科学技術未来戦略ワークショップ報告書
  • バイオ・ライフ・ヘルスケア

健康持続のためのリスクマネジメント基盤構築

エグゼクティブサマリー

独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)では、平成 22年度より「健康持続のため包括的研究チーム」を発足し研究課題や推進方法に関する調査を行っている。健康を持続するために必要なアプローチの 1 つとして重要なのは、病気に至る前段階で、できるだけ早くリスクを把握し、その制御を通じて発症を回避するという視点である。
そこで、CRDS ではリスク因子の経時的変化と因子の人への影響を統合的に理解するためにどのようなファンディングが必要とされているのか、また、制御につなげるための研究基盤はどうあるべきかなどを議論するためのワークショップを平成 22 年 12 月 22 日に開催した。ワークショップにおける目指すアウトプットは下記 3 点である。
1.リスク因子の経時統合モニタリングにおける具体的研究課題案の抽出
2.リスク因子の経時統合モニタリングに必要なテクノロジーの整理
3.上記研究課題の推進上の課題の抽出
本ワークショップでは、長期的なコホート研究に必要な基盤整備の方策やそこで実施される研究開発課題について、現在コホート研究に従事する研究者等を中心に検討を行った。その結果、我が国のコホート研究について以下の視点の重要性が確認された。
〇 これまで個別に実施されているコホート研究の情報および成果を統合し解析するための拠点、及び複合領域的なコホート管理・活用システムのデザイン構築理解不十分によるコホート研究への参加の断念や、中止による脱落率の阻止等を含めた、参加者との十分な相互理解を得るための活動。それを担う人材育成
〇 コホート研究の国家の資産としての位置付けの確立。公的機関を主体とした長期的な予算の確保
その他、現在の国内外の状況や知見をもとにした議論を行ない、ファンディング機関としての視座を確認した。