- 情報・システム
第4世代AIの研究開発 -深層学習と知識・記号推論の融合-
エグゼクティブサマリー
人工知能(AI)のこれまでの発展を振り返ると、第1世代は探索技術を用いたトイシステム的なAI、第2世代は人手で辞書・ルールを構築・活用するルールベースのAI、第3 次世代は大量データからルールやモデルを構築して活用する機械学習に基づくAI、という流れで進化してきた。現在、特に深層学習(ディープラーニング)が第3 世代AI の中心にあり、さまざまな応用に適用が進んでいる。しかし、その限界も指摘され始め、それを克服すべく次の世代のAI、すなわち第4 世代AIが検討され始めた。そこで、本プロポーザルでは、第4 世代AI の研究開発においてわが国が先行し、国際競争力を確保するために、目指す方向性、重要な研究開発課題、推進方法等を示す。
現在の深層学習は、①学習に大量の教師データや計算資源が必要、②学習範囲外の状況に弱く、実世界状況への臨機応変な対応ができない、③パターン処理は強いが、意味理解・説明等の高次処理はできていない、といった限界が指摘されている。これらの限界を克服するとともに、社会からの要請としての信頼性や人間との親和性も確保するため、第4世代AIでは、深層学習をベースとした即応的知能の仕組みに、知識・記号推論のような熟考的知能の仕組みを融合する方向が目指されている。
本プロポーザルでは、第4世代AIのために特に重要な研究開発課題として、
1. 教師なしでも知識獲得・成長できる融合AI 研究
2. 実世界で安全性・頑健性を確保できる融合AI 研究
3. コンテキストに応じ適切な推論・アクション可能な融合AI 研究
4. 知能の要件・原理の探究に基づき、即応的知能と熟考的知能を統一的に扱う融合AI 研究
を挙げている。また、AI技術開発は米中2強と言われる現状において、第4世代AI研究開発をどう位置付け、どう注力するかの考え方、人材・データ・計算機等の研究リソースの強化策、人間・社会との関係も踏まえた、より総合的で骨太な取り組み等、推進施策についても述べている。
※本文記載のURLは2020年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。