科学技術未来戦略ワークショップ報告書
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都市インフラシステムの統合化

エグゼクティブサマリー

科学技術振興機構(JST)/研究開発戦略センター(CRDS)は、JSTの研究開発戦略を立案するとともに、我が国の研究開発の推進に資する基礎データおよび知見の収集とそれに基づく戦略的研究分野の提言を行っている。平成23年度に検討すべき研究分野として「都市インフラの統合化による都市サービスの効率化」が取り上げられ、都市インフラチーム(総括;木村英紀上席フェロー、チームリーダー;安岡善文フェロー)が構成された。都市機能の整備および効率化については既に大学や研究開発機関において数多くの研究が行われ、各省庁の事業として組み込まれ実施されているものも多い。しかしながら、昨今の東日本大震災やタイにおける水害にみられるように、大規模災害に際して都市サービスの機能が持続的に維持されずに、被害が拡大する例も多く、これまでの都市研究の成果が十分に生かされているとはいえない。
都市インフラ統合化検討チームでは、様々な都市のサービス機能を統合化してその効率化を図り、頑健性、復元性を強化するための研究分野の戦略的立ち上げについて検討することとした。その中核となる方法論は、都市の実空間における機能や構造をコンピュータ上の仮想空間でモデル化し、その上での様々なシミュレーションによって、機能統合の最適化、管理制御方式の確立、将来機能の予測・評価等を行うことである。
 検討の一環として、「都市インフラシステムの統合化」ワークショップを開催し、有識者の意見を伺うこととした。ワークショップでは、当該研究分野の立ち上げについて、これまでの研究の紹介や考えられる研究課題の検討を行った。また、都市における個別機能の統合化が何故難しいのか、既存の機能サービスインフラに従事してこられた専門家、研究者の意見も伺った。