科学技術未来戦略ワークショップ報告書
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電気-物質エネルギー変換反応場の開拓に向けた材料開発

エグゼクティブサマリー

本報告書は、令和4年3月5日に開催した科学技術未来戦略俯瞰ワークショップ「電気-物質エネルギー変換反応場の開拓に向けた材料開発」に関するものである。

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、再生可能エネルギーを最大限活用していく必要がある。しかしながら、再生可能エネルギーは時間変動性による需要と供給のミスマッチや適地の局在性という短所を有しており、その問題点を克服するための蓄電システムや燃料への転換(エネルギーキャリア)などの大量導入も必要となると考えられている。この解決には、蓄電池や水素燃料電池・水電解(水素製造)といった電気化学システムをより高度化かつ持続可能なものにしていくことが求められる。つまり、従来よりも温和な反応環境の実現、従来よりも資源効率の高い反応環境の実現などが期待されている。

本ワークショップでは、蓄電池、燃料電池、水電解、CO2電解、といった様々な電気化学デバイスにおいて、性能要因を司る“反応場”に着目し、今後必要となる反応場の拡大や拡張の方向性について、技術動向の把握や総合討論を実施した。その結果、以下の方向性や論点が見出された。

  • 反応場の多様化や拡張というコンセプトにもとづき、デバイス横断的な学理の構築や材料開発を行うことによって、新たな研究の展開がもたらされる可能性が高い。
  • これまで電気化学材料・デバイス開発に従事してこなかった異分野からの新規参入を促すことが新たな材料・デバイスシーズの創出には必要である。そのためには、デバイス横断的なプロジェクトの推進が有効である。
  • 電気化学においても、マテリアルズ・インフォマティクスなどのデータ駆動型研究開発が研究の加速に必要である。ハイスループット計算やハイスループット実験の方法論の確立とともに、データ駆動型研究のための実験標準化やプロトコルの確立も求められる。

CRDSでは、本ワークショップでの議論を踏まえ、今後、国として重点的に推進すべき研究領域、具体的 な研究開発課題を検討し、研究開発の推進方法を含めて、戦略プロポーザルを策定し、関係府省や関連する 産業界・学会等へ提案する予定である。 

※本文記載のURLは2023年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。