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機械学習と科学
エグゼクティブサマリー
本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が2020年7〜9月に開催した俯瞰セミナーシリーズ「機械学習と科学」に関するものである。
CRDSでは機械学習、ロボティクス、ビッグデータなどデジタル技術を活用した新たな価値創造と変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)が、科学技術の様々な分野の研究開発にも生じているとの認識から、21世紀の科学技術のあり方の変容についてまとめた報告書「デジタルトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容」を2020年4月に発行した。
本セミナーシリーズでは、その先の未来像として、機械学習、スパコン、実験ロボットなどの様々な道具の力による科学研究のあり方の広がりと、それにより得られる知のフロンティアの可能性に着目した。セミナーでは、計算機科学・情報科学側と科学技術の分野側の両面から今何が起こっているか俯瞰することから始め、可能性と課題を議論した。具体的には
1. 第4の科学(データ駆動科学)までとの違いは何か? 新たなツールのどのような機能・性能が、人間の性能を超えた(あるいは強化した)ことになるのか? しきい値のようなものがあるか?
2. 科学による知のフロンティアはどこまで、どのように広がっていくのか? ツールを使い理解を広げていく方向とは別に、人間が理解できない科学のような方向にも広がるか?
3. 新しいツールは、科学技術における人間の活動のどの部分を代替することになるのか? 具体的に期待される問題設定・用途や利点は何か?
の3点を中心に幅広い観点で議論し、科学技術と推進方策・戦略の両面からボトルネック課題を探索した。
これらの議論を踏まえ、CRDSでは今後国として重点的に推進すべき研究領域と具体的研究開発課題を検討し、研究開発の推進方法も含めた戦略プロポーザルとして関係府省や産業界・学界等に提案する予定である。
※本文記載のURLは2021年3月時点のものです(特記ある場合を除く)。