JSTは2018年より産学官民の17機関とともに「未来社会デザインプラットフォーム(CHANCE)構想」を推進しています。2022年6月には「実現すべき未来」に向けて産業界とアカデミアをつなぐコミュニティ『学イン』を、CHANCE賛同機関のSUNDRED株式会社とともに立ち上げました。
学インはテーマ型の「対話の場」を定常的に開催し、さまざまな機関やコミュニティと連携しながら知と知、人と人とをつなぐ活動を展開しています。その連携の輪は、2023年8月現在4機関まで広がりました。
2023年6月22日(木)に開催した「バイオエコノミー社会を展望する~基礎研究の社会実装を加速するには~」では、微生物研究を軸にアカデミアと産業界の双方で活躍する2名の研究者が登壇。参加者とともにオンラインで活発な対話を繰り広げました。
グループワークでは、SUNDREDが対話による知識創造・蓄積・共有・発展を促すために開発した「フューチャーボード」を活用。ボード上に残された参加者のアイデアのうち、今回はトークテーマの1つだった「アカデミアの研究の社会実装の壁になっているもの」について、生成系AI「ChatGPT」によるサマライズを試みました。
フューチャーボードのイメージ(提供:SUNDRED株式会社)
学インでの対話によって可視化された数多くの課題。立場によって直面する課題はさまざまですが、学インは越境した対話を定常的に開催し、これらの課題をクリアするための機運醸成やアイデア創出に今後も取り組んでまいります。
ChatGPTによるサマライズ「アカデミアの研究の社会実装の壁になっているもの」
1. コミュニケーションと相互理解
- 社会と研究者の間の対話の不足や共通言語の欠如。
- 社会のニーズや研究の目的が一致していないこと。
- アカデミアと社会のゴールの差異。
2. 研究の推進とサポート
- 研究を続けるための資金やサポート、マネジメントの問題。
- 一つのシーズ(アイディアや原理)から実用化への道のりは長く、実用化できるものは少ない。
- 継続的な研究資金の確保。
3. 技術とイノベーションのアダプテーション
- 既存のシステムや価値観を超える新技術の導入が困難。
- 新しい技術の導入は容易だが、古いシステムや思考からの脱却が難しい。
4. 経済的・資金的課題
- 社会的な認識や投資を呼ぶための認知の問題。
- すべてをお金儲けに依存しない社会の方向性やビジョン。
- 資金調達やスタートアップ支援の必要性。
5. 文化・意識・価値観
- 研究者の努力が論文以外の業績として評価されにくい文化。
- 失敗を恐れずに新しいことに挑戦する文化や組織内のカルチャーの変革。
- 研究と社会実装の接点としてのスタートアップ文化の育成。
6. 人材と教育
- 研究者と非研究者の間での共感や相互理解の醸成。
- 人材育成の重要性、特に研究者のモチベーションや興味を引き出す手段。
- 研究者とビジネスのブリッジ役としてのスタートアップや実用化に関する教育やサポート。
7. 戦略とタイミング
- 研究の実用化を目指す際の適切なタイミングや戦略。
- シーズとニーズの接点や出会いの場の確保。
ワークショップ概要
開催日時:2023年6月22日(木)19:30-21:00
登壇者:
①「微生物とバイオマスを活用したエネルギー生産でバイオエコノミー の可能性を広げる」
返町洋祐さん(株式会社インセプタム代表取締役/株式会社A-Co-Labo共同創業者CAO)
②「腸内環境研究がもたらす生体内バイオトランスフォーメーション」
福田真嗣さん(慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授/メタジェン代表取締役社長CEO)
モデレーター:
原田久美子さん(株式会社A-Co-Labo代表取締役)
共催:
- アカデミスト株式会社
- 株式会社A-Co-Labo
- SUNDRED株式会社
- 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)