海外調査報告書
- 海外動向
2009年3月
CRDS-FY2008-OR-10
科学技術・イノベーション政策動向報告~中国・台湾~
エグゼクティブサマリー
研究開発戦略センター海外動向ユニットでは、我が国の科学技術・研究開発・イノベーション戦略を検討する上で重要と思われる、諸外国の動向について調査・分析し、その結果を研究開発戦略センター内外に「海外科学技術・イノベーション動向報告」として配信している。調査内容は、最新の科学技術・イノベーション政策動向・戦略・予算、研究開発助成機関のプログラム・予算、研究機関や大学の研究プログラム・研究動向などを主とした、科学技術・イノベーションにかかわる動向全般となっている。
本報告書では台湾の科学技術・イノベーション政策について取りまとめた。
中国は急速な経済発展を遂げる一方で、国内地域間の経済格差の拡大や環境汚染の深刻化など、様々な経済・社会的課題が浮き彫りになっている。そこで、これら課題に対処しながら持続可能な経済成長目指す理念として「科学的発展観」が打ち出され、ありとあらゆる政策の上位概念に位置づけられることとなった。この持続可能な成長を実現する上でも、中国発の研究成果の産業化を目指す「自主」イノベーションは政府のアジェンダとなっており、「世界の工場」から脱却し、より高付加価値なハイテク産業の強化が重要視されている。
台湾においては、2008年5月に発足した馬英九政権が中国本土との友好関係を重視する方針であることから、中台両岸関係が急速に良好になり交流が活発化している。科学技術の分野においても中台の資金配分機関が協力した共同ファンディングを開始した。今後、台湾の工業技術研究院(ITRI)も中国と産業標準づくりについての協力を検討するなど、今後とも中台関係は深化すると考えられる。