ワークショップ報告書
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戦略ワークショップ Integrative Celerity Research「日本の臨床研究開発戦略」報告書

エグゼクティブサマリー

独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)では、基礎研究から生まれた貴重なシーズを質の高い医療に展開し、臨床研究分野のイノベーションを促進するために、医薬品・医療機器の研究開発および審査認可を迅速かつ効果的にするための活動を進めてきた。今後重要となる研究開発領域、課題およびその推進方法を明らかにするため、活動の一環として、井村裕夫首席フェローのもと、「臨床研究に関する委員会」が2005年12月に組織され、日本における臨床研究、トランスレーショナルリサーチ、医療における研究開発戦略について議論をしてきた。その中で議論の結果から「臨床研究に関する委員会」中間とりまとめ報告書を 2006年7月に発刊した。中間とりまとめ報告書では、基礎研究から臨床研究のトランスレーショナルリサーチについて俯瞰し取りまとめた。その中で医療の質を指標とした研究開発から産業化までの効果的な推進方法が大切であることを導き、統合的迅速臨床研究(ICR:Integrative Celerity Research)と名付けた。
 「臨床研究に関する委員会」での議論の中から、今後 ICR として具体的に検討すべきテーマとして「医薬品」「医療機器」「再生医療」があげられた。本ワークショップは竹内正弘教授 ( 北里大学 薬学部 臨床統計部門・医薬開発学部門 ) がコーディネーターとして、企画・実施を行い、ICR の総論という位置づけで「医薬品」における討議および課題抽出を行った。
 今回のワークショップでは、井村首席フェローが『戦略イニシアチブ ICR』の基調講演を行い、日米産官学の創薬専門家パネリストと共に、「日本の臨床研究開発戦略」をテーマとしたワークショップを開催した。 本ワークショップの検討課題として、下記項目を挙げて行った。
「日本の臨床研究推進戦略の現状とクリティカルパス」
ー米国における臨床研究のロードマップとクリティカルパス
ー日本における科学技術基本政策と臨床研究推進戦略
 ICR の実現には、特に医薬品の開発や審査に必要な人材の育成や教育が重要であることが議論された。具体的な課題として以下が挙げられた。1 . 日本のみならず米国、ヨーロッパの現状やアジアの中での位置付けも踏まえて推進する必要がある。2 . 人材の育成の問題は、臨床研究拠点の整備と強化についても関連しており、国内での現状を踏まえて行う必要がある。