研究開発の俯瞰報告書
  • バイオ・ライフ・ヘルスケア

ライフサイエンス・臨床医学分野(2019年)

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、JST-CRDSが、国内外の最先端で活躍する研究者の協力を得て、ライフサイエンス・臨床医学分野の全体像を俯瞰的に調査した結果をまとめたものである。

 ライフサイエンス・臨床医学分野における研究対象はミクロなスケール(原子、生体分子)からマクロなスケール(集団、社会)まで多岐にわたり、医学、生物学、自然科学のみならず工学や人文社会系科学の諸領域をも包含する極めて広範な分野である。基礎研究の成果は健康・医療、食料、環境等の社会基盤の形成に広く役立てられる。従って、当該分野の研究開発は、本来、基礎研究から見出された知見や技術シーズが実用化と小規模な実践を経て社会へ実装されたのち、改めて社会の中でその意義や効果が評価・検証され、新たな課題の抽出、仮説の設定へとつながり、それらが再び基礎研究へと還元されるような循環構造を持っている。

 そこで、本報告書第1章では、科学技術の動向や今後の展望等について、社会との関係に着目しつつ分析を行った。第2章では、科学技術として進展の大きいテーマ、および社会的ニーズ・インパクトの大きいテーマの視点から、35の研究開発領域を抽出し、研究開発の動向やトピックスをまとめるとともに、国際比較を行っている。

 2019年度版のポイントとしては、研究者あるいは研究コミュニティが、研究対象として、前述の研究開発の循環構造、および生命の時空間階層を広く見ることができるようになった(見ていかなければならなくなった)こと、および技術進展サイクルの短縮化の結果、研究単位当たりのハイスループット化、高コスト化、つまり「ビッグサイエンス化」が急速に進展していることを挙げたい。世界では「オープンサイエンス、コラボレーション(生物学・医学+工学+情報学、生命科学+医科学+病院、産+学、国際)」体制での対応も進んでおり、日本でもデータ・情報統合的な研究の推進が可能な研究体制の拠点化とそのネットワーク化による研究エコシステム・プラットフォームの構築が必要である。

※本文記載のURLの内、特に記載の無いものは2019年2月28日時点のものです。

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研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2019年)