調査報告書
- 環境・エネルギー
2013年9月
CRDS-FY2013-RR-02
中低温熱利用の高度化に関する技術調査報告書
エグゼクティブサマリー
燃料の燃焼熱から熱機関を利用して動力を取り出す、あるいは給湯や乾燥等に直接利用するという現在の熱技術の体系は、オイルショックのときに脱石油に転じて以降、1980年代半ばから約20年続いた燃料・素材価格の低位安定時代を経て不動の地位を確立している。この技術体系は社会経済活動と密接に関わり、我が国の繁栄を支えてきた。しかしながら、2000年代半ば以降の途上国の著しい経済発展、東日本大震災による福島第一原発事故、アラブの春に伴う中東北アフリカ情勢の混迷、シェールガス革命等、エネルギーを取り巻く状況は、大きく変わりつつある。特に、燃料・資源価格の高騰と乱高下は、これらが安定で安価に入手できることを前提とした技術体系に大きな影響を与えることは必至である。従来から熱利用については様々な技術開発が行われてきているが、その一部あるいは多くが日の目を見ずに埋もれてしまったことも事実である。しかしながら、境界条件がこれだけ変化している中で、従来の価格ではコスト的に引き合わなかった技術、周辺技術が未成熟だったために普及しなかった技術、国内市場では受け入れられなかったが途上国や海外で普及する可能性のある技術など、将来的に大きな可能性を持つ技術が数多く存在すると思われる。現在は、そのような新しい熱技術が登場する直前の転換期にあるとも考えられる。本報告では、特に中低温域の熱利用技術に関して、その現状と課題を示し、今後の研究開発課題について整理する。