俯瞰ワークショップ報告書
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ナノテクノロジー・材料分野全体会議「研究開発力強化に向けた施策間連携」

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成28年8月22日に開催した『俯瞰ワークショップ(WS) ナノテクノロジー・材料分野全体会議 「研究開発力強化に向けた施策間連携」』に関するものである。

 ナノテクノロジー・材料分野の基盤技術の研究開発力を向上させ、常に世界最高レベルに保ち、そこから実用化・産業化につながるイノベーションを創出できる環境の構築に必要な研究開発拠点・施策間の連携や府省間の連携について議論するために、このワークショップを開催した。開催趣旨説明に続き、主要施策の概要、今後の施策間連携に対する産業界からの要望、第5期科学技術基本計画と科学技術イノベーション戦略2016におけるナノテクノロジー・材料分野の位置づけに関する話題提供と、これらを踏まえた施策間連携、府省間連携に関する総合討論を行った。

 趣旨説明では、産業構造の大きな変革が予想されるこれからのIoT時代、AI時代における日本のナノテクノロジー・材料分野の研究開発力に関する危機感、研究施策・拠点の活動の強化、施策間・拠点間および産業界との連携に関するCRDSの方策案などを紹介した。

 主要施策の概要では、①ナノテクノロジープラットフォーム、②東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)、③情報統合型物質・材料イニシアティブ(MI2I)ハブ拠点、④TIAの4つの研究開発拠点における理想の姿、現状、課題などが紹介された。今後の施策間連携に対する産業界からの要望では、①技術革新による先端材料の持続的創出、②産学連携の課題が紹介された。第5期科学技術基本計画と科学技術イノベーション戦略2016におけるナノテクノロジー・材料分野の位置づけに関しては、ナノテクノロジー・材料分野の戦略策定に向けた課題意識などが示された。

 総合討論では、上記の話題提供の内容と、文部科学省および経済産業省からの府省連携の現状と長期的な拠点や施策の継続に関する課題、形式的でない実質的な府省の連携の仕組みなどに関する話題提供を受けて、①先端研究開発インフラの将来戦略、成長する研究開発施設・拠点の在り方、②組織間、施策間、機関間、府省間、現場の連携について議論し、いくつかの方向性が示された。

 これらの結果は、CRDSでさらに検討を加えて2016年度末に発行予定の「研究開発の俯瞰報告書 ナノテクノロジー・材料分野(2017年)」に反映させるとともに、今後国としてのナノテクノロジー・材料分野の推進策を検討するときに活用していく。 得られた知見は、研究開発の俯瞰報告書における環境分野の総括に活用すると共に、各区分の下に分析単位として設定する研究開発領域の構成の検討に活用する。