海外調査報告書
- 海外動向
2008年10月
CRDS-FY2008-OR-02
科学技術・イノベーション政策動向報告~タイ~
エグゼクティブサマリー
研究開発戦略センター海外動向ユニットでは、我が国の科学技術・研究開発・イノベーション戦略を検討する上で重要と思われる、諸外国の動向について調査・分析し、その結果を研究開発センター内外に「海外科学技術・イノベーション動向報告」として配信している。調査内容は、最新の科学技術・イノベーション政策動向・戦略・予算、研究開発助成機関のプログラム・予算、研究機関や大学の研究プログラム・研究動向などを主とした、科学技術・イノベーション全般の動向となっている。
本報告書ではタイの科学技術・イノベーション政策について調査を実施し、取りまとめた。
タイ政府は科学技術を国家開発に不可欠な要素と捉えている。しかしそれは「経済成長のため」というよりも、その一歩手前の段階にある「国民の、特に地方での問題を解決するための策」ということに力点を置いているのがうかがえる。そのため自然科学系分野と社会科学(人文科学)系分野の研究を分離させず、包括的に支援する体制を維持している。つまり、科学技術の発展を国の社会あるいは経済開発と深く関係する要素と位置付けている。
その一方で、タイでは近年「イノベーション」という新たなキーワードを採用しつつあり、タイ政府がイノベーションに積極的に取り組み始めたことがうかがえる。そのような過渡期にあるタイの科学技術・イノベーション政策を、タイの近年の経済成長の基盤となっている経済・社会政策を含めて考察することは、日本にとって重要な生産・貿易拠点である同国および東南アジアの今後の情勢を予測するための1つの方法として意義があるものと考える。