Beyond Disciplines
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異分野融合を促し、研究力向上を支える土壌を育む(—The Beyond Disciplines Collection—)

エグゼクティブサマリー

異分野融合を促し、研究力向上を支える土壌を育む(—The Beyond Disciplines Collection—)

研究力の向上には、豊かな研究土壌を育むことが欠かせない。本報告書は主に、わが国の大学・国研等が携わる研究の力を向上させていくための検討をするうえで、その前提となる共通的概念・基本認識を共有することに軸足を置き、論点や在り方を提起する。

科学技術が関係するイノベーションのエコシステムというものは本来、基礎研究から応用・開発・事業化まで含む広範な研究開発フェーズがあり、そして多様な人・組織が複雑に関与するものだが、本報告書では大学・国研等の公的機関が直接に関与する研究を検討の主対象としている。
CRDSが先立って公表した、"Beyond Disciplines JST/CRDSが注目する12の異分野融合領域・横断テーマ(2018年)" に記載した「研究システム・ラボ改革、R&Dインフラ・リソースのプラットフォーム」の内容を深堀して拡張・発展させた位置付けにある。わが国の研究関連人材と研究開発投資の推移が国際的にみて停滞するなか、限られた研究の資源(ヒト・モノ・カネ・チエ)とその関係を適切に認識したうえで施策を設計していくことが重要である。

特に本報告書では、研究現場における有形・無形のストックをより成長させる研究開発投資を重視するに至った。ヒト・モノ・カネ・チエの研究資源と、それらの関係によって構成する研究環境や、より具体的な研究プラットフォームを活用するなどしながら、豊かな研究土壌を育むことが重要である。その際、成果フロー偏重からストック成長型への視座の転換を掲げている。見えにくい知的ストック部分への認識を持ち、その効果的な成長と活用によって、生み出される研究成果にレバレッジがかかることが重要である。新しい仕組みややり方に挑戦し続け、新たな異分野融合を促進する研究土壌を育むことが、新しい時代に相応しい研究文化の形成につながっていくものと考えている。

※本文記載のURLは2019年7月23日時点のものです。