタンパク質の設計図としての特徴をもちませんが、通常とは異なる仕組みで病気と関係するタンパク質へと翻訳されることがわかってきました。本研究では翻訳を司る分子が反復配列上でぶつかったり滑ったりしながら動的に翻訳を調節し、病気に関わる多様なタンパク質を生み出す仕組みを明らかにします。

モリ テツシ

(阿部パネル)

難培養微生物の完全利用に向けた生細胞特異的識別・培養基盤技術の開発
環境に生息微生物は有用な遺伝子資源として長年において、様々な分野の発展・進展に貢献してきました。しかし、この多くの有用微生物は難培養性であり、従来の単離・分離技術ではその獲得そして応用まで用いるのは非常に困難です。本研究では、新規そして独創性がある種特異的生細菌識別手法および難培養微生物の培養に向けたシステムの開発に挑戦し、難培養微生物叢から有用微生物の獲得および完全利用を目指します。

森前 智行

(八木パネル)

耐量子暗号によるハイブリッド型量子暗号プロトコル
量子の不思議な性質を使って様々な暗号タスクを実現する研究は量子暗号と呼ばれています。従来の量子暗号は情報理論的安全性、つまり攻撃者がどんなに強力であっても破れないものでした。一方で量子計算機でも破ることのできない暗号(耐量子暗号)を組み込むことにより、これまでにない新しい機能を実現できることがわかってきています。本研究では耐量子暗号とのハイブリッド型の量子暗号プロトコルを構築することを目指します。

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