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米国における研究セキュリティの取組み-研究の開放性と安全の両立に向けて
エグゼクティブサマリー
研究のオープン化、国際化が世界的に進展しており、国内的にも国際的にも開かれていることが、活力ある研究システムのために不可欠であると広く認識されている。一方で、2018年頃からオープンな研究システムの不当な利用による、研究システムの健全性の毀損と技術流出などを通した国家安全保障への悪影響の認識が共有されはじめてきた。
このような懸念に対して、我が国を含む多くの国では、責任ある行動による研究、社会に対する説明責任、研究倫理の順守などを行うといった研究インテグリティについて利益相反・責務相反に重点を置いて取組みを強化することで対応が検討され、着手されてきた。近年ではこれらの懸念に対して、どのようなリスクが生じているのか、どのような対応が必要かを検討する研究セキュリティについて、具体的な取組みが進められ始めている。
特に米国においては、「国家安全保障大統領覚書-33 履行のためのガイダンス」(2022年1月)、「半導体・科学法」(2022年8月)が成立し、各種法令によって指針が示され、利益相反・責務相反に関する情報開示のほか、リスク評価、トレーニングプログラムの構築、研究セキュリティプログラムの構築などが具体的に実行に移り始めている。これらの取組みは、研究の開放性と研究の安全の両立に向けた取組みであり、研究コミュニティ内における役割分担、合意形成、信頼醸成の観点からも注目に値する。本調査では、研究セキュリティに関する米国の政策的動向および大学の動向と進捗(2024年2月まで)について、多角的な観点からまとめることを試みた。
※本文記載のURLは2024年2月時点のものです(特記ある場合を除く)。
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