研究体制

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO:天谷 雅行(慶應義塾 常任理事 ・ 慶應義塾大学 医学部皮膚科 教授)

【専門分野】皮膚科学、免疫学

慶應義塾大学医学部にて博士号(医学)取得後、米国NIH、慶應義塾大学医学部を経て、2005年より同教授。慶應義塾大学病院副病院長、学部長補佐を経て、2017年より同医学部長。2013年より理化学研究所 統合生命医科学研究センターチームリーダーを兼務。この間、日本研究皮膚科学会理事長、日本皮膚科学会理事長などを歴任。全米医学アカデミー国際会員、日本学術会議会員、欧州研究皮膚科学会栄誉会員、米国皮膚科学会国際栄誉会員など多数受賞。尋常性天疱瘡の抗原同定や世界中で使用されている天疱瘡の血清学的診断薬の開発、そして天疱瘡のモデルマウスの作成に成功し、自己免疫疾患と皮膚疾患との関係を分子レベルで解明するなど、自己免疫疾患研究の第一人者。

創発アドバイザー(五十音順)

飯島 一誠
兵庫県立こども病院 院長
岩間 厚志
東京大学 医科学研究所 教授
大鳥 精司
千葉大学 大学院医学研究院 教授
貴島 晴彦
大阪大学 大学院医学系研究科 教授
熊ノ郷 淳
大阪大学 医学系研究科長・医学部長・教授
調 憲
群馬大学 大学院医学系研究科 教授
陣崎 雅弘
慶應義塾大学 医学部 教授
高橋 英彦
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 主任教授
寺﨑 浩子
名古屋大学 未来社会創造機構 特任教授
西村 正宏
鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 教授
服部 信孝
順天堂大学 医学部 教授
南野 徹
順天堂大学 大学院医学研究科 教授
宮城 悦子
横浜市立大学 大学院医学研究科 主任教授
柳田 素子
京都大学 大学院医学研究科 教授
渡辺 守
東京医科歯科大学 副学長・学術顧問・特別栄誉教授

創発研究者一覧(天谷パネル)

2021年度採択

藍川 志津

(天谷パネル)

着床期胚浸潤に着目した妊娠成立機構の解明
体外受精などの高度生殖医療の需要がますます高まる中、良好な胚であっても妊娠が成立しない着床障害が問題となっています。着床がうまくいかない要因として子宮内膜に何らかの異常があることが想定されますが、その分子機構はブラックボックスです。本研究では胚の子宮内膜への浸潤の過程に着目し、子宮内膜がどのような分子シグナルによって胚・子宮内膜間相互作用を制御しているのかを探ります。

伊藤 美菜子

(天谷パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

脳の発達・老化・病態時における免疫細胞の意義の解明
免疫特権と言われてきた「脳」の発達や老化、病態時において、様々な免疫細胞が関与することが明らかになってきました。本研究では胎生期・幼少期といった発達段階と老化マウス・脳梗塞やアルツハイマー・自閉症モデルマウスを用いて、脳内免疫反応全体像をシングルセル解析によって網羅的に解析するとともに、脳内T細胞やB細胞が認識する脳内抗原・抗体を同定し、それらの神経系発達や老化・修復過程における意義を解明します。

井上 剛

(天谷パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

アセチルコリンで切り拓く新たな恒常性維持機構の解明
神経伝達物質であるアセチルコリンは、副交感神経神経終末から放出され、生体の恒常性維持に大きく寄与しています。今回私達はこれまでに知られていない腎臓内のアセチルコリン産生細胞の存在を見出すことができました。そこで本研究では、まず腎臓内のアセチルコリン産生細胞に着目し、その後、全身のアセチルコリン産生細胞にも範囲を広げ、これらの細胞がどのようにして生体の恒常性を維持するのかを明らかにしていきます。

上野 祐司

(天谷パネル)

テイラーメイドエクソソームによる脳梗塞新規治療の開発
脳梗塞により多くの患者さんが後遺症に苦慮しています。脳梗塞急性期の炎症、慢性期神経再生に寄与するグリア・神経細胞統合ネットワークを解明し、その病態を司るエクソソームを解析します。エクソソームに含まれるmicroRNAや蛋白質を機能解析し、それらを増幅することで治療効果の高いエクソソームを開発します。急性期炎症制御や慢性期神経再生促進等の脳梗塞の病態に応じたテイラーメイドエクソソーム治療の樹立、臨床応用を目指します。

遠西 大輔

(天谷パネル)

ハイブリッド遺伝子変異の全貌解明に基づく次世代がん精密医療の開発
私たちがこれまで発見してきた、がん細胞の内部と外部を同時に制御する「ハイブリッド遺伝子変異」は、新たながん免疫療法の標的として注目されています。この研究では、一細胞解析と空間マルチオミクス・プロファイルを組み合わせることで、ハイブリッド遺伝子変異の全貌を明らかにし、新たな遺伝子変異の概念の確立を目指します。さらに、ハイブリッド遺伝子変異を標的とする次世代型のがん個別化免疫治療を開発します。

小笠原 徳子

(天谷パネル)

ヒトNALT新奇細胞群解析に基づいたニューモウイルス生活環の解明
同じ環境にいるにも関わらず、ウイルスに感染する人と感染しない人がいるのはなぜなのでしょうか?また、重症になる人やならない人がいるのはなぜなのでしょうか?それはウイルス側の感染力の強さや増殖する力の問題だけなのでしょうか?この疑問を解決するために、私達の鼻やのどにどのような細胞が存在し、その中でウイルスを受け入れやすい細胞があるのか、それらの存在・分布・働きは個人で差があるのか、また年齢や性別によって鼻やのどの細胞がどのように変化していくのかを知るためにこの研究を実行します。

木村 哲也

(天谷パネル)

マクロファージは肥満症から世界を救う
肥満症は糖尿病・高血圧症・脳卒中・心筋梗塞など様々な疾患を起こします。肥満症のため多くの人の命と健康が失われ、肥満による経済的損失は世界で毎年200兆円に及びます。肥満者は今後さらに増え、世界人口の半数がBMI 25を超えると予測されています。本研究では、免疫系と代謝系の相互作用から肥満にアプローチします。これまで知られていない脂質代謝調節機構を解明し、肥満症の新しい治療薬を生み出すことが目標です。

木村 航

(天谷パネル)

心筋の代謝と再生をつなぐメカニズムの解明
われわれ哺乳類では、新生仔期には多くの心筋細胞に細胞分裂能があり、かつ心筋再生能がある一方で、生後間もなくほとんどの心筋細胞は細胞分裂を停止し、心筋再生能も失われます。私はこれまでの研究で、出生後の心筋細胞の細胞分裂の停止においてミトコンドリア代謝が重要な役割を担うことを示しました。そこで本研究では心筋細胞の代謝の制御を介して成体での心筋細胞増殖を誘導し、損傷心筋を再生させることを目指します。

筋野 智久

(天谷パネル)

小腸難病疾患の1細胞レベル時空間的解析を利用した創薬シーズの探索
私は腸の中で一つ一つの細胞が、なぜその場所にいるのか、そしてどのように動いているのかということを研究してきました。直接ヒトの腸管を研究することで、腸管の病気特に小腸、大腸の病気が、一つ一つの細胞の局在の不一致、動きの乱れにより起きている可能性を考えております。さらに海外ではアプローチが困難な小腸、大腸の病気を上記の視点で検討し、内視鏡医として内視鏡形態学と合わせることでこれまでに見えていないものにアプローチしていきます。病気の原因解明、さらに一つ一つの細胞の局在、動態を制御することで病気を治療できる薬剤を目指します。

鈴木 啓道

(天谷パネル)

U1 snRNA変異型髄芽腫におけるRNA異常プロセスの解明と治療標的の同定
髄芽腫は治療が難しい脳腫瘍であり、新しい治療の開発が必要です。私はこれまでの研究で、髄芽腫にU1 small nuclear RNA(U1 snRNA)という遺伝子に異常が起きていることを発見しました。U1 snRNAは、細胞の中で様々なRNAを処理します。この研究では、U1 snRNAの働きに着目してRNAを細かく調べることで、髄芽腫で起きているRNAの異常を明らかにして、治療薬の開発に繋げることを目指します。

武市 拓也

(天谷パネル)

完全な炎症制御による先天性魚鱗癬の克服
私は、難病である先天性魚鱗癬の克服を目指して、各患者さんの病態の免疫学的な側面を多角的にプロファイリングし、炎症の完全な制御に挑戦します。臨床検体に加えて、疾患のモデルマウスも作製し、シングルセル解析等の研究方法を用い、各患者さんでの病状形成の深淵に迫ります。皮膚の脂質異常・バリア障害と炎症の相互作用に着目することで、発症機序と病態を包括的に解明し、テーラーメイド医療にまで発展させることを目指します。

田中 伸弥

(天谷パネル)

自己関連疾患を制御する末梢自己反応性CD4+T細胞についての包括的理解
末梢リンパ組織に存在するT細胞の大部分は、病原微生物 (非自己) を認識し、活性化することにより生体防御に必須の役割を担うことが明らかになっております。一方、同リンパ組織には、自分の組織 (自己) に反応性を持つ(自己反応性)T細胞も、少数ながら存在することが知られており、自己反応性CD4+T細胞は、自己免疫疾患を制御するばかりでなく、ガン免疫に寄与する可能性が示唆されております。本研究では、自己反応性CD4+T細胞の分子制御を明らかにすることで、自己反応性の自在制御を実現する分子基盤の解明を目指します。

永田 健一

(天谷パネル)

レコーディングマウスによる神経炎症の全容解明
アルツハイマー病の脳では慢性的な炎症が生じていることが知られています。炎症組織中の細胞は時間的・空間的に著しく変容します。そのため、現時点の情報だけでなく、過去にさかのぼって細胞の状態を追跡することが疾患の全容理解に必要です。本研究では「過去のある時点でどのような状態にあったか」を細胞自身に記録するシステムを構築します。そして、特定の細胞集団のみを抽出し、その集団の運命や状態の変遷などを解析します。本研究は神経炎症の未同定のプロセスを紐解き、もってアルツハイマー病の個別化予防を目指すものです。

野村 征太郎

(天谷パネル)

心筋細胞の可塑性に着目した心不全の層別化と治療法の開発
超高齢化社会に突入し、がん・心血管疾患といった老化関連疾患が急増しています。これら老化関連疾患に共通する分子病態はゲノムDNAの損傷です。つまり、ゲノムDNA損傷の分子機序の本質を理解してそれを制御できるようになれば、これらの疾患を適切に治療できるようになると考えられます。本研究では、心筋細胞のDNA損傷によって発症する心不全の病態を、心筋細胞の可塑性に着目して診断・層別化・治療する手法の開発を目指します。

林 香

(天谷パネル)

血球細胞DNAメチル化変化を標的とした新規腎臓病治療戦略の開発
私たちは腎臓におけるエピゲノム変化、およびエピゲノム変化形成プロセスに関与するDNA損傷に注目して腎臓病の病態解明を試みています。本研究では、腎臓病が他臓器合併症を来す全身疾患であることから、腎臓のDNA損傷が、腎臓だけでなく血球細胞のエピゲノム変化も惹起し、腎障害の増悪、他臓器障害に関与している可能性に注目し、腎臓病およびその合併症の新規治療標的開発を目指します。

林 竜平

(天谷パネル)

オルガノイドモデルを用いたヒト器官発生機構の定量的理解と制御
私はヒト多能性幹細胞由来オルガノイドをヒト器官発生モデルとして用い、器官発生における時空間的な細胞挙動と遺伝子発現を1細胞レベルで解析し、得られたin vitroデータに基づくin silicoモデルの構築を試みます。これらin vitro/silico解析により、ヒト器官発生における細胞挙動を定量的に理解し、実際の培養皿上での細胞挙動をより正確に制御することで、再生医療・創薬研究のみならずヒト器官発生、ヒト病態研究を加速できると考えています。

Hara Emilio Satoshi

(天谷パネル)

細胞膜を基盤材料とした生体組織の修復技術の開発研究
本研究では、生物学・材料科学の統合的なアプローチにより、細胞膜に存在する様々な因子を利用し、細胞膜を材料として迅速な「生体組織の修復技術」の開発を目指します。具体的には、多種細胞から細胞膜の断片を生成・単離し、生体材料と混合することで、バイオハイブリッド材料の開発を目指します。これらの技術を基盤に、組織修復の加速化を目指します。

古山 賢一郎

(天谷パネル)

多細胞因子に着目した新たなリプログラミング医療の創出
我々多細胞生物は、単細胞生物から進化して、細胞間相互作用を利用した共存するシステムを構築しました。再生医療での人為的な細胞リプログラミングでさえも、多細胞社会のイベントとして、自然界の“方程式”に従っていると考えられます。私はその“多細胞因子”を解き明かすことで、未来型再生医療の創出をめざします。未来型リプログラミング医療では補充したい細胞を近隣細胞からリプログラミングし、より自然な機能的組織を再生させます。

細川 晃平

(天谷パネル)

骨髄不全の分子基盤の解明と臨床応用
骨髄不全とは骨髄機能の低下によってすべての血球が減少する状態であり、その代表例が再生不良性貧血です。造血幹細胞上の自己抗原を認識するT細胞による自己免疫機序が想定されますが、そのメカニズムは不明です。本研究では再生不良性貧血の自己抗原を新規手法により同定することで「どうして血液が作られなくなるのか?」という基本原理を解明し、「特定の自己抗原に対する免疫反応を抑制する」新規治療の開発を目指します。

牧野 顕

(天谷パネル)

オージェ電子放出核種を利用した放射線内照射治療法の開発
核医学治療のための放射線源としてオージェ電子放出核種を活用することにより、従来のα線やβ線を用いた治療とは異なる、真の細胞レベルでのがん細胞選択的な放射線照射技術の確立を目指します。オージェ電子の特性を活かし、1)殺細胞効果のOFF-ON制御や、2)がん免疫誘導による治療増幅効果について検討を進め、オージェ電子放出核種による高い治療奏功性と副作用低減とを両立した、新しいがん治療法を開発します。

松下 祐樹

(天谷パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

間葉系幹細胞を基軸としたがんの進展メカニズムの解明と治療戦略
骨に存在する間葉系幹細胞は、骨の成長、骨折の治癒、骨のがんの発生や、がんの骨転移など、様々な生命現象や病態に大きな役割を果たすと考えられていますが、具体的にどこに存在して、どのようにこれらの事象に関わるかは詳しく分かっていません。本研究では間葉系幹細胞を正確に定義づけ、幹細胞の運命を追跡するとともに、がんの発生や転移にどのようなメカニズムで関わるのかを解明し、幹細胞研究、がん研究発展に貢献します。

丸島 愛樹

(天谷パネル)

生体内レドックス反応を制御するナノメディシンの創出
生体内の酸化ストレス障害に関与するレドックス反応は、細胞死や臓器障害を起こす一方で、生体内のエネルギー代謝や機能維持に必須です。この相反する役割は、酸化ストレスを標的とした医薬品開発の障壁でした。本事業では、細胞内のレドックス反応に対して選択的かつ効果的に作用できるレドックスナノ粒子を開発し、これまで治療法のなかった脳卒中を始めとする酸化ストレス関連疾患に対する新たなナノメディシンを創出します。

水谷 知裕

(天谷パネル)

上皮細胞サーキュレーションによる疾患制御イノベーション
進行癌では知られる腫瘍細胞の血中循環ですが、近年、良性疾患や健常な体内でも上皮細胞が末梢血流を循環していることが報告されています。一方で、上皮細胞循環は微量かつ稀な現象であり、その解析は困難でした。私は、革新的な浮遊オルガノイド培養法と循環上皮細胞回収技術を組み合わせることで、循環上皮細胞の実態に迫り、「上皮細胞サーキュレーション」と生体恒常性や疾患病態との関わりを明らかにすることを目指します。

本村 泰隆

(天谷パネル)

Innate IgEによるアレルギー体質形成機構
アレルギー体質は、アレルギーの原因として一般的に用いられる言葉ですが、科学的根拠や基準が無いため長らく研究領域では敬遠されてきました。しかしながら、自然免疫によって誘導される抗原非特異的IgEであるInnate IgEが、アレルギー体質の形成に関わることを見出しました。そこで、Innate IgEに着目し、アレルギー体質を理解することでアレルギー性疾患を治せる、予防できる病気へとパラダイムシフトを起こします。

山野 友義

(天谷パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

デザイナー抗原提示細胞による免疫制御法の開発
私はこれまで免疫制御に関わる因子を同時にエクソソーム上に発現させる技術を開発してきました(PCT/JP2021/007778)。本研究では私がこれまで開発してきた複数の免疫制御因子をエクソソームに載せる基盤技術とmRNA医薬の技術を融合させます。“免疫を特異的に制御する”デザイナー抗原提示細胞を生体内で分化させる技術を開発することで、がんに対する新しい治療法の確立に挑戦します

吉井 幸恵

(天谷パネル)

革新的「みえる」がん治療の創発:融合トランスレーショナル科学への挑戦
本研究では、オージェ電子と陽電子を放出し、診断と治療を同時に行えるユニークな放射性元素である64Cuを用いた革新的「みえる」がん治療の社会実装を目指しています。そのために、多様な64Cu標識薬剤のライン開発を加速する多分野融合によるトランスレーショナルサイエンス(融合トランスレーショナル科学)を創発し、がんを根治する破壊的イノベーションを生み出してまいります。

吉田 健史

(天谷パネル)

肺傷害のリスクを可視化するLung stress mapping法の確立と臨床応用への挑戦
ARDS(急性呼吸促迫症候群)は、新型コロナ肺炎を含む様々な病態から発症する急性呼吸不全です。どのような病態・肺形態であれ、人工呼吸器関連肺傷害リスクを評価せず「画一的」な人工呼吸管理が行われきたために、この約20年間死亡率は低下していません。そこで私は、肺生理学と画像解析学との融合による斬新なアプローチで肺傷害リスクを可視化するLung stress mapping法の確立に挑みます。さらに人工知能を用いて、 Lung stress mappingから個々の患者さんに最も適した「先制的」個別化肺保護換気戦略を提案していきます。

吉見 昭秀

(天谷パネル)

がん関連ミススプライシング産物の時空間的運命の決定
未熟なRNAはスプライシングを受け成熟RNAとなります。近年、スプライシングにエラーが起きてミススプライシング産物を生じるとがんの発症につながることが分かってきましたが、このような産物が細胞内でどのような運命を辿るのかはよくわかっていません。本研究では「どのような性質を持ったエラー産物が、細胞内のどのような場所で、どんな細胞内の仕組みによって処理されるのか、あるいは処理されず蛋白質に翻訳されるのか?」という問いに、最新技術を融合させて迫ります。

2020年度採択

荒磯 裕平

(天谷パネル)

ミトコンドリア動態に着目した初期発生の研究
ミトコンドリアは細胞の恒常性維持に必須なオルガネラです。本研究では、ミトコンドリアへのタンパク質輸送制御に着目し、その破綻により生じる異常ミトコンドリアが胚発生に与える影響を網羅的に解析します。ゼブラフィッシュを用いて、胚発生を阻害するミトコンドリア関連遺伝子をライブラリー化します。ミトコンドリア動態という切り口から、不妊症等の受精卵に関する病態を解明し、医療技術のシーズを創出します。

石津 綾子

(天谷パネル)

造血幹細胞運命における新規予知因子の解明
本研究は、一生涯の血球産生に必要な造血幹細胞の維持機構を発生期、成人期、老年期に徹底的に解析し、造血幹細胞の運命決定因子と方法を解明することを目的とします。発生期、成人期マウスの解析を軸に、サイトカイン依存・非依存の造血幹細胞代謝制御、オルガネラ機能・動態・ネットワーク、epigenetic制御を分析し、生理的特性に強く連結した新規因子の解明に挑みます。

石本 崇胤

(天谷パネル)

シングルセル・マルチオミックス解析による線維化シグナルネットワークの全貌解明
スキルス胃癌を代表とする高度線維化を伴う癌が“難治がん“である理由は未だ不明です。本研究では、腫瘍間質の多様性に注目しシングルセル解析と疾患モデルマウスを用いた機能解析の融合により、腫瘍組織の線維化シグナルネットワークの全貌解明に挑みます。得られた網羅的データを基盤として、癌以外の組織線維化に適応可能なシグナルの創出、さらに線維化組織から高頻度に起こる発癌のメカニズム解明に繋がる事が期待されます。

岩田 欧介

(天谷パネル)

新生児の痛み・苦痛を客観定量する簡便なモニタリング法の確立
人は避け得る苦痛から自由であるべきですが、意思疎通が難しい乳幼児では、苦痛の許容か過剰鎮静かの両極を強いられる局面が少なくありません。本研究では、NICU入院児の生体情報の揺らぎから、痛みが抑制する成分を抽出し、苦痛の定量につなげます。同様に、吸痰や身体抑制などの持続する苦痛の定量にも挑戦します。意思表示困難な全人類の生命の質向上に貢献する革新技術の基礎を作ります。

片桐 さやか

(天谷パネル)

口腔内細菌叢破綻による生涯の代謝異常の病態解明
口腔内細菌叢破綻(虫歯や歯周病)は、最も感染率が高い感染症です。口腔内細菌叢破綻が代謝異常疾患に影響することがわかりつつありますが、そのメカニズムは不明であり、予防はできていないのが現状です。本研究では、臓器として捉えた口腔と代謝に重要な肝・脂肪・筋とのクロストークを解明することで、代謝異常の新たな予防戦略を確立し、これまでの歯科は歯を治療するという概念を覆し、歯科医療を再定義するものとなります。

川島 雅央

(天谷パネル)

がん細胞の熱エネルギー代謝 ―熱代謝療法の開発―
ヒトは、筋肉の“震え”と褐色脂肪細胞が持つ“UCP1”という発熱タンパク質を使って熱を作ります。私達のグループはUCP1を使って発熱する“温かいがん細胞”が存在することを発見しました。がん細胞は基本的に熱を嫌います。本研究では、がん細胞にUCP1を誘導する分子スイッチを特定し、がん細胞自らに発熱させてがんを治癒に導く“熱代謝療法“というこれまでにない全く新しい治療法の開発を目指します。

清水 逸平

(天谷パネル)

加齢関連線維性疾患治療法確立に向けた包括的研究
本研究課題で、1)加齢関連線維性疾患(Age-related Fibrotic Disorder(A-FiD))の疾患概念の確立、2)分泌型線維化促進分子のA-FiDバイオマーカーとしての確立、3)A-FiDを標的とした臓器・疾患横断的治療法の開発、に挑みます。老化及び肥満時に血液中で上昇し、心臓や肝臓の線維化を促進する分泌型線維化促進分子を標的とした治療法の開発を目指します。

末原 義之

(天谷パネル)

希少がん骨軟部腫瘍の融合遺伝子と相互排他性に注目した研究開発
課題1) 直接の治療標的となり難い融合遺伝子を“driver-oncogene”として有する骨軟部腫瘍における、 内因性小胞体ストレス阻害剤を含む分子標的阻害剤・殺細胞型抗がん剤の治療抵抗性とMYC遺伝子の相互作用の解明と、課題 2) 非融合遺伝子腫瘍に分類される骨軟部腫瘍における直接の治療標的“driver-oncogene”と成り得るTK融合遺伝子探索などの全面的解明を進め、その骨軟部腫瘍の創発的研究成果を礎に全癌的な新規治療法開発へと繋げていく。

須賀 英隆

(天谷パネル)

ヒト脳神経発生を正確に再現し、測れなかったものを測る
生き物を理解するために胎児の形作られる様子を観察する方法がありますが、ヒトの胎児を実験に用いる訳にはいきません。そこでES/iPS細胞を利用します。これまでにES/iPS細胞から脳の一部分を作ることは可能になっていますが、一気に全部を作ることはまだできません。本研究ではここを解決します。ヒトの脳をまるごと一気に試験管内で作りそれを観察・研究することでヒトというものへの理解を深めるのが最終目的です。

滝澤 仁

(天谷パネル)

炎症による造血幹細胞の機能制御とその変容
生涯を通じた血液産生は骨髄に局在する血液幹細胞によって維持されています。感染や炎症などにより免疫が影響を受ける際には、免疫細胞だけでなく血液幹細胞も活性化して生体応答に必要な細胞を優位に産生することが分かりつつあります。我々はその活性化シグナルの中でも自然免疫シグナルに注目して、血液幹細胞の機能制御、その制御が不安定になり機能不全から血液ガンへと移行していく機能変化を明らかにしていきます。

田中 里佳

(天谷パネル)

微量の新規マクロファージに基づく全身虚血性疾患治療の構築
組織に十分な血液が供給されなくなると虚血に至り、組織は機能を失い壊死します。しかし現在は微小血管を再生させる治療法がありません。本研究は微小血管再生を担う「薬」の開発を行い、全身の虚血性疾患の治療を可能とします。具体的には、私たちが発見した血液中に存在する新規の細胞であるReMa細胞の細胞学的特性を解明し、生体内外でReMaを増やし、「組織を甦らせる新治療薬」として幅広く医療分野に貢献します。

谷口 浩二

(天谷パネル)

炎症記憶による腸の組織再生とがん化機構の解明
人間は個体としての記憶のみならず、細胞レベルでも外界からの刺激を記憶することができます。我々は腸が炎症刺激を記憶できる事を世界で初めて発見しました。このような炎症記憶は主にゲノムに加えられた修飾であるエピゲノムの変化を介して起こると考えられています。腸の炎症記憶のメカニズムの解明を通して、炎症性腸疾患と大腸がんに関して新たな切り口での病態解明と治療法の開発を行なっていきたいと考えています。

平原 潔

(天谷パネル)

肺における組織炎症記憶の4次元制御機構の統合的解明
私たちの体を構成する各臓器はウイルス感染などで惹起される炎症の情報を長期間記憶します。しかし、“組織炎症記憶”が誘導される細胞・分子機構は不明です。私はウイルスをはじめとする様々な異物に常に晒される肺に着目し研究を進めます。肺での“組織炎症記憶”の4次元制御機構を解明することで、臓器を超えた粘膜免疫の普遍的原理を見出し、先端技術の融合によるテクノロジー革新や次世代ワクチン開発という破壊的イノベーションにつながるシーズの創出を目指します。

福嶋 葉子

(天谷パネル)

状態遷移を制御する血管正常化療法の開発
糖尿病網膜症やがんでみられる血管形態と機能の異常は、失明や悪性化を招きます。本研究では、正常から異常血管新生への転換を病的環境に適応した結果と捉え、本来の適応に回復させることで正常血管網の再構築を実現します。特に、異常な適応状態に遷移した内皮細胞に発現する長鎖ノンコーディングRNAを標的として血管正常化を試みます。本研究を通じて血管を自在に操作できるようになれば画期的な治療法になると期待されます。

福田 慎一

(天谷パネル)

老化と神経細胞へのダイレクトリプログラミング
多能性幹細胞の段階を経ずに直接網膜の構成細胞の一つであるミュラーグリア細胞から網膜神経節神経に分化を転換するダイレクトリプログラミングが近年注目されています。しかし、老化した細胞や老齢な個体では、リプログラミングの効率が落ちる事が知られています。実際に網膜神経の再生が必要な患者さんは高齢者が多く、動物実験においても未だ老齢な個体での再生は成功していません。老化のメカニズムの解明する事で、世界初の老齢なマウス・霊長類の網膜神経の再生を目指します。

藤井 敬之

(天谷パネル)

Plexin経路制御による神経障害性疼痛治療開発
神経障害性疼痛は、神経の損傷によって生じる難治性疼痛の一つで、既存薬では多くの患者さんで十分な鎮痛が得られていません。本研究では、神経障害性疼痛の発症に関わると考えられるセマフォリン/プレキシン経路を標的とした新規鎮痛薬の開発を目指します。また、セマフォリン/プレキシン経路は、動脈硬化の発症や癌転移にも関わることから、本研究は心血管障害や癌の病態解明ならびに新薬開発にも寄与する可能性があります。

淵上 剛志

(天谷パネル)

早期がんを一元的に診断・治療できる医療技術の開発
膵臓がん等の難治性がんは、血液診断→画像診断→治療の流れにおいて診断原理や標的分子が異なります。このため、病変部位の発見から治療までの円滑な進行の障壁の一つになっています。本研究では、① 血液や尿を用いた早期がんの検出、② 精密画像診断、③ 効果的な治療の一連のプロセスを一元的に行える機能性分子を開発し、「早期がんの初期段階での発見および敏速で効果的な治療ができる一元的な医療技術」への展開を目指します。

古橋 和拡

(天谷パネル)

生体がもつ巧妙な炎症制御機構の解明から治療応用へ
適度の炎症は生体に必須ですが、過剰な炎症は臓器不全に至ります。そのため生物は局所で炎症を収束させる巧妙な炎症制御機構を有しており、間葉系幹細胞(MSC)がその主軸を担っています。本研究では、MSCに着目した微小環境での炎症制御機構の解明を進めることで、局所でのみ炎症を制御できる新規治療法へと結びつけます。この基盤技術は将来的に遺伝子編集技術・細胞治療にも応用可能な破壊的イノベーションとなります。

松浦 妙子

(天谷パネル)

超小型音響センサを用いた生物学的適応型陽子線治療
本研究では、がんの陽子線治療における二つの挑戦的課題を解決するための技術開発を行います。一つ目は陽子線が体内で停止する位置を正確に把握して正常組織を守ることです。超小型音響センサにより陽子線から発生する「音」を聞くことでこれを実現したいと考えています。二つ目は陽子線が生体に与えるダメージの正確な評価です。物理的評価だけでなく生体反応を考慮した評価を試み、副作用のリスクを極力抑えたいと考えています。

松岡 悠美

(天谷パネル)

皮膚ミトコンドリア老化・初期化の自然免疫系によるコントロール
老化細胞は、正常な細胞死に抵抗性になり、炎症誘導物質、タンパク質分解因子などを分泌し、組織機能を障害する。老化とともにミトコンドリアゲノムは変異を生じ、ヘテロプラスミーとなる。本研究では、老化を伴う皮膚炎症と伴わない皮膚炎症のミトコンドリアゲノムヘテロプラスミー比較を中心に、ROSのミトコンドリア老化に対する、老化・初期化の2面性の存在を明らかにし、自然免疫系を介した抗加齢技術の基盤創出を目指す。

森 康治

(天谷パネル)

動的異常翻訳のメカニズムとその病的意義
ゲノム上で特定の配列が反復して異常に伸びてしまうことでおきる病気が続々と見つかっています。こうした反復配列のほとんどはタンパク質の設計図としての特徴をもちませんが、通常とは異なる仕組みで病気と関係するタンパク質へと翻訳されることがわかってきました。本研究では翻訳を司る分子が反復配列上でぶつかったり滑ったりしながら動的に翻訳を調節し、病気に関わる多様なタンパク質を生み出す仕組みを明らかにします。

山下 真幸

(天谷パネル)

T細胞による造血幹細胞クローンと白血病制御
造血幹細胞は私たちの体をめぐる全ての血液細胞を作り、維持しています。異常な細胞を見分けて排除できるT 細胞もその一つです。近年、一部の造血幹細胞では加齢に伴い遺伝子に傷がつき、白血病発症の温床になることがわかりました。したがって、この異常な造血幹細胞クローンを制御できれば、白血病を予防できる可能性があります。そこで本研究では、異常な造血幹細胞とT 細胞の関わりを理解し、白血病を予防する方法を探ります。

山中 修一郎

(天谷パネル)

異種体内ヒト腎臓による腎再生医療の実装と薬剤性腎障害の克服
免疫学的にヒト細胞が受け入れ可能かつ前駆細胞が自殺誘導可能なマウスを作製する。また既存の手法よりも迅速かつ正確に胎仔へ細胞移植するため、精密操作が可能な移植アシストシステムを構築する。マウス体内にヒト腎組織を再生させ、再生組織を持ったマウスに対し薬剤負荷を行うことで、ヒト障害組織に対し尿細管トランスポーターを主とする網羅解析を実施しヒト尿細管障害の発生機序を解明する。

油井 史郎

(天谷パネル)

時相調整による腸上皮細胞の運命転換機構の解明と応用
TMDU細胞・腸オルガノイド移植という独自の研究成果を基に、遺伝子操作によらない類縁起源の臓器間の細胞特性を互換する技術の開発を目指す「バックスイッチ構想」と癌研究を刷新する 「Refinement of Cancer Study (RCS)構想」のふたつの構想で破壊的イノベーションに挑戦し、再生医学研究と癌研究の融合による新しい学問領域創出を目指す。

吉崎 恵悟

(天谷パネル)

運命決定の“ゆらぎ”を応用した新たな器官再生モデルの開発
我々の体を構成する様々な器官は、細胞同士が情報交換することでその形成が行われており、中でも上皮−間葉相互作用は、歯、毛、唾液腺、腎臓および肺などの形成に重要であると考えられています。私は、これら器官の発生初期に共通に発現する遺伝子群に着目することで、器官運命転換を可能とする“ゆらぎ”現象を発見しました。本研究では、器官発生メカニズムの解明に挑戦し、新しい器官再生技術の開発を目指します。

米代 武司

(天谷パネル)

褐色脂肪細胞の細胞系譜網羅解析と生活習慣病予防への応用
褐色脂肪細胞はエネルギー消費に寄与する脂肪細胞で、肥満予防のための刺激標的になり得る。最近、褐色脂肪細胞には様々な種類があることが分かってきたが、その全容は解明されていない。本研究では、多様な褐色脂肪細胞とその前駆細胞のセルタイプを網羅的に同定し、細胞系譜の全容を解明する。さらに、細胞運命を規定するセルタイプ間ネットワークとその生理的意義を解明し、効果的な新規肥満・糖尿病予防法の考案に資する。

渡辺 知志

(天谷パネル)

肺胞マクロファージによる肺修復・再生法の開発
肺胞マクロファージは、肺に存在する主要な免疫細胞です。生体防御や恒常性維持など多様な機能を持ちますが、肺修復・再生における役割についてはほとんど分かっていません。本研究は、肺胞マクロファージと肺胞上皮細胞の働きに焦点を当て、肺胞マクロファージを介した肺修復・再生制御機構の解明を目指します。本メカニズムが明らかになれば、肺障害の治療法の開発や、新たな肺臓器再生法の構築につながることが期待されます。

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