俯瞰ワークショップ報告書
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コンピューティングアーキテクチャー

エグゼクティブサマリー

本報告書は、2024年6月12日に開催した俯瞰ワークショップ「コンピューティングアーキテクチャー」の内容をまとめたものである。

これまでコンピューターの性能の劇的な進歩を引き起こしてきたムーアの法則に陰りが見え、昨今の生成AIに代表されるようにさらなる性能への要求、新しいワークロードへの対応が迫られている。また、自動運転におけるリアルタイムへの要求やエッジコンピューティングへの期待も高まっている。さらに、処理能力の高速化とともに省電力化は地球規模的に重要な課題となっている。このような状況において、従来の考え方とは一線を画する新しいコンピューティングアーキテクチャーが必要ではないかと考え、今回のワークショップを企画した。本ワークショップにおいては、新たなコンピューティングパラダイムや、それを実現するプロセッサー、ドメインに特化したアーキテクチャーなどについて議論を行う。そして、今後の我が国の研究開発を強化する戦略となりうる方向性や研究開発テーマ、それらの課題などを明確にすることを目的としている。まず、招聘した有識者6名から、現在の研究、注目される技術、学会などの動向について、ポジショントークがなされた。ついで、総合討議を行い、下記のような議論を行った。

  1. Device ScienceとComputer Scienceの連携デバイスとコンピューティングは別物ではなく、相互に連携しながら、相互に発展するものである。したがって、両者の緊密な連携が必要である。また、デバイスとコンピューティングという分け方だけではなく、デバイス、回路、アーキテクチャー、アルゴリズムという構造もあるし、あるいはさらに別の新しい構造化の可能性もある。いずれにしても、複数の階層にまたがる連携が必要である。こういった複数の領域にまたがる連携を進めるにはファンディングが重要な役割を果たす。連携したチームを作るための施策が必要であり、事前段階としてチームビルディングの活動が必要である。
  2. 基本ソフトウェアの重要性 新しいデバイスとコンピューティングだけで何かが動くわけではない。地味ではあるが、コンパイラー、OS、EDA設計などがないと本当に動くものにはならない。周辺技術が重要である。
  3. エネルギー効率の向上 今回のワークショップの議論では、多くのコンピューティングは結局計算エネルギー効率の向上を目指している。そう言った状況においては、脳に学ぶということが一つのアプローチである。
  4. 継続することが重要 アーキテクチャーの研究者は数が減っており、このままでは絶えてしまう可能性がある。これまでにいくつか関連するファンディングがなされてきたが、これらの活動を継続することがこれまで以上に重要になっている。
  5. ロボットの行動・動作認識

本ワークショップにおける議論を受け、具体的な提案を行うための検討を進める予定である。

※本文記載のURLは2024年9月時点のものです(特記ある場合を除く)。