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感染症に強い国づくりに向けた感染症研究プラットフォームの構築に関する提言
エグゼクティブサマリー
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)では、新型コロナウイルス感染症 COVID 19発生以来のこれまでの対応を振り返り、課題やボトルネックとなっている点を洗い出し、今後の感染症対策において推進すべき項目を明らかにするため、有識者によるワークショップを開催、議論を行った。感染症対策では関連領域が多岐に渡るため、医科学・生命科学研究分野での議論と、公衆衛生学・感染症疫学や社会・情報科学研究分野での議論を行った。各領域において多様な課題、推進すべき項目が挙げられた。2 回のワークショップにより抽出された15 課題を総括し、ポストコロナを見据えた我が国の感染症対策に資する科学技術戦略として、以下の5 項目を重点的に進めるべき項目とした。
項目1 病原体に対する幅広い基礎研究とそこから得られる知識の統合
項目2 ヒトを対象とした宿主 病原体研究推進のための研究基盤の構築
項目3 加速的な診断・治療・予防法開発と実用化を可能とする多分野融合・産学連携研究構造の整備
項目4 自然・人文・社会科学の統合知による感染症対策関連研究基盤の構築
項目5 保健 医療体制・感染症検査体制の強化に資する研究領域の活性化
ライフサイエンス・臨床医学の観点から長期的視野に立ち、今後も起こり得る感染症危機において我が国での健康被害を最小限に抑えるためには、感染症研究基盤を盤石にすることが重要であると考えた。そこで、特にこれらの重点項目を牽引するための以下の3つの提言に至った。
提案1:宿主-病原体双方からの感染症研究の推進
提案2:微生物ゲノム情報データプラットフォームの構築・共有体制の整備
提案3:感染症対策に資する人文・社会科学と自然科学研究の協働の推進
これらに共通して、データやリソースといった基盤となる拠点整備とそれらの利用者となるプロジェクトベース研究の事業間連携の構築、および基礎医学と臨床医学、実験科学と情報科学、自然科学と社会科学のような異分野のコミュニケーションプラットフォーム構築が重要である。
※本文記載のURLは2020年10月時点のものです(特記ある場合を除く)。
※2020年11月第2版公開