2007年3月
(戦略プロポーザル)統合的迅速臨床研究(ICR)の推進 - 健康・医療イノベーション-/CRDS-FY2006-SP-18
エグゼクティブサマリー

近年ライフサイエンスの基礎研究は、急速に発展し、わが国でも多くの新しい知見が蓄積され、臨床医学へも大きいインパクトをもたらしている。これら基礎研究の成果を医療へ応用するためには、人を対象とした臨床研究が不可欠であるが、その実施には様々な隘路がある。とくにわが国では多くの障害があって、“先端医療後進国”の状態となっている。このことは急速に高齢化の進むわが国にとって、由々しい問題である。なぜなら、国民が最先端の医療技術の恩恵に浴する事ができないし、医療技術の多くを輸入に頼る事となり、医療費の一層の高騰がさけられないからである。この閉塞状況を打破するために統合的迅速臨床研究(Integrative Celerity Research(ICR))の推進を提案する。
ICRとは、臨床研究を始めるに当たって目標を明確に設定し、全体を見通して、必要な臨床研究の各ステップを可能な限り統合的(integrative)に、かつ迅速(celerity)に実施する臨床研究全体を言う。従来の橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ(TR))が基礎研究から臨床研究の早い段階までを指すことが多いのに対して、ICRは臨床研究の全段階を指したもので、迅速に一般医療への応用ないしは産業化へつなげる事を意図している。
ICRの推進に向けて、政府の実施すべき二つの基本政策、およびいくつかの施策を提言する。
⑴ 臨床研究基本法の制定
政府は、わが国における臨床研究の基本方針を明確にし、その推進を図るため、法律の整備を行う。
⑵ 臨床研究の拠点整備、とくに臨床研究複合体とネットワークの形成
世界水準の臨床研究を実施するため、わが国に複数の臨床研究複合体を形成する。
⑶ ICR 推進のための施策
●臨床研究のための資金の確保
●臨床研究を推進するための制度の改革
●人材育成

ICRの推進により、次のような大きな成果が期待できる。
⑴ 先進的でかつ最良の医療の国民への提供
⑵ 新しい医療産業の振興
⑶ 医療分野における国際的な貢献

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