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平成23年度報告書 社会的期待に関する検討—CRDS研究開発戦略立案プロセスにおける利用を中心として

エグゼクティブサマリー

 本報告書は、平成23年度に研究開発戦略センター(以下、CRDS とする。)において実施した、社会的期待に関する検討結果を報告するものである。
 CRDS において社会的期待を検討する目的は二つある。
 一つは、CRDS が提案する研究開発戦略は社会的期待に応えるものなっている必要があるという基本方針に基づく。そのためには社会的期待を詳細化し、研究開発課題と結び付けていく“邂逅”の段階が必要であるが、この段階で利用する社会的期待の説明を作成することが第一の目的である。もう一つの目的は、課題達成型イノベーションの推進が大きな柱とされている中、科学技術イノベーション政策が取り上げるべき課題の選定方法の確立等に貢献することである。
 検討の第一の目的である「社会的課題の説明」をどのように作成するべきかについては、さらなる方法の検討と実践が必要である。
 科学技術イノベーション政策が取り上げるべき課題の選定方法の確立等に貢献するという
第二の目的に向けては、次のような示唆が得られた。

◇科学技術イノベーション政策の政策形成プロセスの中で幅広く課題を把握していくためには、基本政策の策定機関等が、どのような社会的課題があるのかについて独自に新たな調査を実施することが望ましい。
◇政策対象とする課題の選定は、基本政策の策定機関等において、できるだけ客観性と透明性を持たせた手法により選定する必要がある。CRDS の検討が改良されていくことによって、特に「議論の視点」の設定から「中心的課題」の選定までの段階が課題に優先度をつけるための方法として参考になると考えられる。
◇「中心的課題」をより具体化し研究開発課題と結び付けていく段階での方法は、関係省庁や研究開発法人において、課題別もしくは分野別の政策・施策の検討において、従来の分野にとらわれない研究開発課題の提案方法として参考になっていくと考えられる。