科学技術未来戦略ワークショップ報告書
  • 情報・システム

IoTが開く超スマート社会のデザイン

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成27 年11月5日(木)に開催した科学技術未来戦略ワークショップ(WS)「IoTが開く超スマート社会のデザイン」に関するものである。

 これまで、現実世界(実体社会)は、あくまで物理世界であり、サイバー世界は物理世界に情報をもたらすコンピュータ群であった。ところが、近年のIoT技術をはじめとした情報科学技術の進展に伴い、個人やビジネス等社会活動において、サイバー世界が物理世界と一体となって切り離せないものになりつつある。近い将来、これら2つの世界が一体化した世界ができるであろう。CRDSではこの世界を『Reality2.0』と呼んでいる。

 今回、『Reality2.0』について、関係する有識者と共にその研究分野の具体化を目的として、科学技術未来戦略ワークショップ(WS)「IoTが開く超スマート社会のデザイン」を開催した。本WSでは、ドメイン(技術の適用領域)として人流・物流、防災・減災、ヘルスケア・介護の3領域を対象とした。ドメイン毎に産業界の有識者に自身の取組内容やアカデミアに向けてのニーズ等についてご発表いただいてから、アカデミアから研究内容およびシーズについてご発表頂いた。また、ドメインに限らない共通的な課題として、サービスプラットフォームの構築に向けて必要となる研究開発項目を議論すると共に、Reality2.0が社会に実装されていく上での人文社会分野の検討課題について、それぞれの有識者を交えて議論した。

 総合討議や発表の結果として、ドメイン・プラットフォーム毎に以下の研究開発課題・技術目標を同定した。

1. 人流・物流移動情報活用による新ビジネス創出のための人やモノの活動量推定・活用技術
2. 防災・減災災害時の失見当期を1時間以内に短縮する情報捕捉技術
3. ヘルスケア・介護地域ニーズに応えるヒューマンセントリックなIoTシステム技術
4. サービスプラットフォーム/アーキテクチャサイバーリアル融合による、想定外にも対応できる賢くなるプラットフォーム