初代創発PO研究体制

創発研究者(2020年度採択)

や行

矢島 秀伸

川村パネル

宇宙物理輻射輸送計算で拓く新しい生体医用光学
本研究は、研究者自らが理論天文学の研究で培った大規模輻射輸送計算技術を医学へと応用し、新たな医療診断法である生体光イメージング技術の確立を目指すものです。天文学、ビッグデータサイエンス、機械学習、医用光学の最先端技術を結集し、国際的なデータバンク、新たな構造解析システムを構築します。これにより、ゼロ被曝かつ非侵襲で安全な医療診断システムの開発において破壊的イノベーションを巻き起こします。

安尾 しのぶ

石塚パネル

周期的環境を利用した新しいストレスバイオロジーの開拓
現代社会はストレス社会と呼ばれ、多くの人がストレスによる心身の不調を経験しています。疾患憎悪や生体機能の破綻に関与するストレスは「ディストレス」に相当しますが、一方で生体はポジティブなストレスである「ユーストレス」にも直面し、疾病への耐性強化や治癒力加速に繋がります。本研究では、ユーストレス下のマウスモデルを用いてポジティブな生体制御系の網羅解析を行い、人工制御技術の創出や人への応用を目指します。

楊井 伸浩

伊丹/福島パネル)※2024年3月卒業

MRI・NMRの未来を担う「トリプレット超核偏極の材料化学」
核磁気共鳴を用いた分光法(NMR)や画像化法(MRI)は、感度が非常に低いという本質的問題を抱えています。感度向上のための現行技術は高価でアクセスが制限されるのに対し、本研究では「誰でもどこでも超高感度NMR・MRI を利用できる」破壊的技術のためのシーズ創出を目指します。更に、従来技術では不可能な「生体内でNMR・MRI を高感度化する」という新概念創出にも挑戦します。

矢野 隆章

井村パネル

金属ナノ構造で拓く新奇ナノ熱工学
本研究では、ナノ光計測分野では避けるべきものとされてきた貴金属ナノ構造の光発熱性を積極的に活用する逆転の発想により、新奇なナノ熱工学分野を創発します。

山﨑 優一

伊丹/福島パネル

電子・原子の運動量顕微鏡による化学動力学研究
本研究では、物質中の電子および原子がどのような速度で運動しているかを自由自在に可視化するための「運動量顕微鏡」を開発し、電子・原子の運動量分布やそれらの変化から分子の諸性質の起源を明らかにすることを目指します。とくに、単純な分子の化学結合や分子間の相互作用および化学反応において、電子運動の変化が原子にどのような「力」を与えているかを実験的に解明し、広く物質科学に資する化学原理の発見を試みます。

山下 貴之

レディオナノ生理学による脳神経機能の解明
現代の神経科学は、光の利用を中心とした技術革新により発展してきました。ところが、光が届かない脳深部では研究が遅れており、精神疾患の根治が難しい一因となっています。本研究では、私たちが独自に開発した「X線光遺伝学」に新たにナノ電極による細胞内記録を統合させた「レディオナノ生理学」を創成することで、組織深度にとらわれない次世代の脳神経機能解析法を確立し、脳神経機能の理解を飛躍的に向上させます。

山下 真幸

天谷パネル

T細胞による造血幹細胞クローンと白血病制御
造血幹細胞は私たちの体をめぐる全ての血液細胞を作り、維持しています。異常な細胞を見分けて排除できるT 細胞もその一つです。近年、一部の造血幹細胞では加齢に伴い遺伝子に傷がつき、白血病発症の温床になることがわかりました。したがって、この異常な造血幹細胞クローンを制御できれば、白血病を予防できる可能性があります。そこで本研究では、異常な造血幹細胞とT 細胞の関わりを理解し、白血病を予防する方法を探ります。

山田 崇恭

井村パネル

トポロジー最適化による可展面構造の創成設計法とその展開
本研究では、数学的・力学的根拠に立脚して、可展面構造を創成設計する方法論を、トポロジー最適化の考え方の拡張により構築します。可展面とは、伸縮することなしに平面に展開できる曲面であり、折り紙がその代表例です。さらには、提案する方法論の応用研究として、状況に応じて最適な形状へと自動的に変形する潜在的機能を持ったスマート展開機械デバイスの創成設計法を構築します。

山田 勇磨

北川パネル

ミトコンドリア人工共生が拓く新しい細胞生物学
ミトコンドリアの質および量は細胞間で異なり、細胞の働きに大きな影響を与えます。本研究では、ミトコンドリアを人工的に目的の細胞に共生させ、細胞機能を変化(ミトコンドリアの質・量による制御)させる技術を開発します。具体的には、ミトコンドリア共生用人工ナノカプセル 【TransMIT】を用いて細胞へミトコンドリアを導入し、細胞の働きを変化させます。新しい細胞生物学の創出、難治性疾患治療に貢献したいと思います。

山田 洋輔

吉田パネル

海洋細菌の表面性状と炭素源獲得機構の解明
気候変動に対する海洋の応答を予測するための微生物プロセスや物質の輸送・変換効率は未だ不明な点が多くあります。本研究では私の先行研究で明らかにされた、海洋細菌の表面性状とナノサイズ粒子付着との関係をより詳細に把握し、細菌の包括的な炭素源獲得機構の解明を目指します。本研究の達成により、海洋炭素循環や物質の時空間変動の理解が進み、将来の気候変動に伴う海洋の応答予測の高精度化につながるものと考えます。

山中 修一郎

天谷パネル

異種体内ヒト腎臓による腎再生医療の実装と薬剤性腎障害の克服
免疫学的にヒト細胞が受け入れ可能かつ前駆細胞が自殺誘導可能なマウスを作製します。また既存の手法よりも迅速かつ正確に胎仔へ細胞移植するため、精密操作が可能な移植アシストシステムを構築します。マウス体内にヒト腎組織を再生させ、再生組織を持ったマウスに対し薬剤負荷を行うことで、ヒト障害組織に対し尿細管トランスポーターを主とする網羅解析を実施しヒト尿細管障害の発生機序を解明します。

山元 淳平

塩見(美)パネル

DNA修復反応の動的構造解析基盤の創出
生体の遺伝情報を担うDNAは種々の内的・外的要因によって化学構造が変化し、突然変異やがん化の原因となります。ゲノム恒常性維持を担うDNA修復酵素によるDNA修復反応は、ある時間で静止した構造を可視化することで議論されてきましたが、本研究では、従来の学問領域の枠組みを超えた分野横断型の研究を展開することで、DNA修復反応の進行を原子レベルかつリアルタイムで観測する動的構造解析基盤を創出します。

山本 拓也

水島パネル

細胞運命を制御する空間トランスクリプトミクス
RNAは生命の設計図と生物機能を繋げる重要な橋渡し役であり、RNAの制御機構を理解することは、生命活動の根幹を担う原理の解明に直結します。本研究では、網羅的解析を含むさまざまなRNA解析技術を駆使し、細胞運命変換過程におけるRNA細胞内局在制御機構の全体像の解明を目指します。また、RNA局在制御機構が破綻した場合に生じる機能変化を明らかにし、RNAを特定の場所に局在させる生物学的意義を探求します。

山本 雅裕

水島パネル

次世代型免疫細胞サブセット解析手法の開発とその実装
私たちの体の中では、日々、免疫系の細胞たちがウイルスなどの病原体に感染した細胞や癌細胞を体から除去して、健康が保たれています。最近の計測技術の著しい進歩によって、未知の免疫細胞たちがいることが分かってきましたが、それらが何をやっているのかよく分かりません。そこでこの研究では、それらを解析できる研究する画期的な方法を開発して、マウスを使って調べ、医学的に重要な新しい免疫細胞を探索します。

油井 史郎

天谷パネル

時相調整による腸上皮細胞の運命転換機構の解明と応用
TMDU細胞・腸オルガノイド移植という独自の研究成果を基に、遺伝子操作によらない類縁起源の臓器間の細胞特性を互換する技術の開発を目指す「バックスイッチ構想」と癌研究を刷新する 「Refinement of Cancer Study (RCS)構想」のふたつの構想で破壊的イノベーションに挑戦し、再生医学研究と癌研究の融合による新しい学問領域創出を目指します。

湯澤 賢

阿部パネル

合成生物学的手法による抗生物質の自在合成基盤の確立
人類の健康長寿にこれまで最も貢献した薬はおそらく抗生物質です。一方で抗生物質の開発事例は減少の一途を辿っており、2050年には多剤耐性菌によって毎年1000万人以上が死亡するという予測も発表されています。そこで、本研究では抗生物質様の人工化合物を短期間で供給する微生物生産プラットホームの開発を行い、抗生物質の開発速度を加速します。本研究により多剤耐性菌のない未来を我々人類の子孫に残したいと考えています。

楊 家家

7テスラ超高磁場fMRI技術を新機軸としたヒト脳の多階層な機能の解明
本研究は、7テスラ超高磁場MRIを用いたヒト大脳皮質層の活動を計測できる革新的なfMRI技術を研究開発し、ヒトの大脳皮質層間の神経回路機能の解明を通じて、ヒト脳の多階層な機能の解明を目指しています。また、ヒトの様々な精神活動とその異常を各階層の脳機能に結びつけて理解し、認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患の病因解明および画期的な早期診断・治療・予防法の開発への展開が期待できます。

横井 暁

水島パネル

がん細胞外小胞の臨床応用へ向けた基盤技術開発研究
本研究は、ナノテクノロジーによるエクソソームをはじめとした細胞外小胞(Extracellular Vesicle: EV)抽出の技術革新と、がん領域における新しいEVリキッドバイオプシー戦略の創生を目的としています。全く新しいEV解析技術の実現を目指し、同技術により新しいEVの機能を明らかにし、医療応用を目指します。本研究で目指す知見・技術はがん領域を中心としたEVトランスレーショナル研究を大きく促進させるもので、その価値はがんに留まらず多くの疾患へと適応が可能となると考えています。バイオロジーとナノテクノロジーの融合によって初めて可能になる新しい知見を得るために挑戦的研究に取り組んでいます。

横田 慎吾

阿部パネル

バイオナノ繊維界面を活かした新奇融合粒子の創製
バイオマス素材が持つ両親媒特性を引き出した独特のナノ繊維を活用することによって、これまでは馴染みにくかった天然素材と合成素材を融合する新しい粉体材料の創製を目指します。化学的に安定な樹脂マイクロ粒子上に密に担持させたセルロースナノファイバーを起点として、さらに突起状の分子鎖を付与した融合粒子(Corona融合粒子)を構築し、そのナノ/マイクロの各スケールでの構造制御に伴う高機能化や新物性発現に挑戦します。

横矢 直人

多次元超高分解能地球観測インテリジェンスの創発
衛星画像などの異種時空間データから、従来の常識を覆す時空間分解能と識別能力で、地表面の状態と変化を認識する知能システムを創発します。機械学習と信号処理・空間情報・データ融合・シミュレーションとの融合により、データ取得・解析の両面で時空間分解能と識別能力を高め、地球規模で拡張可能な知的データ処理技術を構築します。災害対応・環境保全・都市計画に役立つ技術を創出し、持続可能な開発目標の達成に貢献します。

吉井 一倫

北川パネル

光ファンクションジェネレーターで拓く光周波数エレクトロニクス技術
「光の電場そのもの」により電気信号のオンオフとその向きを制御し超高速情報処理を目指す「光周波数エレクトロニクス」という新しい科学テーマが開花しました。「光パルスの分散補償の限界」というパラダイムを打破し物質深部でモノサイクルパルス光を発生できる『光ファンクションジェネレーター』を独自の手法で開発します。これにより既存の光集積プラットフォーム上で光周波数エレクトロニクスを構築できる未来を目指します。

吉崎 恵悟

天谷パネル

運命決定の“ゆらぎ”を応用した新たな器官再生モデルの開発
我々の体を構成する様々な器官は、細胞同士が情報交換することでその形成が行われており、中でも上皮−間葉相互作用は、歯、毛、唾液腺、腎臓および肺などの形成に重要であると考えられています。私は、これら器官の発生初期に共通に発現する遺伝子群に着目することで、器官運命転換を可能とする“ゆらぎ”現象を発見しました。本研究では、器官発生メカニズムの解明に挑戦し、新しい器官再生技術の開発を目指します。

吉田 賢史

堀パネル

災害時QoL維持のためのワイヤレス給電と情報提供システムの相利共生法
大雨や地震、台風、噴火などの災害が国内外において発生し、被災した場合には昨日までの平和な日常から一変した被災生活を強制されることになります。被災生活においては、日常的に用いてきたスマートフォンをはじめとする情報端末は、電池切れでほぼ数日中に使えなくなります。本研究では、このような災害時の生活の質(QoL: Quality of Life)維持に役立つワイヤレス給電と災害情報提供システムの相利共生法に関する基盤研究を行います。

吉田 昭介

阿部パネル

微生物代謝に着目した廃PET資源化手法の開発
プラスチックの持続利用は人類の課題です。我々はその解決の第一歩となるポリエチレンテレフタレート(PET)分解・代謝細菌Ideonella sakaiensisを発見し、そのメカニズムを明らかにしてきました。本研究では、微生物よるPET代謝の理解を深め、その代謝によって生産可能な多様な有用化合物の生産系を開発し、さらにその生産性を向上させることで、廃PET資源化の新たな道を切り拓きます。

米倉 和也

川村パネル

物質の新たなトポロジーへの数理的アプローチ
一見全く異なる物理のシステムが、普遍的な法則に従っていることが多々あります。その背後にはそれらの法則を支配する共通の数学的枠組みがあります。この研究ではまず、豊富な数理構造を持つ素粒子理論の数学的枠組みを対称性とトポロジーの観点から追求し、そこから物性物理にまで適用可能な普遍的法則を抽出します。さらに、それによって物質の未知の性質としてどのような理論的可能性があるかを探索します。

米代 武司

天谷パネル

褐色脂肪細胞の細胞系譜網羅解析と生活習慣病予防への応用
褐色脂肪細胞はエネルギー消費に寄与する脂肪細胞で、肥満予防のための刺激標的になり得ます。最近、褐色脂肪細胞には様々な種類があることが分かってきましたが、その全容は解明されていません。本研究では、多様な褐色脂肪細胞とその前駆細胞のセルタイプを網羅的に同定し、細胞系譜の全容を解明します。さらに、細胞運命を規定するセルタイプ間ネットワークとその生理的意義を解明し、効果的な新規肥満・糖尿病予防法の考案を目指します。

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