八木パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO:八木 康史(大阪大学 産業科学研究所 教授)

【専門分野】知覚情報処理、知能ロボティックス

大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程了後、三菱電機株式会社応用機器研究所/産業システム研究所、大阪大学を経て、2003年大阪大学産業科学研究所教授、2012年年同研究所長、2015年8月から大阪大学理事・副学長を務め、現在、産業科学研究所教授。Asian Federation of Computer Vision Societies (Vice President)、情報処理学会フェロー、文部科学大臣表彰(研究分野)などを受賞。工学博士。
専門は、コンピュータビジョン、パターン認識、ロボットビジョンの研究等。世界に先駆け全方位カメラ(周囲360度を一度に撮影)を考案したり、裁判の証拠として利用されている世界初の歩容鑑定システムをリリースするなど数々の先端技術を開発している。

創発アドバイザー(五十音順)

青木 孝文
東北大学 理事・副学長
稲葉 雅幸
東京大学 情報理工学系研究科 教授
井上 美智子
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授
岡部 寿男
京都大学 学術情報メディアセンター センター長・教授
加藤 博一
奈良先端科学技術大学院大学 理事・副学長
黄瀬 浩一
大阪公立大学 大学院情報学研究科 教授
杉山 将
東京大学/理化学研究所 大学院新領域創成科学研究科/革新知能統合研究センター 教授/センター長
松井 知子
統計数理研究所 モデリング研究系 教授
湊 真一
京都大学 大学院情報学研究科 教授
森 健策
名古屋大学 大学院情報学研究科 教授
森島 繁生
早稲田大学 先進理工学部 教授

創発研究者一覧

2022年度採択

青山 一真

(八木パネル)

Cross Physics Nerve Stimulationによる高度な神経刺激手法の構築
この研究では、神経活動に対して異なる性質で効果を与える電気・磁気・熱・振動・圧力の5つの高い物理現象の特性の違いと、その相互作用を積極的に活用する事で、空間的・時間的・強度的に高度な神経刺激(Cross Physics Nerve Stimulation)を開発します。また、各刺激と化学物質や血流を含む複雑な物理現象を有限要素法によりモデル化し、神経がもたらす全ての身体的・生理的・心理的能力の拡張する刺激の設計を可能とします。

雨宮 智浩

(八木パネル)

身体融合錯覚による感覚運動体験の拡張
本研究では、物理世界の自分の身体とは異なる身体像に生じる擬似体験を、自分自身のものとして身体や運動に帰属させる「身体融合錯覚」を提唱し、それを利用した体験拡張手法の設計論の確立を目指します。 VR やAR などの工学的な手法で提示・合成された感覚情報によって多彩な感覚運動体験を創出し、ソーシャル VR などの情報通信技術を媒介した身体的コミュニケーションの新手法の構築や教育訓練への応用に挑戦します。

五十嵐 歩美

(八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

実応用に即した資源配分メカニズムの開発
仕事をどう分担するか、医療物資をどう配分するかなど、我々の社会ではさまざまなものを公平に分ける場面に遭遇します。ユーザーがどのような公平感を求めるかは応用例によって変化し、応用と理論の両輪に基づいた研究の発展が必要不可欠です。本研究では、利用者の負担を最小にする、公平かつ効率的な資源配分メカニズムの構築、さらに実応用に則した適切な理論構築のために業務分担などの一般向けWebサービスの開発を目指します。

池田 佳奈美

(八木パネル)

光情報解析システムの創生
AI処理技術・機械学習技術は社会に今後さらに大きな影響を与えると予測できます。 AI や機械学習を用いて有用な知見を得るためには、情報解析のみではなく情報取得も重要な要素です。本研究では、光計測と光情報処理を融合した、情報取得と情報解析の境界がない光情報解析システムの可能性を追求します。

唐木田 亮

(八木パネル)

学習力学を数理基盤とした革新的ニューラルネットワークの開拓
深層学習の登場によりニューラルネットワークは機械学習や人工知能の基盤技術として急速に発展しています。しかし高い性能を発揮するために、大量のデータや計算資源と、それを必要とする特定の情報表現や学習様式に強く依存して開発が進んでいます。本研究では、 深層学習のもとで発展しつつある学習力学の数理を足場としながら、生物の脳神経回路モデルに着想を得た構造や学習様式 を取り組み、より効率的で柔軟な神経計算の実現を目指します。

齋藤 卓

(八木パネル)

蛍光情報工学による高次元1分子計測テクノロジーの創出
本研究では、蛍光の伝播を制御する光符号化技術を発展させ超解像光学顕微鏡である1 分子局在化顕微鏡に導入し、空間 3 次元、マルチカラー、リアルタイムでの蛍光1分子イメージングという計測次元と時空間分解能に革新をもたらす顕微鏡技術を開発します。開発した計測技術を用いて、遺伝子発現、シグナル伝達など生命の基本原理に関わる分子反応をリアルタイムに計測し、生命科学領域のブレークスルーを目指します。

坂本 大介

(八木パネル)

デジタル体験の多様性、公正性、包括性のための情報科学
現代のデジタル機器は、身体的・精神的に健康でデジタルの知識を有する人々の生産性を最大化するためにシステムが設計されてきましたが、今後のデジタル機器は多様な人々に対して(多様性)公平に拓かれた存在で(公平性)、彼らの生活を豊かにするもの(包括性)であることが期待されています。本研究では「ユーザインタフェース」の観点から一人ひとりが生きる喜びを得られるようなデジタル体験の実現に挑戦します。

篠田 一馬

(八木パネル)

多元・小型・低容量を同時達成するメタイメージングの創成
自動運転や遠隔医療といった応用に向けて人間の目では識別できない光の波長や偏光の画像撮影が不可欠となっていますが、画像情報の多元化には、解像度、機材規模、撮影回数、データ容量などが犠牲になるトレードオフが発生していました。本研究では、撮影成分の多元化と圧縮の機能を併せ持つメタマテリアルを開発することで、超小型かつ超低容量に様々な光情報を一回で撮影する新しいイメージングを開拓します。

首藤 裕一

(八木パネル)

自己安定アルゴリズムの飛躍的発展に向けた研究
多数のコンピュータが協調して動作するシステムを分散システムと呼びます。生物の傷がやがて治癒するように、一部のコンピュータに障害が発生しても分散システムの機能を自律復旧させる仕組みとして、「自己安定」と呼ばれる技術があります。本研究は、緩安定、平滑評価と呼ばれる新たなアプローチを主軸として、自己安定の適用可能範囲を飛躍的に拡大し、多種多様な分散システムの故障耐性を大きく高めることを目指します。

高道 慎之介

(八木パネル)

計算機が人間に准ずるための音声認識合成技術
本研究は、人間に准ずる存在として計算機を実装するための音声認識合成技術です。そのような存在の実現には、人間と同じように計算機が喋り泣き笑う音声合成技術と、逆に人間のそれらを認識する音声認識技術が必要です。本研究では、そのための音声デザイン、機械学習、共通基盤データベースについて研究開発します。

陳 オリビア

(八木パネル)

高性能非ノイマン型超伝導SoCの開発
情報社会の高速発展に伴う電力危機を緩和するため、従来の演算アルゴリズム、アーキテクチャ、デバイス・材料にとらわれない破壊的コンピューティング技術が求められています。本研究は厳密計算と非厳密計算両モードを備える超伝導計算コアに、ハードウェアセキュリティ技術とCMOSメモリを加えた超伝導SoCを開発します。それぞれ技術の性能を最大限に引き出すことに挑戦し、高速と低電力両立できる革新的なコンピューティング技術の確立を目指します。将来的には量子計算機との複合化より、次世代のスーパーコンピュータの実現を目標として、科学的発見加速や新分野の開拓に貢献します。

中村 栄太

(八木パネル)

理論と社会的実験で築く知能と文化の進化動力学
情報学と物理学の手法を融合する研究方法で、人の高度な創作を支える知能と文化の発展原理の解明に取り組みます。複雑な文化的産物に関する知識が社会的な相互作用の中で生まれて発展する過程を表す数学モデルに基づく進化動力学の構築と、文化発展の過程を観測・分析するための社会的実験の研究を行います。音楽、文学、視覚芸術などの創作文化の発展の理解や予測、効率化に役立つ科学を目指します。

平原 秀一

(八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

メタ計算量による暗号の安全性の解析
計算量理論は、計算に必要とされる計算量(計算時間・メモリ等)を解析する学問です。近年、計算量を問う問題の計算量を考える「メタ計算量」という概念を用いることにより、計算量理論および暗号理論における重要な未解決問題に進展を与えられることが明らかとなってきました。本研究では、メタ計算量を用いて、暗号の安全性に関わる未解決問題を解決し、より安全な暗号を構築することを目指します。

廣井 慧

(八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

防災IT連携基盤によるCrisis Computingの創出
本研究は、根拠データに基づいた被害把握や防災対応を可能にするため、数時間先の被害を詳細に予見可能な情報技術 Crisis Computing の創出を目的とします。優れた防災要素技術と実働システムとのリアルタイム連携技術、災害や人間行動を精緻に現出技術、対応策の検証環境を研究開発し、未知の災害に対しても被害を最小化する対応策の導出と減災社会の実現を目指します。

吉井 和佳

(八木パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

ニューラルタイムマシン:時空間視聴覚場の分析合成系
本研究では、 視聴覚情報記録メディアの究極形として 、 自らの視聴覚を通じた過去の高臨場体験に加えて 、過去への干渉 (「 たら 」 「 れば 」) を可能にするタイムマシンを実現します 。 その技術的な核心は 、 駆動源まで還元された時空間視聴覚場の分析合成系であり 、 拡張現実スマートグラスを用いて 、 過去にその場に存在した人 ・ 物体との自由視点リアルタイムインタラクションを実現します 。 この技術により 、 過去をリソースとする次世代エンターテインメントの創出を 目指します 。

2021年度採択

今泉 允聡

(八木パネル)

深層学習の原理記述に向けた構造汎化理論スキームの開発
本研究は、深層学習の原理を記述する理論の新しいスキームを開発します。深層学習の汎化性能(予測性能)の理論は、近年の発展にもかかわらず未解決問題も多く、この不理解が深層学習の効率的な実運用を阻害しています。本研究は、統計数学や確率論の基礎研究によって既存理論の限界を解決し、深層学習の汎化理論を体系化します。深層学習時代の統計的学習理論を確立し、加えて理論に基づいた深層学習の効率的運用を目指します。

大上 雅史

(八木パネル)

マルチモダリティ創薬を拓くインフォマティクス基盤
多様化・高難易度化する創薬研究開発の状況を打開するため、本研究は薬のタネとなり得るさまざまな分子の種類(モダリティ)を、統一的な情報技術・手法によって扱うためのインフォマティクス基盤の実現に挑戦します。「マルチモダリティ創薬」という新たな学問分野を開拓し、情報技術の横断化・共通化によって得られる革新的技術により、将来の医薬品産業にブレイクスルーをもたらします。

大久保 潤

(八木パネル)

方程式と双対性でつなぐ革新的データ処理技術の創出
データ社会を支える情報基盤の効率化には、これまでとは発想が質的に異なる計算技術が必要です。本研究では双対性という数理を軸にして、方程式とデータを柔軟に結ぶ技術を提案します。方程式からのアプローチとデータからのアプローチを双対性で融合し、機械学習に必要なデータ量の低減や、方程式を軸にした機械同士の柔軟な接続を実現します。この「機械に優しい基盤技術」を確立し、柔軟な社会デザインの設計に貢献します。

小泉 直也

(八木パネル)

時空自在計算による究極のディスプレイの設計手法
未来のディスプレイを、物理法則に従ったコンピュータグラフィックを用いて設計し、バーチャルリアリティ空間で⼼理物理実験による評価をすることで、ディスプレイの理想の形を追求する研究です。実際に装置を作るのではなく、物理特性に基づく計算によって、ディスプレイの理想をトップダウン的に考え、将来実現するべき究極のディスプレイを明らかにします。

小山 翔一

(八木パネル)

音の空間的制御とその応用展開
複数のスピーカを用いて音を空間的に制御する技術を実現します。このような技術により、3次元空間の領域的な騒音を抑圧する、あるいは音を局所的な領域のみで再生する、といったことが可能となり、日常生活や高雑音の環境下において、静音化や音のゾーニングなどに応用可能です。従来は広い領域の音の制御は困難とされてきましたが、音としての特性を陽に取り入れた新たな信号処理・機械学習技術によってこれを実現します。

笹野 遼平

(八木パネル)

深層学習とフレーム意味論の融合
文をベクトルで表現する深層学習ベースのシステムは人間と類似した出力ができるようになってきています。しかし、固定長のベクトルでは文の意味内容を十分には表現できず、また、理解の過程を人間が把握することは困難であるという問題があります。本研究では深層学習ベースの言語処理システムの中間表現を意味フレームにグラウンディングすることで、理解の過程を人間が把握可能な深層学習ベースの文処理技術の確立を目指します。

中島 悠太

(八木パネル)

映像記述のための言語を創出する人工知能の実現
深層学習のモデルは映像の意味をほとんど理解できていないことが最近の研究で明らかになってきました。本研究では、どこに注目するかによって様々な解釈ができる映像を、深層学習のモデルがうまく捉えきれていないことにこの問題の本質があると考えます。人が言語によって見たもの・ことを説明できることに着目し、深層学習でも「言語」を学習によって創り出し、その「言語」で映像を記述する仕組みによって、真に映像を理解する人工知能を創出します。

原 祐子

(八木パネル)

IoTエッジ向け組込みハードウェア/ソフトウェアのセキュア設計
本研究は、IoTセキュリティ強化のため、(1)多種多様なIoT/組込みシステムの要求に応じたセキュリティレベル(攻撃の困難さ)と従来設計指標(電力・処理時間)のトレードオフ、(2)ハードウェア/ソフトウェア両面から包括的なサイドチャネル攻撃対策を可能にする設計手法の創出に取り組みます。設計効率とセキュリティレベル向上という2つの新しい課題に挑戦し、セキュアなIoT/組込みデバイスの実現に向けたブレークスルーを狙います。

久野 遼平

(八木パネル)

認知・実態ネットワークによる社会情報の構造化
社会情報を「社会の実態」と「人が捉えた世界」に分け、ネットワーク学習やグラフ生成技術を用い構造化することで、新たな分析技術を創出します。特に本研究では金融など詳細なデータが豊富に取得できる分野だけではなく、従来統計的手法があまり適用されてこなかった法分野においても技術開発を行います。法に関しては日米の判決文から法の使われ方のネットワークを構築し、日米における社会ルールの捉え方の違いや法の構造分析を行います。

平松 光太郎

(八木パネル)

コグニティブ分光プラットフォームの創生
光コンピューティング分野において研究されてきた、空間位相変調器を用いた光学的演算処理や全光学的リザバーコンピューティング技術を活用することで、分光イメージング情報を生命科学・物質科学的に解釈できる次元へと光学的に射影する方法論「コグニティブ分光プラットフォーム」を構築します。特に、ハイパースペクトル画像、タイムストレッチ分光信号の光学的解析法を確立し、先端的細胞計測・材料計測へと応用します。

藤田 桂英

(八木パネル)

つながる人工知能の実現 ーAI間交渉・協調ー
完成された個別のAIが他のAIと人間社会のように協調するという形でつながり、一体のAIがもつ能力を拡張できるつながる人工知能を実現します。そのために、個別AIが別のAIとつながる技術、つまり、AI間協調・交渉の確立と実用化に取り組みます。さらに、AIと人間が協調・交渉によりつながる仕組みを考案し、人間社会に追加的価値を生み出す新しい社会システムの実現を目指します。

舟洞 佑記

(八木パネル)

着衣型能動デバイスが拓くヒト動作と触感覚の制御
私が可能性を模索してきた布を能動化する技術を、応用可能な確固たる技術シーズとするために、布型デバイス設計法の確立と布型デバイス特性の体系化を目指します。加えて、衣服のように着用可能な全身用着衣型能動デバイスによるヒト動作・ヒト触感覚の制御に挑みます。体表全体に渡る感覚器を十全に活用することで、ヒトの適応能力を発現・拡張させ、ヒトと機械システムが高度に融合した社会への変容を促します。

布山 美慕

(八木パネル)※2023年9月卒業

量子確率を用いた不定な文章理解とその効果の認知研究
一度に一つの確定的な状態を取る身体と対比的に、思考は複数の解釈を同時に抱いたり、一つに定まらない状態を取りうる可能性があります。本研究はこの思考の不定性の可能性や機能を文章理解を対象として実証的に示すことを目指します。不定な認知状態を量子確率を用いてモデリングし、心理実験と文章の工学的分析を併用して、美的体験をはじめとするその認知的効果と、不定な状態を惹起する文章や読者の特徴づけを行います。

森 立平

(八木パネル)

グラフ状態の効率的な生成及び活用
「グラフ状態」と呼ばれる量子状態のクラスは測定型量子計算など様々な量子情報処理に用いられる重要な量子リソースです。現在までに提案されてきた数々の量子情報処理プロトコルを実現するためには、グラフ状態の効率的な生成問題を現実的に解決する必要があります。本研究課題では計算機科学の知見に基づき、グラフ状態の効率的な生成アルゴリズムを開発します。また、グラフ状態を活用する新たな量子計算の枠組みを開発します。

吉村 奈津江

(八木パネル)

脳波による脳内メカニズムに基づいた音声合成技術の創発
本研究では、自分が聞いた音や思い出した音を脳波から再現することを目的としています。この実現により第三者が聞ける「音」として脳波から再現でき、本人が脳のどこでどのように聞こえているかがわかる可能性があります。さらには、発話ができない人や環境において、思い浮かべただけで音声として再生するサイレントスピーチ技術の確立につながり、考えただけで周囲の機器を操作可能な社会の実現に貢献できる可能性があります。

2020年度採択

伊藤 勇太

(八木パネル)

光線場変調による人の現実世界認識の拡張
本研究では、【存在と場の拡張】という研究ビジョンのもと、人々が現実世界の認識を能動的に拡張し、新たな価値観を自由に創出できる未来を模索します。その要素技術として特に、人の視覚と現実世界の光線場を自在に制御する技術と、ヴァーチャルと物質空間の相互作用を行う技術を探究します。これらにより現実とそん色のないAR映像、空間光変調による知覚操作、ヴァーチャルな物体とのリアルな相互作用が可能になります。

大倉 史生

(八木パネル)

Plant Twin: 育種・栽培のための植物仮想化
本研究の究極目標は、植物センシングデータからの植物体の完全仮想化、つまり植物のデジタルツインの生成です。本研究では特にコンピュータビジョンに関する技術要素に着目し、植物を撮影した画像群から、その形状のみならず、枝葉構造、時系列変化などを、遮蔽領域も含めて再現します。仮想化植物モデルは、シミュレーションや遺伝子との対応付けを可能にし、栽培の自動化、育種(品種改良)の高速化の強力なツールになります。

楽 詠コウ

(八木パネル)

物理ベースグラフィックス:変形物体のマルチスケールモデリング
究極的リアリズムのための、質感表現・質感設計手法に取り組みます。人物表現に重要な髪や肌、クリームやソースなどの食品の他、化粧品、土砂を含む「粘弾塑性体かつ関与媒質であるマルチスケール構造を有する非均質変形物体」を対象とし、その見た目(光学)と動き(力学)双方のシミュレーションと物性推定とを統一的に扱う手法を研究します。少ない労力での圧倒的写実表現と、その逆問題となる自動質感設計の実現を目指します。

笠原 和美

(八木パネル)

Brain-Machine Interfaceを用いたテーラーメイド・ニューロリハビリテーション
脳機能障害からのリハビリテーションは、その治療効果に個人差があり、十分な効果が得られない場合があります。Brain-Machine Interfaceは、対象者の脳の信号を読み取り、フィードバックすることで障害された脳機能を代替し、さらに回復を手助けします。そこで本研究は、一人ひとりの脳の特徴に合わせたBrain-Machine Interfaceを開発し、リハビリテーションの治療効果の個人差を改善できる「テーラーメイド・ニューロリハビリテーション」を目指します。

金崎 朝子

(八木パネル)

生活空間セマンティクス駆動型ロボットに関する研究
ユーザにとって有用な情報の収集を行動目的とする生活空間セマンティクス駆動型ロボットを提案します。ロボットは自律的に環境内を移動し、膨大なセンサ情報の中から有用であると判断した情報のみを抽出してデータベースに蓄積します。ユーザフィードバックによる情報有用度の再計算を行い、ロボットの行動則を強化学習により更新します。高度認識技術と強化学習を組み合わせた新しい統合的技術を提案し、これを実現します。

久保 尋之

(八木パネル)

プログラマブルビジョンによる次世代イメージング
被写体に光を当ててカメラで観測するとき、直接目に見ることの出来ない被写体の深層的な情報は、多様な経路を辿る光伝搬に局在しています。そこで本研究では、様々な光伝搬を選択的に観測・解析し、プログラマブルビジョンとして体系化します。空間・波長・偏光などの性質に基づいた光の伝搬をプログラマブルビジョンの枠組みで統一することで、隠された潜在的な映像を可視化する次世代のイメージング技術を実現します。

杉山 麿人

(八木パネル)※2022年9月卒業

過剰パラメータ化が導く学習原理の再設計
機械学習におけるモデル設計では、単純すぎず、かつ複雑すぎないモデルが望ましいとされてきました。しかし、過剰パラメータ化によってモデルを大きくすると、再び性能が良くなるという現象が報告されています。これまでの基準が覆り、データサイエンスを用いるあらゆる分野に影響を与える可能性があります。本研究では、モデル体積に着目した理論解析でこの現象を解明し、実問題で利用可能な形式へ昇華することを目指します。

中村 友哉

(八木パネル)

多段光符号化を駆使したレンズレスギガピクセルカメラの創成
「ギガ」単位の画素数を用いて、実世界の光を隅々まで忠実に記録する「超高解像度ギガピクセルカメラ」は、高度情報化社会における次の画像情報入力装置として重要な役割を果たすと考えられています。しかしながら、このようなカメラは現在超大型であり、応用方法が限定的です。本研究では、符号化光学系と情報処理の融合設計により、モバイル機器で超高解像度撮影が可能なコンパクトギガピクセルカメラの実現を目指します。

林 優一

(八木パネル)

物理法則上回避不可能なハードウェアセキュリティ対策手法の開拓
ハードウェアは「情報システムの信頼の起点」であり、そのセキュリティが低下した場合、システム全体のセキュリティ低下を招く恐れがあります。本研究では新たな学術分野や社会サービス、破壊的イノベーションなどを創出するためのプラットフォームとなるセキュアな情報基盤を確立するために、情報システムを構成するハードウェアに統一的に適用可能な「攻撃者が物理法則上回避不可能な対策手法」の開発を目指します。

坂東 麻衣

(八木パネル)

宇宙ミッション創出へ向けたデータ駆動型サイエンスと軌道工学の融合
計算機の発展により複数の天体が作る多体力学系の重力場、イオンエンジンに代表される新しい推進機構を利用した宇宙機の軌道を計算することが可能となり、それらを積極的に利用した最先端ミッションが実現されつつあります。本研究では、従来の軌道工学とデータ駆動型サイエンスの手法を融合し、これまでに発見された軌道のカタログにない有用な軌道を発見することにより将来の革新的な宇宙ミッションの創出に貢献します。

細田 千尋

(八木パネル)

やり抜く力個人差の脳特徴解明に基づくパーソナル教育支援科学の創発
本研究では、一人ひとりの多様な個性としての、やり抜く力と能力程度を、超多次元脳情報から定量的に予測することを目指します。その上で、行動変容と脳可塑性を促進させ、多様性に応じて能力を効率的に最大化する(目標達成を可能にする)BRAIN x IOTインタラクションによる個別最適教育/介入法を解明します。それが、人生のwell-being向上に繋がる事を明らかにします。これを「パーソナライズ目標達成支援学」という研究領域として創生します。

松前 ひろみ

(八木パネル)

生物学と人文科学の融合:人類情報学(Anthropological Informatics)の構築
本研究では情報学の観点から、既存の学術分野を超えて人類に関連する学術データを繋げ、生物学(ゲノムから生物多様性まで)と文化の観点からヒトを捉え直す試みです。これを人類情報学と定義し発展させます。そこでヒトの進化や多様性を考察するため、文化データの定量解析を進めます。次に生物多様性データをヒトの情報に繋げていき、人類社会と生物多様性の関係を解明・評価するための基礎研究を行います。

丸山 善宏

(八木パネル)

記号的AIと統計的AIの圏論的統合による次世代AIパラダイム創出
現在主流の統計的AIは、人間社会で大きな問題となり得るマシン・バイアスや説明可能性の問題を抱えています。本研究では、科学の新たなモデリング言語として台頭してきた圏論を用いて、統計的AIを記号的AIと統合することでそれらの問題を解決し、人工知能を単なる便利な技術ではなく、数学的に安全性と正当性を保証された、より倫理的かつヒューマン・フレンドリーなものとし、新たな圏論的融合AIパラダイムを創出します。

森前 智行

(八木パネル)

耐量子暗号によるハイブリッド型量子暗号プロトコル
量子の不思議な性質を使って様々な暗号タスクを実現する研究は量子暗号と呼ばれています。従来の量子暗号は情報理論的安全性、つまり攻撃者がどんなに強力であっても破れないものでした。一方で量子計算機でも破ることのできない暗号(耐量子暗号)を組み込むことにより、これまでにない新しい機能を実現できることがわかってきています。本研究では耐量子暗号とのハイブリッド型の量子暗号プロトコルを構築することを目指します。

横矢 直人

(八木パネル)

多次元超高分解能地球観測インテリジェンスの創発
衛星画像などの異種時空間データから、従来の常識を覆す時空間分解能と識別能力で、地表面の状態と変化を認識する知能システムを創発します。機械学習と信号処理・空間情報・データ融合・シミュレーションとの融合により、データ取得・解析の両面で時空間分解能と識別能力を高め、地球規模で拡張可能な知的データ処理技術を構築します。災害対応・環境保全・都市計画に役立つ技術を創出し、持続可能な開発目標の達成に貢献します。

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