【開催報告】安全な暮らしをつくる個人情報保護 高齢者の見守り

セミナー『安全な暮らしをつくる個人情報の保護』 第1回目:高齢者の見守り を開催しました

一人暮らしの高齢者を見守り孤独死を防ぐには、関係者の間で情報共有が必要ですが、個人情報であれば何でも「保護」すべきものだという誤解も一部で生じています。平成17年に全面施行された個人情報保護法は、個人情報の適切な保護と利活用を目的とするものです。個人情報をどのように扱うことで安全な暮らしをつくることができるでしょうか、定員超の40名の参加者とともに考えました。


ご挨拶する「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」山田肇領域総括

個人情報保護法はプライバシー保護法ではない!

藤田卓仙氏(名古屋大学 寄附講座准教授)

藤田卓仙氏は、医師免許を持つ個人情報保護法制の専門家です。開口一番、「個人情報」と「プライバシー」が混同される個人情報保護法に関する良くある誤解を紹介。個人情報保護法をわかりやすく解説しながら、さらに「個人情報保護法制2,000個問題」などの問題も紹介されました。高齢者支援に向けた課題としては、現行の個人情報保護法制では「本人」の同意をベースとしており、認知症などで同意能力が十分でない場合の仕組みが不十分であると指摘します。

好事例やノウハウの共有を!

村井祐一氏(田園調布学園大学 教授)

村井祐一氏は、もともと電子工学がご専門でしたが社会福祉に転向し、20年にわたり地域の見守り活動推進に取り組まれています。近所のコンビニや配食サービスが一人暮らし高齢者の異常を察知し、地域包括支援センターに連絡するなど、生活に密着したサービスが孤立化予防の社会資源となる例や、実際の現場で行われている取り組みを数多く紹介されました。一方で、住民向けの個人情報取り扱い研修を行うなかで明らかになった、個人情報保護法への「過剰反応」の問題も指摘します。

「過剰反応」「セルフネグレクト」と問題は山積み、どう解決していくか?

1時間に及ぶ質疑応答・全体討議では、「そもそも、高齢者の見守りとは何?同意取得の際に目的が示されているの?」という鋭い質問や、現場での具体的な運用でのアドバイスを求める声がきかれました。最後に司会の山田肇領域総括より、ガイドラインの整備、グッドプラクティスの例示などを地道に行う必要とともに、法律そのものを見直すことも今後の課題として挙げられました。
今回のセミナーでは、個人情報保護法の「過剰反応」の問題だけでなく、同意能力が十分でない場合やセルフネグレクトといわれるような状態のときはさらに対応が難しい問題であることが明らかになりました。
同意能力が不十分になる可能性は誰にでもあります、私たちも当事者として考えていきたいですね。

安全な暮らしをつくるために個人情報はどのように保護し、活用すべきか ---社会技術研究開発センター(RISTEX)の「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域では、この問題を連載シリーズとして皆様とともに考えてまいります。次回開催は11月20日、テーマは「児童虐待対策における多機関連携」です。

関連情報

開催概要

日時 10月19日(水) 18:30~20:30 (開場18:15~)
場所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター  カンファレンスルーム4A
東京都新宿区市谷八幡町8
http://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/cc-ichigaya/access/
参加費 無料(事前申込制)
定員 40名
お申込はこちら http://kokucheese.com/event/index/425441/
講師 藤田卓仙(名古屋大学 寄附講座准教授)
村井祐一(田園調布学園大学 教授)
司会 山田肇(領域総括、東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
共催

特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム(ICPF)

  • 今回は、ICPFの「個人情報の保護と活用」セミナーシリーズの一環となります。

お問合せ

国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター
TEL:03-5214-0133
E-mail:pp-info〔at〕jst.go.jp  boshu〔at〕jst.go.jp  〔at〕をアットマークに変えてください。

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