俯瞰ワークショップ報告書
  • 材料・デバイス

ナノテクノロジー・材料分野 領域別分科会「材料設計・制御~物質科学の未来戦略(新物質・新機能創出の観点から)~」

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成28年8月4日、5日に開催した『俯瞰ワークショップ(WS) ナノテクノロジー・材料分野 領域別分科会「材料設計・制御」~物質科学の未来戦略(新物質・新機能創出の観点から)~』に関するものである。

 「材料設計・制御」領域は、ナノテクノロジー・材料分野全体に関与するものであり、所望の機能を実現させるための構造の設計・制御手法を用いて、サイエンスの新局面を拓き、我が国の将来社会、産業に貢献しうる技術領域である。

 ワークショップでは、2つの分科会を設置して、新物質・新機能創出の観点から「材料設計・制御」領域に関する国内外の研究動向の俯瞰、国として取組むべき物質科学分野における将来の研究目標や方向性等について議論することを目的とした。

 ワークショップの進め方としては、分科会形式による集中討論、参加者全員による総合討論を実施した。また、ワークショップ開催に先立ち、招聘の識者には下記3項目に関するアンケートを実施した。
 【項目1】
  最近10年間程度の期間に見られた重要な成果
 【項目2】
  今後10年あるいはもう少し将来において重要となる研究分野あるいは方向性
 【項目3】
  自身の専門分野から離れて、将来重要となると思われる研究テーマ・コンセプト

 上記の一連の検討・議論の結果、以下に示す7つの研究開発の方向性が得られた。
  (1) 主要元素の循環に革新をもたらす新化学プロセスの開拓
  (2) 分子・材料・生命にまたがるナノ力学の解明と技術の創出
  (3) 原子空間配置と時間変遷を四次元的にプログラミングした新物質系の創成と応用
  (4) Game-changing Material(未常識物質)
  (5) 水の特異性と可能性
  (6) 脳物質科学 
  (7) 人工知能(AI)と計算科学の融合に基づく新概念の創出

 これらの結果は、CRDSでさらに検討を加えて、2017年度初に発行を予定している「研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2017年)」に反映させるとともに、今後国として重点的に推進すべき研究領域、具体的な研究開発課題の検討に活用していく予定である。