【開催報告】逃げ地図づくりネットワーク全国大会+展示会

開催日:2017年(平成29年)12月8日
会場:日建設計東京ビル

逃げ地図の展示会、開催
会場の日建設計東京ビル1Fでは、12月4~15日の期間、『逃げ地図』の展示会が開催されていました。

リスク・コミュニケーションを手助けしながら、その担い手をも育てるツール、『逃げ地図』。みんなで白地図を囲み、避難場所までの道のりを色分けしながら塗るワークショップは、大人も子どもも盛り上がります。
今回の全国会議では、各地で『逃げ地図』づくりワークショップを開催してきたファシリテーターのみなさんが集まりました。

3.11からはじまった
『逃げ地図』のものがたり

会議のモデレーターは、企業内のボランティア活動の一環として『逃げ地図』の原案を作った、日建設計の羽鳥達也さんです。東日本大震災の際、現地の学生のみなさんとのリサーチや、一緒にお仕事をしたことのあるかたとの会話の中から、「次の津波への不安を和らげる」ためにできることを探したのが、『逃げ地図』づくりのきっかけでした。
『逃げ地図』が単なるハザードマップでない理由は、まずその作り方にあります。一般的なハザードマップは行政が測量等で調べた結果が地図化されて配布される(だけの)ため、もらったことすら忘れがちです。しかし、『逃げ地図』は、たとえば同じ学校に通う子どもたちがグループを作り、避難場所からの距離を色分けして塗る中で、自然に地域の現状を知り、情報を交換しあい、自分たちがどう避難すべきかを実感していきます。つまり、地図を完成させることが目的ではなく、我がこと意識で作る過程や、その結果をもとに対策をみんなで考えていくことが前提にあることが特徴です。
そんなふうにコミュニケーションを重ねながらつくりあげる『逃げ地図』は、地域それぞれが抱えた問題に、柔軟に対応できます。今回お集まりいただいたファシリテーターのみなさんからも、まちづくりから教育まで、多彩な活用のご報告をいただきました。

第一部

photo「逃げ地図」の原案作成者
羽鳥達也氏
(株式会社日建設計・設計部長)

photo第一部「逃げ地図づくりの経緯と成果:津波避難から多様な災害対応へ」
モデレーター 山本俊哉氏
(明治大学理工学部教授)

photo「岩手県陸前高田市広田町における逃げ地図づくりを通した防災まちづくり」
村上俊之氏
(陸前高田市広田町田谷地区集団移転協議会事務局長)

photo「静岡県下田市立朝日小学校における逃げ地図づくりを通した防災教育」
進士弘幸氏
(下田市立朝日小学校評議員・シンジ建築設計)

photo「埼玉県秩父市における土砂災害からの逃げ地図づくりと地区防災計画の立案」
宮前房男氏
(秩父市総務部次長・危機管理課課長)

photo「防災教育ファシリテイター養成講座における逃げ地図づくりの展開」
石田真実氏
(認定NPO法人かながわ311ネットワーク 理事 防災教育担当)

コミュニケーションツールとしての『逃げ地図』
これからの進化にも期待!

自治体の方々に、いろんな形でご活用いただければ!
『逃げ地図』の必要性が高い地域も、そうでない地域も。いろんな形でご活用いただければと思います!

防災にあまり関心の無い方や、真に意識することが必要な方々に、より広く普及させるべく、これまでも、アート活動とのコラボレーションでユニークなイベントを開催するなど、『逃げ地図』プロジェクトは多彩な活動を展開してきました。実践のためのマニュアルも整い、サイトから無料ダウンロードできます。講習を受けなくても実践可能です。
会議の後半では、既に大きなネットワークづくりの始まっている地域からの報告に続き、なんと「逃げ地図WEB版を作成中」というサプライズが。まだまだ、『逃げ地図』の進化は続きそうです。

第二部

photo第二部「逃げ地図づくりの今後の展望:和歌山県における新たな展開を事例に」
モデレーター 木下勇氏
(千葉大学大学院園芸学研究科教授)

photo「和歌山県における逃げ地図づくりの経緯と課題」
森岡茂夫氏
(熊野津波逃げ地図ネットワーク代表、熊野くらし工房一級建築士事務所)

photo「逃げ地図システム(逃げシルベ)開発の経緯と今後」
吉野孝氏
(和歌山大学システム工学部 教授)

photoコメンテイター 橋本雅史氏
(日本建築家協会近畿支部和歌山地域会 災害対策委員長、キューブ建築研究所)

photoコメンテイター 平田直氏
(東京大学地震研究所地震予知研究センター長・教授)

photoコメンテイター 林春男氏
(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 理事長)

賑わう展示コーナー
閉会後も賑わう展示コーナー。アートプログラムの様子が上映されています。

(文責:RISTEX広報)

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