合田パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO:合田 裕紀子(沖縄科学技術大学院大学 シナプス生物学ユニット 教授)

【専門分野】神経科学、脳神経科学

スタンフォード大学にて博士号(理学)取得後、ソーク研究所、カリフォルニア大学サンディエゴ校、2002年に英国MRC細胞生物学ユニット(ロンドン大学) シニアグループリーダー、2011年理化学研究所脳科学総合研究センターシニアチームリーダー、2015年副センター長、2018年より脳神経科学研究センター副センター長を務める。その間、日本学術会議連携会員、英国MRC非臨床教育研修パネル委員、Eppendorf and Science Prize for Neurobiology Panel、マックスプランク実験医学科学諮問委員などを歴任。Sloan Research Fellow、Damon Runyon Scholar Award、NARSAD Distinguished Investigator Award、塚原仲晃記念賞などを受賞。専門は、神経科学。脳機能のメカニズムに新たな洞察を生み、シナプスの研究において世界をリード。とくに的確な行動や計算に不可欠な脳の情報処理を担うシナプス回路の稼働原理やこのシナプス機構の不具合が導く精神疾患発症メカニズムの解明を目指す。

創発アドバイザー(五十音順)

井ノ口 馨
富山大学 学術研究部医学系 卓越教授
小泉 修一
山梨大学 大学院総合研究部 教授
佐々木 裕之
九州大学 生体防御医学研究所 特命教授/高等研究院 特別主幹教授
高橋 淑子
京都大学 大学院理学研究科 評議員/副研究科長・教授
内匠 透
神戸大学 大学院医学研究科 教授
鍋倉 淳一
自然科学研究機構 生理学研究所 所長
林 康紀
京都大学 大学院医学研究科 教授
渡辺 雅彦
北海道大学 大学院医学研究院 教授

過去の創発アドバイザー

岡田 眞里子
大阪大学 蛋白質研究所 所長/教授(~2023年8月)
 ※所属・役職は当時のもの

創発研究者一覧

2022年度採択

植松 朗

(合田パネル)

不快刺激を克服する神経機構の解明
脳には外界からの生得的な快・不快情報を区別して行動へと移す神経機構がある一方で、学習によって価値を変える機構も備わっています。本研究では不快刺激を快もしくは中立とする学習の神経分子基盤について解明を目指します。脳における不快刺激を克服する機能について解明することにより、新規の神経回路や分子機構といった基礎的知見を深めるとともに、こころの病に対する新規診断法や治療に貢献します。

大島 一正

(合田パネル)

昆虫が持つ植物操作能を例に進化の方向性を決める要因を探る
昆虫の中には、植物を操作して虫こぶという異常器官を作らせ、自身の食料にする仲間がいます。この植物操作能は、昆虫の中で何度も独立に進化しています。その一方で、普通に植物を食べている昆虫も進化の過程で食べる植物種を頻繁に変えてきました。では、虫こぶを誘導するか、食べる植物種を変えるか、という進化の分かれ道はどのように決まるのでしょうか?本研究では、昆虫類の植物への適応をテーマに、進化の方向性を決める要因を探ります。

佐藤 達雄

(合田パネル)

細胞コンパートメント演算が生み出す前頭前野の柔軟な計算
大脳皮質前頭前野はヒトで発達した領野で、作業記憶など状況に応じた計算を担います。柔軟な計算力は神経回路レベルの演算及び神経修飾物質により説明されてきました。一方、一個の神経細胞の細胞内区画にも適応力のある演算能力が備わります。本研究では、前頭前野の細胞内演算を測光する独自技術を用いて、細胞内ミクロ演算が前頭前野の柔軟なマクロ計算に関わることを示します。このことで脳の情報処理の捉え方が変わります。

田﨑 英祐

(合田パネル)

社会性昆虫モデルを用いた長寿代謝機構の多階層的理解
社会性昆虫であるシロアリの王と女王は、圧倒的な長寿と多産を両立する新しい長寿命生物モデルです。本研究では、彼らの活動的⻑寿を可能にする多階層的な代謝機構の実態を解明し、生命システムに対して負荷の大きい代謝経路および負荷の小さい代謝経路の特定を目指します。これらの知見は、生物の老化や寿命を制御する代謝機構の新たな知を創出するだけでなく、健康寿命の延伸に関する医学・健康科学分野への応用も期待されます。

辻 かおる

(合田パネル)

生物多様性に関する新分野「多様性輪環学」の創成
環境依存的な生物多様性の創出維持機構を解明する新分野「多様性輪環学」を創成します。それぞれ独立の研究分野で研究されてきた生物多様性の二側面、「種の多様性」と「同種内の多様性」の融合は大きな挑戦ですが、多様性間の環境依存性に着目することで達成できるはずです。本創発研究では、この新分野創成の基盤となる花-動物-微生物の繋がりをモデルとした具体例を示し、新たな生物多様性の創出維持機構の提唱を目指します。

冨菜 雄介

(合田パネル)

縮重性を備えた神経回路網の動的制御機構の解明
脳神経回路網では、異なる特徴をもつ神経細胞群が類似の機能を発揮するという縮重性を示します。適応的な行動発現において、縮重した個々の神経細胞がどのように動的に制御されているのか、その機構は未解明です。本研究では、シナプスレベルでの網羅的な解剖-生理学研究に適したヒルの神経系をモデルとして、探索的実験アプローチと実験データに基づく理論的アプローチの両輪により、縮重した神経回路網の動作原理を理解します。

長井 淳

(合田パネル)

脳機能向上を生む全脳アストロサイトカタログ
脳にはニューロンの他にアストロサイトという細胞が豊富に存在します。本研究では、「脳機能が一部のニューロンに局在する」という従来説から脱却し、「脳機能は脳全体のアストロサイト-ニューロンの関わり合いによって発揮される」という新たな説の提唱に挑戦します。網羅的でバイアスのないアストロサイト-ニューロン活動のカタログを作成し、将来的には脳機能の向上や脳疾患の治療・診断におけるイノベーションを目指します。

中島 美保

(合田パネル)

好奇心の神経基盤の解明
好奇心とは、未知なものへの探求心を引き起こし、独自で豊かな発想を生み出します。そのため、好奇心がどのように脳内で作り出されるのか明らかにすることは神経科学分野のみならず、心理学研究や人工知能の開発にも大きな影響を与えることが期待されています。本研究では、マウスに様々な好奇心を従事させる新しい斬新な行動課題を構築し、最先端技術を用いて好奇心の神経機構を神経回路レベルで明らかにすることを目指します。

二宮 太平

(合田パネル)

社会脳ネットワークの動作原理の解明に向けた心理・生理・解剖学的研究
本研究では、マカクザルをモデル動物として、本質的に社会的な動物であるヒトを理解するうえで必要不可欠な社会的認知機能、特に自己と他者の行動情報処理に関わる神経基盤の解明、さらにその機能不全により顕在化する行動異常の解析による、精神・神経疾患のメカニズム理解を目指します。心理・生理・解剖学的アプローチを駆使し、理学や医学のみならず、人文科学などを含む幅広い科学分野に資する脳科学的知見の提供に繋げます。

丹羽 康貴

(合田パネル)

眠りやすさを制御する新しい感覚システムの解明
私たちの眠りやすさは、概日リズムや日中の活動によって変化することが知られています。しかし、それが細胞レベルでどのように調節されているのかはよく分かっていません。私は眠りやすさの変化したモデルマウスを確立・解析することで、眠りやすさを調節する神経細胞を同定することに成功しました。本研究を通じて、この細胞がどのように眠気のもとを感知・変換し、誘眠につなげるのかを明らかにし、新しい感覚システムとして眠気を再定義します。

乘本 裕明

(合田パネル)

層構造海馬から生み出される脳波の生成機構・役割の解明
海馬や大脳皮質の層構造の起源は約3億2000万年前の羊膜類が誕生したときであると考えられています。鳥類は進化の過程で層構造を失ってしまったので、現在地球上で層構造が見られるのは哺乳類と爬虫類のみです。本研究ではトカゲの海馬を調べ、哺乳類と比較することで、「層構造がなければ成し得ない脳機能」を明らかにします。

藤田 幸

(合田パネル)

損傷後の神経回路修復を促す手法の開発
病気や怪我で哺乳類の成体の脳や脊髄が障害を受けた場合、失われた神経機能を取り戻すことは非常に困難です。一方で、発生・発達期には、盛んに神経回路が形成され、多様な神経機能を獲得していきます。本研究では、脳や脊髄などの中枢神経障害後の神経回路修復、機能回復を促すために必要なメカニズムを明らかにします。得られた成果によって、神経細胞が本来発生期に有していた高い神経回路形成能を、成体の病態下で再現するための手法の開発を目指します。

増田 隆博

(合田パネル)※卒業(研究開始前)

脳内マクロファージの多様性と中枢神経系疾患
脳を覆う髄膜などの脳境界領域に存在する脳境界マクロファージは、ミクログリアに続く第2の脳内マクロファージと呼ばれていますが、その役割や細胞特性はほとんど分かっていません。本研究では、脳境界マクロファージの細胞特性を明らかにし、正常脳内や中枢神経系疾患時における役割の解明を目指します。そして、中枢神経系疾患の制御に向けた、脳境界マクロファージを標的とした新規治療戦略の創出を目指します。

MIRYEGANEH Matin

(合田パネル)

環境変動とマングローブのエピゲノム動態
Modeling plant adaptation in face of climate change using genomics andepigenomics of stress tolerant Mangrove trees

本研究では、ストレス耐性マングローブ種を実験モデルとして使用して、気候変動によって引き起こされる環境ストレスに応答したエピジェネティックな変化の役割を研究しています。ストレスの環境レベルに基づいて自然個体群でエピジェネティックな変動が発生するかどうかを理解することで、エピジェネティックな変動と表現系の変化との関係についての洞察が得られ、植物の適応応答の理解を深めることができます。

村上 知成

(合田パネル)

脳神経ネットワークの形成メカニズム解明への基盤創出
本研究構想の目的は、発達期に視覚皮質領野間の軸索投射を誘導する分子メカニズムと聴覚野における神経ネットワークの形成過程を明らかにすることで、脳神経ネットワークの形成メカニズム解明への基盤となる研究領域を創出することです。そのために本研究構想では、一次視覚野(V1)から高次視覚野への軸索投射を誘導する分子メカニズムの解明し、さらに視覚経路と聴覚経路で形成戦略が共通しているかを明らかにします。

森本 桂子

(合田パネル)

免疫の役者による脳発生及び機能解明
正常な脳の発生過程においては感染や炎症は認めないにも関わらず、種々の免疫に関連する分子が母から胎盤を通じて子の脳に移行しています。また脳組織においても、これらの分子が産生されていることが明らかになってきました。本研究では、これらの免疫の仕組みにおいて重要な役者が我々の精巧な脳を作り上げる過程にいかに関与し、生涯にわたってどのように脳の機能の維持に関与しているかを明らかにし、将来的には臨床への応用を目指します。

REITER Samuel

(合田パネル)

頭足類の行動神経科学から明らかにする睡眠の一般原理
General principles of sleep revealed through neuroethology of cephalopods

人間の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2つの睡眠段階がある事は良く知られていますが、そのメカニズムと機能については不明であり多くの仮説が存在しています。最近、私達はタコが同様の2段階睡眠の行動を進化させてきたことを発見しました。本研究では、眠っているタコの脳の行動を詳細に分析し、頭足類と脊椎動物の睡眠の類似点と相違点を明らかにする事により、動物全体の睡眠の一般原理を理解することを目指します。

2021年度採択

有薗 美沙

(合田パネル)

シナプスの「横のつながり」を作るアストロサイト
本研究ではベースライン、シナプス可塑性および記憶・学習における「アストロサイトの活動・構造」と「シナプスクラスター」の相関・因果関係を明らかにします。グルタミン酸アンケージングや化学遺伝学的アプローチを用いてシナプスやアストロサイトの活動を操作する一方で、これらの活動をCa2+イメージング、構造を超解像イメージングや2光子in vivoイメージングでそれぞれ観察します。

大石 陽

(合田パネル)

覚醒時の徐波生成機序解明による眠気発生原理の理解
睡眠不足による眠気の増加は、判断機能や作業効率を低下させるため、重大事故やそれに伴う経済的・社会的損失の原因となりますが、眠気の神経メカニズムは現在明らかではありません。我々は最近、眠気の指標である「徐波」を生成できるマウスモデルを独自に開発しました。本研究ではこのモデルを利用して、徐波生成機序を明らかにし、眠気発生原理の理解を目指します。

奥山 輝大

(合田パネル)

「自己」と「他者」の脳内表象メカニズムの解明
本課題では、「自己」と「他者」を私たちの脳がどのように認識しているのかという謎に、行動神経科学・神経生理学によってアプローチします。デカルトの提唱した「我思う、ゆえに我あり」の神経メカニズムを、現代の精緻な神経科学を駆使して理学的に迫るだけでなく、将来的には、自己と他者の間に境界を作り出してしまう「自閉症スペクトラム」の新規治療法の開発に資する点で、イノベーション創出に繋がることを期待しています。

温 文

(合田パネル)

計算論的アプローチを用いた身体意識のモデル化と臨床検証
本研究は身体意識を中心とした認知神経科学の研究にシステム工学の手法を取り入れ、神経科学と臨床医学の両方から得られた実験データに基づき、身体意識の数理モデルを確立し、人間の行動や意識体験をモデルベースで理解し、介入する手法を提案することを目的とします。

加藤 大輔

(合田パネル)

髄鞘がもつ多面的機能の理解に基づく神経精神疾患の病態解明
脳は灰白質と白質で構成され、これまで神経細胞がある灰白質が記憶に重要とされてきました。しかしながら近年、脳の領域を結ぶケーブルとして情報伝達をする白質が注目されています。白質の髄鞘は神経細胞が活動する時間のばらつきを検知・制御し、記憶に関与します。では、髄鞘はどうやってこの時間のばらつきを検知するのでしょうか?本研究は革新的技術によりこの問いに答え、髄鞘の制御不全が認知機能障害を起こすという仮説を実証します。

金子 奈穂子

(合田パネル)

成体新生ニューロンの環境適応的な分化制御と再生
成熟した脳内でも、脳室下帯と呼ばれる領域では神経細胞(ニューロン)が産生されており、傷害部に移動して組織再生に貢献しますが、そのメカニズムの多くは未解明です。私は、脳梗塞後の脳内で新生ニューロンが分化方向や機能を変化させて神経機能の再生する、新生ニューロンを基軸とした神経再生機構の存在を明らかにすると共に、このシステムを応用して脳の再生促進に取り組みます。

上川内 あづさ

(合田パネル)

昆虫の求愛コミュニケーションを担う聴覚機構の解明と制御
ショウジョウバエと蚊の聴覚機構を並行して解析することで、昆虫の求愛コミュニケーションを担う音の認識から評価に至る神経機構の解明に挑みます。分子遺伝学的手法が発達したショウジョウバエを使った解析からは、聴覚システムの基本的な動作原理を理解します。病気を媒介することで世界規模の災厄をもたらす「蚊」を用いた解析からは、聴覚を介した蚊の配偶行動の成立原理を解明し、音を使った繁殖制御法の開発につなげます。

小薮 大輔

(合田パネル)

Morpho-informaticsで切り拓く身体構築のプレシジョン・メディスン
地球上の様々な哺乳類種の胚・胎子を蒐集して史上最大のコレクションを構築し、全身の三次元形態形成、遺伝子発現動態、代謝産物動態といった経時的多次元ビッグデータの包括的解析から、全哺乳類を貫く胎子期における身体構築の基本原理と逸脱的形態創出のロジックを解明します。解剖学とバイオインフォマティクスを融合させた新領域Morpho-informaticsを創成するとともに、博物学標本を未来へと継承し、その成果を基盤に身体構築の予測と制御を可能とする、身体構築のプレシジョン・メディスン(精密医療)の実現に貢献します。

鈴木 俊貴

(合田パネル)

動物言語学の創出と展開
言語の進化を解き明かすことは科学における大きな挑戦です。言語のように複雑なコミュニケーションはヒト以外の動物には見つかっていませんが、言語を構成する個々の特徴(言語機能)に着目すれば、動物にもその起源や共通点を見出すことができるはずです。そこで、本研究では、動物を対象に言語機能を探究する新たな学術領域(動物言語学)を創出し、言語進化の基本原理や認知基盤の解明、社会イノベーションへと展開します。

高橋 阿貴

(合田パネル)

怒りの爆発を抑える生物学的基盤の解明
怒りの爆発による過剰な攻撃行動は大きな社会問題である一方、攻撃性を特異的に抑制する薬物は存在しません。私は、マウスを用いて過剰な攻撃行動を誘発する神経回路の全貌を明らかにするとともに、その性差を明らかにします。そして、内分泌系や免疫系、腸内細菌などの末梢因子が、どのように過剰な攻撃行動の神経回路の働きに影響を与えるかを明らかにすることで、その介入法の開発につなげることを目指します。

中嶋 藍

(合田パネル)

神経活動依存的な神経回路形成を支える情報表現機構の解明
神経細胞が発する電気的な活動は、遺伝子発現の制御を介して複雑かつ正確なネットワーク形成を保証しています。しかし、経時的に変動する神経活動パターンがどのように細胞内のシグナル伝達系に読み取られ、神経細胞の個性に応じた多様かつ特異的な遺伝子発現が達成されるのかに関しては殆どわかっていません。本研究では、嗅覚系をモデル系として、神経細胞一般に敷衍可能な"電気"から"分子"へと変換する基本原理の解明に挑みます。

服部 祐季

(合田パネル)

ミクログリア多様性の理解と母体炎症による影響の解明
胎生期から生後にわたる発達期の脳では、神経系の細胞が次々と作り出され適切な位置に配置されます。本課題は、その脳発生過程において、免疫細胞であるミクログリアがどのような機能を果たすのかについて明らかにします。さらに、母体のウイルス・細菌感染症、低栄養等が胎児脳内のミクログリアの性質をいかに変化させるかを理解し、母体炎症により性質変化したミクログリアが胎児脳内の神経系細胞や血管の発生に与える影響を解明します。本課題を通じ、精神疾患や聴覚障害等の早期診断・予防・治療法開発に向けた研究基盤の確立を目指します。

別所-上原 学

(合田パネル)

盗タンパク質をもつ発光生物の発見
キンメモドキは発光に必要なルシフェラーゼ遺伝子をもたずウミホタルからタンパク質を盗むことで、餌生物がもつ機能を獲得します。「盗タンパク質」として知られるこの現象はキンメモドキでのみ見つかっています。消化・分解されるはずのタンパク質が捕食者の体内で機能する現象は生物学にとって革新的な概念です。本研究では、盗タンパク質をもつ発光生物を新たに発見し、餌由来のタンパク質を取込む共通原理の解明を目指します。

宮澤 清太

(合田パネル)

意匠の創発をもたらす進化機構の解明
生物は多彩なデザイン・意匠を生み出してきました。個体の生存や繁殖戦略にも深く関わる意匠の多様性は、それらを「つくり、見せる」側と「見て、えらぶ」側との相互作用の中で生まれてきたと考えられます。本研究では、「見せる」側のパターン形成機構と「見る」側の認識・評価機構とを同時に捉え、再構成することを通じて、意匠がどのように進化してきたのか、また進化し得るのか、その創発メカニズムの解明と応用を目指します。

森本 直記

(合田パネル)

人類最後の共通祖先からサピエンスへの進化史
現在地球上に存在する人類種は我々サピエンスのみですが、かつては共通の祖先から分かれた様々な人類種がいました。本研究では、人類最後の共通祖先から我々サピエンスへ至る進化過程を、人類化石の発掘調査によって明らかにしたいと考えています。調査地はアフリカとユーラシアの結節点、トルコです。化石発掘という王道的アプローチに最先端の手法を組み合わせ、我々は何者なのかという根源的な問いに答えることが目標です。

2020年度採択

Vincenot C. E.

(合田パネル)※2022年9月卒業

Pioneering the Discipline of Radar Aeroecology for the Global Study and Conservation of Airborne Animals
本研究の目的はレーダーエアロエコロジーという先導的な新学問領域を設立することです。気象レーダーのデータの分析によって飛翔性動物(鳥、コウモリ、虫など)の数を観測し、生態系との相互関係を理解することで、日本の空を飛ぶまたは横断する動物の総数が初めて明らかになります。また、希少動物に装着する最先端のレーダー発信機を開発することによって、環境保全の進展に貢献します。

小川 正晃

(合田パネル)

期待外れを乗り越える動機づけの神経メカニズム
本研究は、心理学で想定される「期待が外れてもそれを乗り越える動機づけ」に着目し、その動機づけを調べる動物行動モデルと生物学との先端的融合に挑戦して、動機づけの神経メカニズムの理解にブレークスルーをもたらします。また、こころの生物学的メカニズムを解明する新たな研究領域を創出します。その成果は、動機づけの異常が関わる精神・神経疾患の症状の理解や治療、教育法などの変革につながることが期待されます。

木村 梨絵

(合田パネル)

柔軟な視覚・運動連関を生む脳領野間ダイナミクス
脳は柔軟性の特徴を有し、外部の感覚情報を処理して特定の行動を出力します。感覚情報の変動、あるいは脳や感覚器の機能低下が生じても、その程度が軽ければ安定に行動を出力します。また、新たな入力-出力関係を再学習することもできます。脳の柔軟性によって、状況変化に適応できます。この脳における柔軟な情報処理機構を、特に視覚・運動連関に注目し、多脳領野にわたる多細胞の神経活動や神経回路を解析して明らかにします。

塩田 倫史

(合田パネル)

グアニン四重鎖によるプリオノイド・イノベーション
アルツハイマー病やパーキンソン病には共通の発症要因があります。脳内でのプリオノイドタンパク質(タウ、α シヌクレイン等)の凝集とその細胞間伝播です。しかし、その機構は未解明です。私は、RNA 構造体のグアニン四重鎖 (G4) が核となりプリオノイドタンパク質の凝集・伝搬を引き起こすことを発見しました。本研究では、革新的細胞内メカニズム「G4 プリオノイド」を実証し、神経変性疾患の治療薬開発に繋げます。

高橋 真有

(合田パネル)

脳における運動系の基準座標の神経機構の解明
「ヒトは重力の奴隷である」。生後地球上で生活したため、耳にある前庭器官が重力を感知し、物体認識や体の姿勢調節機構が、重力軸に対して脳内に学習され形成されています。このため脳は、5つの異なる随意的、反射的眼球運動システムを駆使して常に眼球を鉛直に保ち、視覚情報を重力方向と一致させて取り込んでいます。霊長類で5つの眼球運動系の脳内神経回路を解明し、それらを統一している運動制御の原理を明らかにします。

武井 智彦

(合田パネル)

予測的運動制御に関わる皮質-皮質下神経ネットワークの解明とその操作
近年脳科学の発展によって、身体を介さずに脳活動から直接外部環境とインタラクションする技術が開発されています。しかし身体が物理的制約から解放されたとき私たちの認知や行動の仕方はどのように変わってしまうのでしょうか?本研究では動物が物理的制約のない「新しい身体」を獲得した際に中枢神経系がどのように適応するのかを人工的神経回路の構築、大規模神経活動記録、モデルシミュレーションを用いて明らかにします。

土松 隆志

(合田パネル)

植物自家不和合性の進化動態解明と制御へ向けた基盤研究
植物には、自己の花粉を選択的に排除し、非自己の花粉のみを受け入れる自家不和合性と呼ばれる仕組みが知られていますが、その野生集団での実態や進化動態は依然明らかではありません。本研究は、ゲノム配列解析、数理モデリング、生化学的解析等の融合アプローチから、自家不和合性システムの野外集団での実態把握および進化予測を行うことを通し、自家不和合性のデザイン・実装による植物の交配の自在な制御を目指します。

常松 友美

(合田パネル)

ディープラーニングを用いたマウス夢見証明への挑戦
なぜ、どのように夢をみるのか?脳科学者にとって未解決の難問です。なぜなら、遺伝子操作等による夢見神経回路への介入が可能なマウスでは意思疎通が出来ず、夢を見たのかどうか分からないからです。そこで本研究では、ディープラーニングを用いることで、マウスにおける夢見証明に果敢に挑戦します。続いて、夢見の神経メカニズム、夢見の生理的役割を解明することを目的に掲げ、研究を展開します。

東樹 宏和

(合田パネル)

生態系レベルの生物機能最適化を実現する越境科学フロンティア
ゲノム科学・野外/理論生態学・ネットワーク科学・微生物学を融合し、生態系内に存在する全生物群間の関係性を俯瞰する「地図」(種間ネットワーク図)を世界に先駆けて作成します。その上で、中核的な役割を担う種のセット(「コア生物叢」)を設計します。「1種の生物ゲノムをいかに改良しても到底得られない次元の機能」を生態系という高次レベルで実現し、食糧・環境問題に新しい解決策を提示する科学領域を創成します。

野村 洋

(合田パネル)

人工海馬による記憶・学習能力の創発
海馬は記憶・学習に必須な脳領域です。これまで海馬の神経活動を測定する分析・記述研究は行われてきましたが、緻密な活動と記憶との関係を検証することは困難でした。そこで本研究は人工的な海馬を作製し、記憶・学習能力を獲得するか検証することで海馬機能を解明します。分析研究で提唱されてきた仮説を初めて検証すると共に、認知症モデルへの適用を通じて、認知症の新たな治療法の提唱にも貢献します。

畠山 淳

(合田パネル)

霊長類の大脳発達における外的要因の役割とその応用
ヒトは進化の過程で、ニューロンとグリア細胞を著しく増大させました。これらの細胞を大量に産出する神経幹細胞は、脳形成期に数ヶ月に渡って維持され増殖します。このことがヒトの大脳の巨大化を可能としました。本研究では、脳脊髄液と頭蓋組織という外的要因の観点から、霊長類の神経幹細胞の長期間維持・増殖の分子機構を解明します。さらに、その成果を基盤に、早産児・低出生体重児の脳発達予後改善への応用を目指します。

日置 寛之

(合田パネル)

シナプス構築から探る大脳新皮質の構造原理
神経細胞は膨大な数のシナプス入力を受け、並列演算処理を実行しています。よって、神経細胞そして脳の動作原理を理解するためには、神経細胞に対するシナプス入力パターンを明らかにすることが重要です。本研究では、大脳新皮質の錐体細胞に着目し、シナプス入力部位の三次元マッピングを行います。脳の動作原理の一端を明らかにし、脳型コンピュータの発展や、各種神経・精神疾患の病態理解の基盤形成につながると期待されます。

廣川 純也

(合田パネル)

前頭前野による情報分配原則の解明
前頭前野が関わる神経疾患は依存症やうつ病等、多岐に及び、その治療法は確立していません。前頭前野はあまりに複雑な組織であり、既存の方法では障害のみを抑制できないからです。本研究は、最新の光遺伝学的方法を用い、前頭前野から複数の脳部位へ送られる情報伝達を解析し、その情報分配の仕組みを解明します。これにより、前頭前野から出る特定の信号の操作が可能になり、より有効で安全な治療法への大転換が期待できます。

宮本 大祐

(合田パネル)

新旧の情報を統合する睡眠脳のダイナミクス
脳は獲得した情報を記憶として長期的に保持するだけでなく、新情報によりアップデートします。新旧の情報の統合は脳の柔軟な情報処理に貢献し、認知症の一症状の固執性を回避します。本研究は、記憶の貯蔵庫となる大脳皮質と新情報を担う海馬の睡眠脳波のリズムによる脳領域間コミュニケーションを計測します。そして、最新の光遺伝学的手法をマウスの記憶研究用ツールと融合し、脳ネットワークを高精細かつ大規模に可視化します。

毛内 拡

(合田パネル)

脳のアナログ調節機構を支える間質液動態の解明
気分や注意など「こころのはたらき」の中には、ニューロンの精密で速いデジタル伝達だけでは説明がつかない現象が多くあります。私はこれまで、脳の広範囲にわたるゆっくりしたアナログ調節機構に、脳細胞のすきまを満たす「間質液」の流れが中心的な役割を果たしていることを提案してきました。本研究では、これまで誰も見たことがなかった間質液の流れを可視化する技術開発に挑戦し、脳科学研究における新たな価値を創出します。

山下 貴之

(合田パネル)

レディオナノ生理学による脳神経機能の解明
現代の神経科学は、光の利用を中心とした技術革新により発展してきました。ところが、光が届かない脳深部では研究が遅れており、精神疾患の根治が難しい一因となっています。本研究では、私たちが独自に開発した「X線光遺伝学」に新たにナノ電極による細胞内記録を統合させた「レディオナノ生理学」を創成することで、組織深度にとらわれない次世代の脳神経機能解析法を確立し、脳神経機能の理解を飛躍的に向上させます。

楊 家家

(合田パネル)

7テスラ超高磁場fMRI技術を新機軸としたヒト脳の多階層な機能の解明
本研究は、7テスラ超高磁場MRIを用いたヒト大脳皮質層の活動を計測できる革新的なfMRI技術を研究開発し、ヒトの大脳皮質層間の神経回路機能の解明を通じて、ヒト脳の多階層な機能の解明を目指しています。また、ヒトの様々な精神活動とその異常を各階層の脳機能に結びつけて理解し、認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患の病因解明および画期的な早期診断・治療・予防法の開発への展開が期待できます。

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