「ユビキタス社会のガバナンス」採択プロジェクト

平成19年度採択

カントリードメインの脆弱性監視と対策

三上 喜貴(長岡技術科学大学 大学院技術経営研究科 教授)

ネットワーク上の悪意ある行為者は管理の手薄いドメインに巣食っている。インターネット上には250のカントリー・ドメインがあるが、小規模な島嶼を中心に当事者のガバナンス外にあってスパムやポルノなど不適切なコンテンツの温床となっているものが存在している。こうしたドメインを発見し、その実態を監視する手法を開発する。また、監視結果に基づき国際社会への注意喚起を行うとともに、ドメイン管理の理念とルールを提案する。

平成18年度採択

企業における情報セキュリティの実効性のあるガバナンス制度のあり方

林 紘一郎(情報セキュリティ大学院大学 副学長)

情報セキュリティ・インシデントを類型化し、それぞれにふさわしい責任のあり方(法的責任、説明責任、即応責任、およびそれらの組み合わせ)を提言する。あわせて、それを実現するために、法、経営管理、技術の各要素がどのように役立つかを明確にする。個人情漏えいに関して言えば、上記3種類の責任がすべて発生するが、法的には過剰保護に陥らぬよう保護と利用のバランスを取る運用が必要である。経営管理の面からは、JISQ15001だけでなく、情報全体のマネジメント・システムが要請され、技術面からは「漏えいモデル」による知見が加味される。「情報漏えいの責任はいかにあるべきか」「スパムメールにどう対応するか」についての提言を出す。

ユビキタス社会にふさわしい基礎自治体のリスクマネジメント体制の確立

林 春男(京都大学 防災研究所 巨大災害研究センター 教授)

ユビキタス社会の到来は不可逆的な変化である以上、社会としての達成目標はリスクの影響を最小限にとどめつつ、その便益を教授するというバランスをはからざるをえない。ICT技術導入に伴うリスクと便益のバランスを考えるために、基礎自治体を核とした地域ステークホルダーの「ユビキタス社会の便益を教授しつつリスクの最小化を行うガバナンス」能力向上を達成目標とした研究開発を行う。具体的な研究成果として、平時の業務効率化、サービスレベルの向上を図ると共に、危機発生時も業務遂行が可能な1.行政の情報処理システムの構築 2.組織構成 3.問題解決能力の高い人材育成を行う。

平成17年度採択

ケータイ技術の知識不足から生じる危険の予防策

玉井 克哉(東京大学 先端科学技術研究センター 知的財産権大部門 教授)

本研究は、ケータイ(携帯電話)に対するユーザの知識不足により生じる危険性について検討します。ケータイがますます高度化・複雑化する一方で、増加傾向にある不正利用の現状を調査し、その予防策、並びに搭載新規技術と安全性知識に関する啓蒙策について、現行法上の検証を行います。また、制度的な側面に関する対応策の提案を行い、社会的なマイナスを極小化することを目的としています。

ユビキタス社会における情報信頼メカニズムの研究

曽根原 登(国立情報学研究所情報社会相関研究系 教授)

安全・安心な情報流通を可能にする情報社会システムのトラストモデルを構築するために、情報そのものの正確さ、評判、格付け、品質などの評価メカニズム、法制度について、情報学、法と経済学の総合科学として研究します。具体的研究テーマは以下の3点です。

  1. 格付けや品質に代表される情報の客観的な信頼性評価手法の確立
  2. 口コミや評判に代表される情報の主観的な信頼性評価メカニズムの解明
  3. 情報の信頼性が法と経済モデルに与える影響の解明

  • 記載内容は研究実施当時のものであり、その後の進捗や他の研究により導出される結論が変わることもあります。
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