調査報告書
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海外動向報告書 中国の科学技術力について-世界トップレベル研究開発施設-

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、中国が世界に誇るトップレベルの研究開発施設を訪問し、その状況を調査したものである。
 中国は、2000年に入るまでは、科学技術においてそれほど目立った存在と考えられていなかった。ところが、改革開放政策を受けた経済発展が1990年代に始まり、21世紀に入ってそれが加速することにより、科学技術についても大きな変化がみられるようになった。ただ、中国は地理的にも人口的にも大国であり、また欧米流の情報公開の進展が少し遅れていることもあって、他の国のようになかなか全体像が見えてこない。
 国の科学技術力を示す科学論文、特許などの指標でみると、中国の科学技術力の進展は著しいと考えられるが、他方日本の専門家に個別の分野における中国の科学技術レベルを尋ねると、余り高い評価にはならない場合が多い。
 そこで、科学技術振興機構・研究開発戦略センターでは、二度にわたり、主としてマクロ的な指標を中心に中国の科学技術力の調査を行ってきた。
 第一回目は2008年9月に調査し、「中国の科学技術力について」という冊子を刊行した。
 第二回目は、2009年11月に第一回目の「中国の科学技術力について」の改訂を行い、これを「中国の科学技術力について 総論編」として刊行するとともに、これに加えて原子力・宇宙・海洋などのビッグプロジェクトについても調査を行い、「中国の科学技術力について ビッグプロジェクト編」として刊行した。
 第二回目の調査終了から二年以上が経過しており、その間の中国の科学技術の変化は著しく、そろそろ改訂の必要があると考えられる。しかしこれまでの二度の経験からして、中国の科学技術力を知るためには、従来の調査の延長線として色々な指標を確認することも重要と考えられるが、それだけでは中国科学技術力についての全体像に迫ることが難しいのではないかと考えた。そこで今回調査方法を変更し、中国の科学技術現場を調査することにより、より納得できるような全体像に迫れないかと考えた次第である。