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インタラクティブバイオ界面の創製~細胞の動態解析制御を可能にするバイオデバイス基盤技術~

エグゼクティブサマリー

幹細胞の再生医療や創薬への応用が期待される中、細胞に関わる研究が急速な進展みせている。研究開発の加速、研究成果の円滑な応用展開、産業利用に向けて、細胞の計測や操作を行う技術開発をあわせて推進する必要がある。
細胞や生体物質を計測・操作するバイオデバイスでは、半導体エレクトロニクス、MEMS、マイクロフルイディクスなどの技術で作製されたデバイスを活用し、これまで不可能であった数十nmレベルでの計測・操作が可能になりつつある。しかし、細胞の種類は多様である上に、個々の細胞は置かれた環境に応じて時々刻々変化していく。このような複雑な対象の正確な計測ならびに適切な操作には、人工物であるデバイスと細胞や生体物質とが接するいわゆる「バイオ界面」の精緻な設計・構築が鍵となる。
本プロポーザルでは、「インタラクティブバイオ界面」を、「細胞や生体物質を認識しデバイス側で検出する機能とデバイスからの信号を細胞に伝達する機能とを備えた、デバイス表面とその上に形成された物質層から成る構造体」と定義し、その創製に向けた研究開発の推進を提案する。本研究開発は、エレクトロニクスのバイオ分野への展開という世界的潮流の中で、その成否を分ける基盤技術である。日本がこの領域を先導するためにも、国として戦略的に取り組む姿勢が求められる。

インタラクティブバイオ界面には、以下のような機能が求められる。
細胞が分泌・放出する物質を認識・結合する機能、特異的反応によりデバイスで検知できる物質に変換する機能【物質認識・結合・変換機能】
細胞の表面抗原や膜タンパク質などを認識・結合する機能【細胞認識・結合機能】
デバイスからの刺激を細胞に伝達する機能【刺激伝達機能】
細胞の活性や分化・増殖に影響を及ぼす環境を制御する機能【細胞環境制御機能】
これらの機能の実現には、インタラクティブバイオ界面を構成する分子の開発からバイオデバイスに実装された状態での細胞との相互作用の解析にいたるまで、広範な研究開発課題を検討する必要がある。そのため、研究開発は多様な専門分野の研究者からなるチームで推進しなければならない。

インタラクティブバイオ界面の実現により、細胞の培養・加工プロセスにおける品質管理などにおいて、細胞のリアルタイム計測、ハイスループット計測が可能になる。さらに、従来の光学顕微鏡による細胞観察とは異なる細胞イメージングが可能になる。
日本のエレクトロニクス産業は、バイオデバイスの開発や実用化に対して高いポテンシャルを有しており、新しい市場の開拓も期待できる。