国際比較調査
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G-TeC報告書 持続可能なエネルギーの未来;米英独仏のエネルギービジョンと研究戦略

エグゼクティブサマリー

 資源コストや市場動向などに基づく経済性がエネルギーシステム全体に大きな影響をもたらす現状の中で、持続可能なエネルギーの未来を目指し、各国が「化石から非化石へのエネルギー転換」という共通の課題に取り組んでいる。
 日本としてのエネルギービジョンの再構築が強く求められており、原子力の役割を含め、日本が持続可能なエネルギーの未来を実現するためのシステムを設定する必要があり、基盤となる科学技術を明らかにしていく必要がある。呼応するように、海外では米英独仏が相次いで「エネルギーの未来に関する提言」をまとめている。ドイツの「環境適合性及び信頼性を備えたエネルギー供給構想」、米国の「未来の安定したエネルギーを確保するための構想」などが該当する。提言には各国が想定する未来のエネルギーシステムが描かれており、これらの提言及び関連の注目動向を詳細に分析すれば、目指すべきシステム、さらにはシステム構築のシナリオを具体化するための有効なエビデンスが得られることになる。
 そこで上記想定に基づき、「持続可能なエネルギーの未来」をテーマとする「G—TeC(Global Technology Comparison)」を行った。G—TeCは、重要な科学技術動向に焦点を当て、各国・地域の状況を分析することで日本のポジションを確認し、今後取るべき戦略の立案に貢献することをミッションとする。
 調査には、公開情報に基づく基礎調査、米欧での現地会合などの手法を用いた。第一に、各国動向を概観することで、特徴的動きが見られる地域として米英独仏の4ヶ国を選定した。第二に、これらの国が想定するエネルギービジョンやシステムを把握した。第三に、エネルギーの中核機関を特定し、システム構築に向けた注目動向を抽出した。その上で、第四に、これらの動きを詳細に分析することで、持続可能なエネルギーの未来を実現するための基本要件を検討した。