科学技術未来戦略ワークショップ報告書
  • バイオ・ライフ・ヘルスケア

個人データ駆動医療・ヘルスケア

エグゼクティブサマリー

本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が令和4年11月29日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ「個人データ駆動医療・ヘルスケア」の結果をとりまとめたものである。

COVID-19対応で象徴されるように、世界中で医療・健康情報の利活用が急速に進みつつある中で、わが国においても迅速に研究開発や法制度・倫理等の基盤整備が急務である。そこで、令和3年度より、JSTCRDSライフサイエンス・臨床医学ユニットを中心に「個人データ駆動医療・ヘルスケア」に着目し、文献調査、外部有識者との意見交換を重ね、戦略プロポーザルの策定に向けた調査活動を進めてきた。

調査活動の一環として、日本における健康・医療データ利活用に向けた方向性と具体的な重要課題を議論するため、当該分野を先導する有識者を招聘し、クローズド形式にて本ワークショップを開催した。各有識者より、国内外における技術開発・実装研究の取り組み状況と課題、および、法制度・医療システム含めた社会や創薬などの産業の視点からの最新動向について共有頂いたあと、総合討論を行い、わが国が今後推進すべき事項を検討した。

その結果、次の5つの重要事項が見出された。

  • 健康・医療におけるアウトカムを知ることを目的とした医療デジタルツインの構築
  • 電子カルテデータや部門系データの収集のための、HL7 FHIR 規格対応や標準化の取り組み
  • ビッグデータ、AIの誤りを前提としたデータ処理や規制の在り方の検討
  • 現場の負担や経済の面から持続可能なデータ利活用事例のモデルケースの確立
  • 個人情報である医療情報の活用に向けた、医療業界の意識や法制度運営の醸成

本ワークショップにおいて収集した情報および議論の結果をふまえ、2023年度第1四半期を目処に「個人データ駆動医療・ヘルスケア(仮称)」の戦略プロポーザルを刊行・公開予定である。

※本文記載のURLは2023年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。