俯瞰ワークショップ報告書
  • 材料・デバイス

ナノテクノロジー・材料分野 物質・材料領域分科会

エグゼクティブサマリー

本報告書は、(独)科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が平成 26 年1 月 20 日、21 日にJST東京本部にて開催したナノテクノロジー・材料分野俯瞰ワークショップ「物質・材料領域分科会」に関するものである。このワークショップは物質・材料領域における各コミュニティの現状把握、注目される科学技術の潮流、今後求められる研究開発の方向性などについて、議論を深める目的で開催した。CRDS ではナノテクノロジー・材料分野の俯瞰報告書を2年毎に出すとしているが、これまでに「ナノテクノロジー・材料分野俯瞰ワークショップ(研究開発領域別分科会)報告書」などの活動に基づき、「研究開発の俯瞰報告書ナノテクノロジー・材料分野(2013 年)」を発行した。これに続く、2015 年度版を検討するにあたって、今年度は、光、ナノ計測、バイオ・ナノテクノロジー、物質・材料、製造・加工技術の 5 つの領域に焦点を当てて活動をしている。その一環として、今回のワークショップがあり、話題提供や議論を通じて、以下のような課題が抽出された。
★物質・材料分野における7つの大きな研究の方向性
1.3D プリンタなど積層造形技術の活用による革新的材料の創出
2.マルチスケールの連結とメゾ領域(数十 nm からmmのオーダー)の制御による革新的材料・デバイスの創出
3.ボトムアップ的手法とトップダウン的加工法の活用による革新的デバイス創出
4.理論と実験の一層の連携による予測に基づく物質・材料研究の促進
5.演繹的手法と帰納的手法の双方向の活用による革新的な物質・材料設計(マテリアルズ・インフォマティクス)
6.二次元薄膜の複合・積層化による革新的デバイスの創製
7.輸送、相変化、非平衡、揺らぎなどの現象をテーマに異分野が連携することによる新しい価値(材料の機能)の創出
★日本の競争力強化に向けて国、独法や大学、学会が取組むべき7つの課題
これらの環境を整備することにより、イノベーションが起こる確率を上げていくことが重要となる。
1.大学研究者の産業への貢献を評価する仕組みの必要性
2.大学と企業の定常的なコミュニケーションの場の必要性
3.大学研究におけるシステム統合(垂直連携)の仕組みの必要性
4.明確な目標の下、コーディネータの巧みなさばきによるプロジェクトの必要性
5.ソフト・サービス基盤の強化の必要性
6.異なるキャリアを持つ人材の役割連携によるチーム形成の必要性
7.新たな価値を創造できる人材育成のための教育や人材循環の必要性
これらの活動の結果は、2014 年度末に発行予定のナノテクノロジー・材料分野の俯瞰報告書の中に反映させていく予定である。