俯瞰ワークショップ報告書
  • 材料・デバイス

ナノテクノロジー・材料分野 全体構想会議

エグゼクティブサマリー

本報告書は、(独)科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成 26 年7 月 16 日に JST 東京本部別館にて開催した俯瞰ワークショップ「ナノテクノロジー・材料分野 全体構想会議」に関するものである。このワークショップは、CRDS が 2013-2014年にかけておこなってきた一連の俯瞰ワークショップ技術領域別分科会を踏まえて開催したものであり、次期科学技術基本計画期間を含む向こう 10 年程度を見据えて、科学技術政策におけるナノテクノロジー・材料分野の推進の在り方や、構造的課題について参加者間で議論し論点を共有することを目的に開催したものである。CRDS の分野別俯瞰活動は 2 年ごとに見直すことにしており、すなわち 2 年間をかけて内外の研究開発動向全体を調査・分析して、その結果を俯瞰報告書に取りまとめることとしている。今回の俯瞰活動の最終的な結果は、俯瞰報告書 2015 年版として 2015 年度初に発行の予定である。
今回 CRDS では事前の領域別分科会において、2011-2012 年の俯瞰からさらに踏み込んだ調査が必要であると判断した5つの領域に注目してきた。それは、ナノ計測技術、光(フォトニクス・オプティクス)、バイオナノテクノロジー、新物質・新材料、ものづくり・製造・生産技術の5領域である。(これら5つの領域別分科会の報告書は CRDS の web サイトで公開している)。分科会や関連の調査活動、そして第 3 期および第 4 期科学技術基本計画期間を踏まえた現状認識と問題点を共有したうえで、『日本が 2016 年からの次期計画期間を含む向こう 10 年間程度において、ナノテクノロジー・材料分野の科学技術全体の研究開発を如何なる方向性で推進すべきかを展望する』ことが、この俯瞰ワークショップ全体構想会議の目的であった。特に、他の分野、環境・エネルギー、医療・健康、ICT や、各産業技術の諸領域に対して非連続な革新をもたらし、競争力の源泉となる科学と技術を生み出し続けるためのナノテクノロジー・材料分野の推進方策の議論、また、学術界の活性化や変革に何が求められるのかについて、参加者間で活発な議論がおこなわれることを期待した。ワークショップの形態としては、CRDS ナノテクノロジー・材料ユニットに所属する 6 名の特任フェローが独自の問題意識を順に表明していくかたちをとり、そのそれぞれについてディスカッションを経た後、参加者全員による総合討論をおこなった。上記 6 名の他に、ディスカッサントとして産学独からの識者および内閣府、文部科学省、経済産業省の各担当官を招聘し、様々な角度からの意見提示を得た。