調査報告書
  • 横断・融合

科学における未解決問題に対する計測ニーズの俯瞰調査

エグゼクティブサマリー

 ここ数年来、日本の科学技術では欧米製の計測・分析機器を購入して科学研究が進められる状況が指摘されている。現代科学が発展してきた歴史を振り返ると、新たな科学の発見は計測することによってブレークスルーされてきた。まさに計測は科学の母(mother of science)と言っても過言ではない。したがって、計測技術を外部へ依存することは、新たな科学の発見、進展をどのように見据えるかという根本的な認識と繋がる。本調査は、この日本の科学の進展における計測のあり方について検討した結果をまとめたものである。また、計測技術に係る研究開発分野における様々な計測ニーズを俯瞰するとともに、ニーズとシーズの邂逅する場など、計測ニーズを充足する研究開発のあり方についても提案している。具体的な調査項目を以下に記す。
・各科学分野における計測ニーズの把握
・抽出した計測ニーズの俯瞰と、特徴付け
・計測ニーズとシーズの邂逅に関する今後の進め方の考察
 本調査において対象とする計測分野は、「計測を基盤として用いる科学技術分野」である。1.「生命科学」、2.「ナノ・物質科学」、3.「情報・通信科学」、4.「環境・エネルギー科学」の4つの科学技術分野を対象として調査を行った。調査の結果得られた各科学分野における現在の計測の水準(特徴)と、計測ニーズのトレンド・キーワードは表の通りである。また、得られた計測ニーズの特徴として、(1)計測ニーズの60%が「生命科学」分野、(2)より複雑な現象解明へ取り組むための計測ニーズが多い、(3)「四次元レンズ」という未来予測も含めた計測ニーズが含まれる、の3点が明らかとなった。
 今回の計測ニーズ俯瞰調査の結果を踏まえ、今後解決すべき課題として、(1)ニーズとシーズの邂逅、(2)メタ計測学の構築、(3)計測集団(仮称)の設置の3つが挙げられた。