国際比較調査
  • バイオ・ライフ・ヘルスケア

特定課題ベンチマーク報告書 トランスレーショナル・ヘルスインフォマティクス・ベース

エグゼクティブサマリー

優れたライフサイエンスの成果を活用し、新しい治療法や医薬品・医療機器等として社会に還元していくための「健康研究(Health Research)」(橋渡し研究・臨床研究)の必要性が謳われている。我が国においては、2008年に設立された健康研究推進会議(内閣府)が「健康研究推進戦略」を発表し、基礎研究により生命現象と疾病のメカニズムを解明し、それを診断や治療法に転換して医療を実践し、その医療効果を評価して新たな課題を設定し、それを再び基礎研究につなげていく、医学・医療における知の循環の確立を目指すべきであるという問題意識が示されている。上記を踏まえ、科学技術振興機構研究開発戦略センター(JST-CRDS)では、戦略プロプラム『生命・医学・医療・健康をつなぐ情報を循環させる技術と基盤の構築と活用〜トランスレーショナル・ヘルスインフォマティクス・ベースの展開〜』を通して、医学・医療における「知の循環」の確立に必要となる情報を循環させる技術と基盤(ここではTHIB:トランスレーショナル・ヘルスインフォマティクス・ベースと名づけた)の構築と活用を提案した。さらに、上記提案内容に類似した取り組みを先んじて行っている欧米の組織と比較し、より強力な研究開発推進体制の具体化の検討に資するために、国際ベンチマーク調査を実施した。本国際ベンチマークでは、1.ライフサイエンス、ヘルスサイエンス双方における大容量データの収集、保管、抽出技術の現状2.データ収集における提供者側へのインセンティブの付与戦略、3.医療情報を基礎研究あるいは臨床現場に活用するための技術的制度的課題の克服、について、関係スタッフによる調査分析を行ったほか、当該分野の研究に詳しく、且つ海外の研究者コミュニティとの幅広いネットワークを持つ専門家に国際ベンチマーキング参加を依頼し、特に、米国における医療情報の管理、活用形態、ならびにドイツと英国におけるとバイオインフォマティクスとヘルスサイエンスの融合研究プロジェクトと情報インフラ整備の現地調査を通じて我が国との比較を行った。