科学技術未来戦略ワークショップ報告書
  • 情報・システム

情報と計算の物理と数理

エグゼクティブサマリー

本報告書は、2022年12月20日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ「情報と計算の物理と数理」の内容をまとめたものである。

情報学や計算機科学と物理学との関係の深化が注目されている。情報処理のエネルギー効率と物理法則との関係はこれまでも長らく議論されてきたが、近年では物理学の概念・手法を情報学・計算機科学に応用する方向と、情報学・計算機科学の概念・手法から物理法則を理解するという方向の双方向の交流が理論・実験の両面で活性化している。

ワークショップでは、物理学・数理科学と情報学・計算機科学で今何が起こっているか俯瞰することから始め、今後の可能性と課題、効果的な推進方策を議論した。具体的には

(1) 現状どのような研究が行われているか? また、どのような挑戦課題があるか?
(2) エレクトロニクスやエネルギーなど、可能性のある応用先にはどのようなものがあるか?
(3) 今後の分野の発展、普及・展開にはどのような推進方策が必要か?

などを幅広い観点から、科学技術と推進方策の両面から課題と解決策について議論した。

ワークショップからはゆらぎの熱力学や情報熱力学の進展、量子情報の他分野への拡大、非平衡統計力学と機械学習との深い関係性など最先端の研究開発動向について把握できた。また、分野の間の距離感や我が国のコミュニティーの特性、異分野融合・連携を進める上で重要となるプロジェクトや物理的拠点など推進方策上の課題についても様々な知見が得られた。

これらの議論を踏まえ、CRDSでは今後国として重点的に推進すべき研究領域と具体的研究開発課題を検討し、研究開発の推進方法も含めた戦略プロポーザルとして関係府省や産業界・学界等に提案する予定である。

※本文記載のURLは2023年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。