科学技術未来戦略ワークショップ報告書
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「社会生態系モデル」~生物多様性の政策形成に関する自然科学と人文社会科学の融合研究~

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、生物多様性の保全に関わる研究戦略のあり方について科学技術振興機構(JST/CRDS)が開催したワークショップ(WS)での検討結果をまとめたものである。
 生態系・生物多様性は、国際連合による劣化の報告やそれによる持続社会への懸念等から環境問題の中でも喫緊の課題の一つとなっている。1992年の生物多様性条約の制定以降も国際機関等において活発な議論が行われ、例えば、2010年に名古屋で開催されたCOP10では、生物多様性の保全に対する行動指針やアクションプラン(愛知目標)が策定されている。
 一方、このような国際的な指針等が示されているにもかかわらず、保全に対する具体的な方策の検討は十分には行われていない。これは生物多様性の概念の複雑性や地域性、さらには関連する科学的な知見の不足に原因があると考えられる。そこで、CRDSではこの仮説の検証と保全に関する研究戦略の検討を目的に有識者を交えたWSを開催した。